江戸前ラノベ支店

わたくし江戸まさひろの小説の置き場です。
ここで公開した作品を、後日「小説家になろう」で公開する場合もあります。

執筆日記。

2016年04月26日 23時55分36秒 | 日記
 ども、江戸です。セシカのキャラクターデザインに関してですが、今までに髪を結んだキャラがあまりいなかったなぁ……と思って、サイドポニテにしてみました。しかし、なんとなく『無彩限のファントム・ワールド』の舞先輩や『アイマス』の双海真美っぽい感じに……。特に真似したつもりは無かったのですがねぇ。
 ちなみに1番の特徴は「眉毛が短い所」のつもりなんだけれど、影の入れ方の所為であまりそんな感じに見えないな。あと、サイドポニテは数年前の髪形なので、現在は違います。

斬竜剣外伝・赤髪のセシカ-第5回。

2016年04月24日 00時20分59秒 | 斬竜剣
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-あの因縁が今-

 シグルーンの言葉を受け、セシカは全身から冷や汗が吹き出すのを感じた。予想していた言葉だが、だからと言って心の準備が出来ていた訳ではなく、むしろ最悪の予想が現実になった今、外れて欲しかったというのが心の底からの想いである。
「それは……田舎物のウチにはちょっと荷が重いかなぁ……と」
 セシカは怖々と異を唱えた。実際、騎士団長ともなれば一代限りとはいえ爵位も与えられ、貴族に片足を突っ込んでいるような立場である。そんな上流階級での生活が、平民出身で傭兵崩れの自分につとまるとはとても思えない。いや、一介の騎士ですら恐れ多い。
 だが、シグルーンは鼓膜に結界でも張っているかの如く、セシカの言葉を完全に聞き流し、表情を全く変えずに話を続けた。
「我が国は昨今の国難の連続で疲弊しています。それに私の立場もまだ弱く、だからこそ頼れる人材を探していたのです」
「それがなんで、傭兵を引退していたウチにお鉢が回ってきたんスか!?」
 心底嫌そうなセシカに対して、シグルーンは微笑みながら告げた。
「実力は申し分ないと判断したからです。なにせあのベルヒルデ姉様が『帝国にも凄いのがいた』と褒めていたくらいですからね。まあ、赤毛の女傭兵という情報しかなかったので、あなたを特定するのには苦労しましたが」
(あいつの所為か~っ!!)
 セシカにとってベルヒルデの存在は悪夢でしかない。戦場で遭遇した彼女によって幾人もの仲間の命を奪われ、そしてセシカ自身もその実力差に大きく自信を喪失した。それが原因で傭兵を引退したようなものだ。
 それなのにベルヒルデから実力を評価されていたとか、全く訳が分からなかった。
「本気で倒すつもりで剣を振るって倒せなかったのは、帝国ではあなた以外に1人もいなかった。むしろ人生初めてかも……と、感嘆混じりに話していました。姉様にとって、そんな強敵が他にいたとしたら、それは竜くらいだったのではないでしょうか」
「いや……竜と比べられるのはちょっと……」
 セシカは決まり悪そうに視線を落とした。彼女自身は竜は勿論、ベルヒルデと比べることさえおこがましいと思っている。事実、彼女はベルヒルデとの対決に於いても防戦に徹するのがやっとで、反撃すらできなかったのだ。
 しかもベルヒルデは奇襲攻撃故に、馬で戦場を駆け抜けて行っただけで、セシカとはすれ違いざまの攻防を繰り広げたに過ぎない。
 その一瞬でセシカは圧倒的な力の差を思い知らされた。仮にベルヒルデがその場に留まって戦い続けていたとしたら、セシカはその攻撃を受け切ることができずに命を落としていただろう。
 いや、ベルヒルデも戦う意思の無い者までは斬らなかったであろうから、逃走すれば生き延びることは容易かったかもしれないが、どのみち完全敗北していた──その事実は変わりない。

     

「とにかく買いかぶり過ぎですよ……」
「ならば、あなたを評価したベルヒルデ姉様の目を疑うと?」
 一瞬、室内の空気が張り詰めたのを感じて、セシカは慌てて否定する。
「い、いえ、そんなことはねーです……」
 何故こんな小さな娘から、歴戦の戦士を上回るような強烈な威圧感を受けねばならないのか、セシカは本当に訳が分からなかった。
「そもそもウチはクラハサードの人間ですよ? 余所者が騎士団長なんてどんな反発を受けるか……」
「余所者ではありません。今やクラサハードはアースガルに併合された同じ国であり、同じ国民です。しかし、現状ではクラサハードは敗戦国故、その元国民の立場が弱い。だからこそ、クラサハードの人間を私の側近として重用し、元クラサハード国民の鬱屈した想いを和らげる必要があるのです」
 幼い少女がそこまて考えているとはなんて聡明な娘なのだろう、とセシカは思う。だが、そうならざるを得なかった彼女を取り巻く環境にうすら寒い物を感じた。そして今からそこに自分も巻き込まれるのか……とも。
「ですが、それでは戦勝国である筈のアースガルの者達が黙っていない筈……」
「少なくとも、この城に仕える者の中で、私の意向に逆らう怖い物知らずはいないと、私は信じています」
(何故、その台詞をいい笑顔で言う……!)
 邪気を感じさせない笑顔を浮かべるシグルーンに、セシカは冷たい物を感じた。不穏当な発言を笑顔で行えるということは、その笑顔のまま実力行使に出ることも有り得るということだ。
「それでも、民の信頼を得る為には相応の実績が必要……。あなたの実力ならば、それを示してくれますよね、セシカ・カーマイン?」
 駄目押しのように微笑まれてセシカは、
「……善処します」
 観念するしかなかった。


 次回へ続く(※更新は不定期。更新した場合はここにリンクを張ります)。

執筆日記。

2016年04月20日 15時13分04秒 | 日記
 ども、江戸です。『赤髪のセシカ』を書き進んでいて一つ驚いた事があるのだけれど、現時点でシグルーンがあまり話に絡んでこない……。あんなに自己主張が激しい子だったのに……。まあ、今作ではセシカ以外に新キャラが登場しているから、そちらにシグルーンの役割が分散している所為もあるのだけどね。
 いずれにしても、今後どうやってシグルーンの出番を増やすのかという事に頭を悩ませる事態になろうとは、全く予想していなかったわ……。

斬竜剣外伝・赤髪のセシカ-第4回。

2016年04月16日 23時31分16秒 | 斬竜剣
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-小さな王女様-

 街の大通りに朱色が揺れる。その鮮やかな赤髪はすれ違う人々からの注目を集め、その持ち主の美貌に気付かせることとなった。20代半ばの美しい女である。
 しかしその身は引き締まり、どことなく男性的な雰囲気を持っていた。それはかつて彼女が、傭兵という荒事に身を任せていた所為でもあるのだろう。
 彼女の名はセシカ・カーマインと言う。
 そんなセシカが次期女王とされるシグルーンによって登城を命じられたのは、アースガルが竜(ドラゴン)の襲撃を受けてから1年も経過していない時期であった。
 不本意ながらも旧クラハサード帝国領からアースガルに訪れたセシカは、その国の有様を見て、不謹慎にも感動に似た想いすら抱いた。
 アースガルの王城や城下町には、未だ竜の攻撃による傷痕が色濃く残っており、まだまだ復興半ばの状態であった。事件当時現場にいなかったセシカにも、竜の巨大な力を実感せざるを得ない。噂に聞く以上の力だ。
(あのベルヒルデがいてなお、これだけの被害が……)
 辛うじて竜を撃退することには成功したようだが、その被った被害はかつての帝国との戦争で受けた物と比べると惨敗とも言える有様である。当然、死者も相当数出たと聞く。
 それはもう、人間には手の届かない──大自然による災禍にも似た強大な力であった。だからこそセシカは、ある種の畏敬の念すら覚えたのである。
 しかし、その竜の脅威に直接触れた者達には、そのような心の余裕は無い。竜への恐怖は呪いのように心に巣くい、それを忘れるには、まだまだ時間が足りなかった。
 そしてそれ以上に民の心に昏(くら)い影を落としていたのは、竜との戦いの中で国王とベルヒルデを失い、結果として直系の王族が小さな少女しか残らなかったというこの国の現状である。
 今のこの国は、精神的な支柱を失い、土台が揺らいでいるも同然だと言えた。
 いつ国が滅びてもおかしくない──多くの民がそんな不安に脅え、未来の見えない生活に嘆いているのだ。
 だからこそセシカは、何故自身がシグルーンに呼び出されたのかが分かるような気がした。しかし、正直言って気が進まないというのが本音だ。
「会いたくないなぁ……」
 そんな重いつぶやきが、虚しく風に流されていく。

 暫くしてアースガル城に辿り着いたセシカは、城の応接間に通された。王族が使用する割には豪華絢爛という印象は無く、むしろ質素であると感じた。近年の戦争や竜の襲撃に関する復興対策費など、数多の財政支出からくる国庫の逼迫が反映された結果なのではないかとセシカは推測する。
 そんな応接室には既に彼女を迎え入れようと待機している人物がいた。
「ようこそ、セシカ・カーマイン様。遠いアースガルまでわざわざご足労いただきありがとうございました」
 銀髪の少女がにこやかにセシカを出迎える。身長こそ子供とは言い難い背丈になりつつあるが、顔にはまだまだ幼さが残っていた。
「私が第2王女、シグルーン・アースガルです」
 だが、この小さな少女が背負った物はあまりにも大きい。国一つを背負っているも同然の立場ながらも、それを感じさせない落ち着いた佇まいに、セシカは得心めいたものを感じる。
(なるほど……これがあのベルヒルデの妹……シグルーン王女か。確かに似ているかもしれない)
 そんなことを思っている内に、自身が挨拶もせずに無言でシグルーンの顔を見つめているという無礼を働いていたことに気付いたセシカは、慌てて口を開いた。
「あ、ウチは……いえ、私はセシカ・カーマインです。以後お見知りおき下さい」
 深々と頭を下げるセシカに対して、シグルーンは少し恐縮したような表情を浮かべる。
「ああ、普段通りでいいですよ。私の方があなたの半分以下の年下なのですから」
「いえ、王族の方に礼儀を尽くすのは、国民の義務ですし……」
「その王族がやめて下さいと言っているのです」
「はあ……なら仕方がねーです……」
 あ、こいつは頑固者だなぁ?と感じたセシカは、あっさりと折れることにした。それに彼女自身も礼儀作法には疎い。だからこそ、これから切り出されるシグルーンの話が怖かった。
「それにこれから私の側で働いてもらうのですから、親しみという物がないと堅苦しいと思うのです」
(きた────っ!!)
 シグルーンの言葉に、セシカの身体がビクン跳ねる。
「や……やっぱり仕官の話で……?」
「ええ、あなたに戦乙女騎士団(ワルキューレナイツ)の団長をお願いしたいのです」
 そう告げるシグルーンの笑顔が、セシカには悪魔に見えた。


 次回へ続く(※更新は不定期。更新した場合はここにリンクを張ります)。

執筆日記。

2016年04月14日 01時46分27秒 | 日記
 ども、江戸です。「赤髪のセシカ」は物語の大筋が徐々に決まってきた感じ。そして描かなくてはならない事も色々とあるのですが、それをどうすればより面白くなるか……という所で苦心しますねぇ。面白さなんて人それぞれだから、なかなか万人受けする物を描くのは難しいのだけれど、だからこそ自分が面白いと思う物を描くしかないのですよね。
 しかし、何度も内容を推敲していると何が面白いのか分からなくなってくるんだよなぁ。ゲシュタルト崩壊的な。結局、深く考えずに勢いで描いた物の方が面白くなる事が多いのだけれど、そういうのは調子のいい時じゃないとなかなか発動しない……。
 あと、コミカルな要素を入れたいと思ってもなかなか入れられないのは歳の所為か……。ギャグは若い感性が無いと難しいのかも知れませんねぇ……。