http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140623059.html
014年6月23日(月)07:59
産経新聞
20日の安全保障法制の整備に関する与党協議会で、自民党は戦時中の機雷掃海作業を完遂できるよう、国連が侵略国に制裁を加える「集団安全保障」措置に基づく武力行使への自衛隊参加を検討すべきだと提起した。集団安全保障下での機雷掃海作業がなぜ必要なのか。論点を整理した。(小田博士)
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◆ホルムズ海峡想定
「死活的問題になる。しっかり対応できるよう、与党協議で正面から議論してもらいたい」
小野寺五典(いつのり)防衛相は21日、視察先の大分県別府市で、海上自衛隊が全面的な機雷掃海活動をできないのは問題だと強調した。
政府の事例集が示す機雷掃海活動は、中東のホルムズ海峡をイランが封鎖するケースを想定している。同海峡では日本が輸入する原油の8割が通過しており、機雷が敷設されて海上交通路(シーレーン)が封鎖されれば、日本にとって死活的な問題になる。
海自は現在、停戦後の遺棄機雷であれば掃海できる。「警察権の行使」として危険物を除去していると解釈し、憲法9条が禁じる「武力の行使」に当たらないとしている。
機雷掃海の議論で新たに浮上したのは「掃海中に国連安保理決議が出て集団安全保障措置に移行した場合、海自は活動をやめるのか」という点だ。
安倍晋三首相は5月15日の記者会見で、政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が国連の集団安全保障措置への自衛隊参加について憲法上の制約はないとしたことに対し「憲法はこうした活動の全てを許していない。自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することは決してない」と強調した。
ただ、首相が否定した集団安全保障は、戦闘行為に参加することであり、戦闘行為に参加しない範囲での武力行使までを否定したわけではない。
◆受動的かつ限定的
自民党は20日の与党協議会で、集団安全保障措置に基づく武力行使に自衛隊の参加を認めたい考えを公明党に示した。
自民党の石破茂幹事長は22日、BS-TBSの番組で、集団安全保障措置下での自衛隊の機雷掃海活動について「武力行使にはなるが、向こうがやったものを取り除くので、受動的かつ限定的となる」と述べ、能動的な戦闘行為と区別すべきだと指摘した。
また、国連憲章は51条で、自衛権の発動は多国籍軍結成といった集団安全保障までの経過措置だと位置づけている。
自民党幹部は、「機雷掃海中の自衛隊が集団安全保障になるとやめるという論理は成り立たない。国際的な批判も浴びかねない」と訴えた。
だが、公明党は集団的自衛権を行使できる範囲を日本周辺にとどめたい考えで、遠く離れた中東での戦時中の機雷掃海参加には慎重だ。「極めてまれな話を議論してどうするのか。自民党の主張は法理としては分かるが、集団安全保障まで持ち出されると党内がまとまらなくなる」(党幹部)という。