http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140614513.html へのリンク
2014年6月14日(土)10:09
(産経新聞)
集団的自衛権の行使容認をめぐる与党協議で、憲法解釈変更の閣議決定の核心部分となる自衛権発動の新3要件が示されたことで、政府・自民党と公明党の攻防は最終章に突入した。公明党は行使容認にかじを切ったが、党内や支持者への説得はこれからで、苦悩もにじむ。新3要件のペーパーに「集団的自衛権」の文言はない。ただ安倍晋三首相は、この6文字の明記という「完全決着」に向けて公明党を押し切る構えだ。
13日午前8時から国会内で行われた「安全保障法制整備に関する与党協議会」。最後の10分あたりで、自民党の高村正彦副総裁はこう切り出した。
「公明党の山口那津男代表は論理的整合性、継続性、法的安定性を強調し、昭和47年の政府見解に言及されてきました。そこで、私なりに十分に配慮した上で自衛権発動の新3要件を考えました」
配布されたペーパーに目を通した公明党の北側一雄副代表は「ちょっと見ただけでも十分でない点がありますね。この重大な提案は時間をかけないと結論を出すのは難しいです」と顔をしかめた。
北側氏は水面下で高村氏に、47年見解を基にし、行使を「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限定するよう求めていた。ところが、ふたを開けてみると「-が根底から覆されるおそれがあること」になっていたからだ。
もっとも、抵抗にも限界があるといった認識が公明党内に広がりつつある。
首相は8日、閣議決定する文言作成にたずさわる兼原信克、高見沢将林両官房副長官補らを首相公邸に呼んだ。必要最小限度の自衛権を行使できる-。「個別的」と「集団的」の区別なくそう書かれた原案を見た首相は、手を振り払うようなしぐさをしながら怒りをあらわにした。
「こんなんじゃダメだ」
首相が妥協しない姿勢を鮮明にした瞬間だった。原案には「憲法9条に関する論点」という付録も添えられ、「9条は全ての武力を放棄していない」などの4点が記されていた。付録の中で集団的自衛権の行使容認をにじませようとしたのは明らかだった。そんなやり方が、首相の怒りに拍車をかけた。
政府が提示した事例集に対し「個別的自衛権や警察権で対処可能」などと抵抗することで、憲法解釈変更の閣議決定を先送りさせ、うやむやにさせる。そんな公明党の戦術は破綻した。公明党は集団的自衛権行使容認の範囲をいかに狭めるかの作戦に転換した。早くから「連立離脱」カードを捨てた公明党にとって、行使容認拒否を最後まで貫くことは不可能だった。
高村氏と石破茂自民党幹事長は13日の与党協議会が終わると官邸を訪ね、首相に協議内容を報告した。「なかなか悪戦苦闘しています…」。そう語る高村氏に首相はなおもこう語り、公明党への働きかけを強めるよう指示した。
「国の存立、国民の権利を守るために、必要なことはきちんとできなければいけない。そういうたたき台でなければならない。しっかりやってほしい」
ただでさえ公明党に配慮した「たたき台」とあって、首相はこれ以上、譲る気はない。事態を見守っているのは米国サイドも同じだ。マイケル・グリーン元国家安全保障会議アジア上級部長は今月1、2両日に来日した際、ある自民党議員にこう語ってみせた。
「東アジアで集団的自衛権を認めないのは中国共産党と日本共産党、社民党だけだ。公明党はどういう態度をとるのだろうか…」
「集団的自衛権」折れた公明 完全決着へ首相攻勢 うやむや戦術が破綻
2014年6月14日
集団的自衛権の行使容認をめぐる与党協議で、憲法解釈変更の閣議決定の核心部分となる自衛権発動の新3要件の「たたき台」が示されたことで、政府・自民党と公明党の攻防は最終章に突入した。公明党は行使容認にかじを切ったが、党内や支持者への説得はこれからで、苦悩もにじむ。新3要件のペーパーに「集団的自衛権」の文言はない。ただ安倍晋三首相は、この6文字の明記という「完全決着」に向けて公明党を押し切る構えだ。
◆「こんなんじゃダメ」
13日午前8時から国会内で行われた「安全保障法制整備に関する与党協議会」。最後の10分あたりで、自民党の高村正彦副総裁はこう切り出した。
「公明党の山口那津男代表は論理的整合性、継続性、法的安定性を強調し、昭和47年の政府見解に言及されてきました。そこで、私なりに十分に配慮した上で自衛権発動の新3要件を考えました」
配布されたペーパーに目を通した公明党の北側一雄副代表は「ちょっと見ただけでも十分でない点がありますね。この重大な提案は時間をかけないと結論を出すのは難しいです」と顔をしかめた。
北側氏は水面下で高村氏に、47年見解を基にし、行使を「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限定するよう求めていた。ところが、ふたを開けてみると「-が根底から覆されるおそれがあること」になっていたからだ。
もっとも、抵抗にも限界があるといった認識が公明党内に広がりつつある。
首相は8日、閣議決定する文言作成にたずさわる兼原信克、高見沢将林両官房副長官補らを首相公邸に呼んだ。必要最小限度の自衛権を行使できる-。「個別的」と「集団的」の区別なくそう書かれた原案を見た首相は、手を振り払うようなしぐさをしながら怒りをあらわにした。
「こんなんじゃダメだ」
首相が妥協しない姿勢を鮮明にした瞬間だった。原案には「憲法9条に関する論点」という付録も添えられ、「9条は全ての武力を放棄していない」などの4点が記されていた。付録の中で集団的自衛権の行使容認をにじませようとしたのは明らかだった。そんなやり方が、首相の怒りに拍車をかけた。
政府が提示した事例集に対し「個別的自衛権や警察権で対処可能」などと抵抗することで、憲法解釈変更の閣議決定を先送りさせ、うやむやにさせる。そんな公明党の戦術は破綻した。公明党は集団的自衛権行使容認の範囲をいかに狭めるかの作戦に転換した。早くから「連立離脱」カードを捨てた公明党にとって、行使容認拒否を最後まで貫くことは不可能だった。
◆米国サイドも注視
高村氏と石破茂自民党幹事長は13日の与党協議会が終わると官邸を訪ね、首相に協議内容を報告した。「なかなか悪戦苦闘しています…」。そう語る高村氏に首相はなおもこう語り、公明党への働きかけを強めるよう指示した。
「国の存立、国民の権利を守るために、必要なことはきちんとできなければいけない。そういうたたき台でなければならない。しっかりやってほしい」
ただでさえ公明党に配慮した「たたき台」とあって、首相はこれ以上、譲る気はない。事態を見守っているのは米国サイドも同じだ。マイケル・グリーン元国家安全保障会議アジア上級部長は今月1、2両日に来日した際、ある自民党議員にこう語ってみせた。
「東アジアで集団的自衛権を認めないのは中国共産党と日本共産党、社民党だけだ。公明党はどういう態度をとるのだろうか…」
(産経新聞テキスト朝刊)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140614083.html へのリンク
2014年6月14日(土)07:59
(産経新聞)
自民党の高村正彦副総裁は13日、安全保障法制整備に関する与党協議会の会合で、集団的自衛権の行使を認める自衛権発動の新3要件の「たたき台」を示し、憲法解釈を変更する閣議決定の柱とすることを提案した。安倍晋三首相は高村氏らに与党合意を急ぐよう改めて指示。公明党は新3要件を受け入れる方針を固めた。
新3要件は自衛権の発動を(1)わが国または他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる-という場合に限定する。
集団的自衛権を行使できるよう、従来の自衛権発動要件を他国への武力行使に広げつつ、公明党が行使容認の根拠に据える昭和47年の政府見解を引用。「国民の生命などが根底から覆されるおそれ」と厳しい歯止めをかけた。高村氏は「閣議決定案の核心部分にあたる」と説明した。
公明党はその後、党安全保障関係合同会議を開き、北側一雄副代表が新3要件の内容を説明。山口那津男代表は同日の参院議員総会で、憲法解釈変更について「(与党で)合意を目指す姿勢で臨みたい」と述べ、方針転換を表明した。
首相は高村氏と官邸で会談し、新3要件に関し「その線でやってほしい」と述べた。公明党は党内調整を本格化させるが、閣議決定は22日の国会会期末以降にずれ込む可能性がある。