シャープは、大和ハウス工業、大日本印刷と提携し、太陽光発電で起こした電力を貯めておく「住宅用蓄電池」を共同開発することを発表。09年度にも共同で、リチウムイオン型の専用電池の量産を開始予定。
住宅用蓄電池普及は、家庭での太陽光発電の利用拡大とCO2排出削減につながります。太陽電池パネル生産量で世界トップのシャープと、国内住宅業界トップの大和ハウスなど異業種が手を組み、地球温暖化防止に向けた家庭のエネルギー転換に取り組む試みに期待が寄せられます。
太陽光発電の欠点を補う「住宅用蓄電池」
太陽電池パネルは、発電中にCO2を出さない半面、昼間しか発電できず、雨天や曇天で発電量が下がる欠点があります。 しかし現在、太陽電池パネルを導入した家庭では、1日の平均的な電力使用量(約12kW/ト時)のうち75%程度をまかなっています。住宅用蓄電池と併用することで、これを100%以上にもっていける可能性があります。
各国企業間で太陽電池パネル生産量競争が過熱
PVニュースによる06年の統計によると、世界の太陽電池パネル生産量の世界シェアは以下の通り。
第1位:シャープ(日本)・・・43万4000kW
第2位:Qセル(ドイツ)・・・25万3000kW
第3位:京セラ(日本)・・・18万0000kW
第4位:サンテック(中国)・・・15万8000kW
第5位:三洋電機(日本)・・・15万5000kW
第6位:三菱電機(日本)・・・11万1000kW
第7位:モーテック(台湾)・・・11万0000kW
2位のQセルは、ドイツ政府の「再生可能エネルギー法」による太陽光発電電力の最低買取価格設定などの優遇措置で、急成長してきた企業です。
ドイツは、国家戦略として再生可能エネルギーの普及に尽力。旧東ドイツ地域で、Qセルのほか、国内中小企業・外国企業に対しても、積極的に太陽電池パネルの誘致を呼びかけています。その結果、実は、06年統計の「国別・太陽光発電量」でドイツは、世界トップの55%を発電しています。
ちなみに、左の写真は、ドイツ・バイエルン地方に設置されているシャープの太陽電池パネル。壮観な光景ですが、右の写真のように日本にも太陽電池パネルを設置する余地はたくさんあります。
昨年7位から、一気に4位へと躍進してきた中国のサンテックは、06年8月に日本の太陽電池メーカーMSKを買収しています。
MSKは、年産20万kWの太陽電池パネルを生産できる設備と、「建材一体型太陽電池」に強い技術力を持った企業でした。しかし、世界的な太陽電池パネルの需要拡大で、太陽電池パネルの部品となる「セル」の仕入れ不足で困窮。そこに、01年からセル生産に乗り出していたサンテックが、設備と技術力、そして日本市場参入への足がかりとしてMSKに目をつけたことで起きた買収劇です。
サンテックは、既存の設備にプラスして20万kWの生産力を抱えた企業となったわけで、1、2年の内に世界第2位に躍り出る可能性があります。
日本政府は、あくまで「原発」推進
ドイツの太陽電池パネル事業の急成長は、間違いなく、ドイツ政府の優遇政策と誘致政策の成果です。
では、日本の太陽光発電政策はというとお寒い限りです。
日本のエネルギー政策を担う「資源・エネルギー庁」は、太陽光・風力・バイオマスといった新エネルギー技術の研究開発支援に132億円、新エネルギーの導入促進に452億円と計590億円を計上。蓄電システムの開発導入に83億円を上げていますが、これと合わせても予算は総額673億円にとどまります。
しかしその一方で、原子力発電については、「安全を大前提とした原子力の推進」との名目で、次世代型軽水炉や高速増殖炉の技術開発費、プルサーマルを含む核燃料サイクルの推進費として、1816億円を計上しています。これは、太陽光発電推進事業の3倍を超える規模です。
NUMOや関西電力など、積極的に原発のPRコマーシャルを流せる訳です。
太陽光発電で優勢なのは日本メーカーであって、日本ではない
今や、CO2排出ゼロの太陽光発電で世界シェアの55%を達成したドイツ。
メーカー別では日本企業が健闘していますが、政府の優遇措置で伸び続けるQセルをはじめとするドイツ企業、日本市場参入への足がかりを得た中国のサンテックと、競争の激化は必至です。
果たして、地震大国・日本において、政府による太陽光発電支援は原子力発電の3分の1で良いのでしょうか?
住宅用蓄電池普及は、家庭での太陽光発電の利用拡大とCO2排出削減につながります。太陽電池パネル生産量で世界トップのシャープと、国内住宅業界トップの大和ハウスなど異業種が手を組み、地球温暖化防止に向けた家庭のエネルギー転換に取り組む試みに期待が寄せられます。
太陽光発電の欠点を補う「住宅用蓄電池」
太陽電池パネルは、発電中にCO2を出さない半面、昼間しか発電できず、雨天や曇天で発電量が下がる欠点があります。 しかし現在、太陽電池パネルを導入した家庭では、1日の平均的な電力使用量(約12kW/ト時)のうち75%程度をまかなっています。住宅用蓄電池と併用することで、これを100%以上にもっていける可能性があります。
各国企業間で太陽電池パネル生産量競争が過熱
PVニュースによる06年の統計によると、世界の太陽電池パネル生産量の世界シェアは以下の通り。
第1位:シャープ(日本)・・・43万4000kW
第2位:Qセル(ドイツ)・・・25万3000kW
第3位:京セラ(日本)・・・18万0000kW
第4位:サンテック(中国)・・・15万8000kW
第5位:三洋電機(日本)・・・15万5000kW
第6位:三菱電機(日本)・・・11万1000kW
第7位:モーテック(台湾)・・・11万0000kW
2位のQセルは、ドイツ政府の「再生可能エネルギー法」による太陽光発電電力の最低買取価格設定などの優遇措置で、急成長してきた企業です。
ドイツは、国家戦略として再生可能エネルギーの普及に尽力。旧東ドイツ地域で、Qセルのほか、国内中小企業・外国企業に対しても、積極的に太陽電池パネルの誘致を呼びかけています。その結果、実は、06年統計の「国別・太陽光発電量」でドイツは、世界トップの55%を発電しています。
ちなみに、左の写真は、ドイツ・バイエルン地方に設置されているシャープの太陽電池パネル。壮観な光景ですが、右の写真のように日本にも太陽電池パネルを設置する余地はたくさんあります。
昨年7位から、一気に4位へと躍進してきた中国のサンテックは、06年8月に日本の太陽電池メーカーMSKを買収しています。
MSKは、年産20万kWの太陽電池パネルを生産できる設備と、「建材一体型太陽電池」に強い技術力を持った企業でした。しかし、世界的な太陽電池パネルの需要拡大で、太陽電池パネルの部品となる「セル」の仕入れ不足で困窮。そこに、01年からセル生産に乗り出していたサンテックが、設備と技術力、そして日本市場参入への足がかりとしてMSKに目をつけたことで起きた買収劇です。
サンテックは、既存の設備にプラスして20万kWの生産力を抱えた企業となったわけで、1、2年の内に世界第2位に躍り出る可能性があります。
日本政府は、あくまで「原発」推進
ドイツの太陽電池パネル事業の急成長は、間違いなく、ドイツ政府の優遇政策と誘致政策の成果です。
では、日本の太陽光発電政策はというとお寒い限りです。
日本のエネルギー政策を担う「資源・エネルギー庁」は、太陽光・風力・バイオマスといった新エネルギー技術の研究開発支援に132億円、新エネルギーの導入促進に452億円と計590億円を計上。蓄電システムの開発導入に83億円を上げていますが、これと合わせても予算は総額673億円にとどまります。
しかしその一方で、原子力発電については、「安全を大前提とした原子力の推進」との名目で、次世代型軽水炉や高速増殖炉の技術開発費、プルサーマルを含む核燃料サイクルの推進費として、1816億円を計上しています。これは、太陽光発電推進事業の3倍を超える規模です。
NUMOや関西電力など、積極的に原発のPRコマーシャルを流せる訳です。
太陽光発電で優勢なのは日本メーカーであって、日本ではない
今や、CO2排出ゼロの太陽光発電で世界シェアの55%を達成したドイツ。
メーカー別では日本企業が健闘していますが、政府の優遇措置で伸び続けるQセルをはじめとするドイツ企業、日本市場参入への足がかりを得た中国のサンテックと、競争の激化は必至です。
果たして、地震大国・日本において、政府による太陽光発電支援は原子力発電の3分の1で良いのでしょうか?