(岩波書店 平出隆・著)
「フィールド・オブ・ドリームス」の「 それを作れば、彼はやってくる」ではないが、「それを読んだら彼がやってきた」。
この『白球礼賛』を初めて読んだ1993年、同じ草野球の世界にありながら、平出隆さんも彼の愛するチーム,クーパースタウン・ファウルズと僕は、まったく違う「宇宙」にいた。会社の先輩の付き合いですでに草野球チームには入っていたが、どこかナメているところがあって、ファウルズとは程遠い真剣味のなさだった。「どうせ草野球をやるならこういうチームでやりたい」強く願い、また嫉妬したものだ。その願いが通じたのか、それからしばらくして、妻の会社の人間である、ファウルズのメンバーと知り合いになり、やがて対戦、そして10数年で100試合を超える試合を戦うライバルチームとなった。げに縁とは不思議なものである。
『白球礼賛』には平出さんの野球への愛がちりばめられている。
「野球という遊びを徹底的に遊びつくそうぜ、楽しもうぜ」という熱いメッセージを野球を愛する多くの人たちに「キャッチ」して欲しい。