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第24話 ビター・ブラック中編

2008-09-13 22:56:27 | 第24話 ビター・ブラック
第3章 ポルトープリンス狙撃・・・


2008.09.13(土)

 翌日、朝食をとり早速首都のポルトープリンスの狙撃へと向かう。

 時間は今日しかない。

 ペチョンビルの中心サンピエール広場 


 ペチョンビルからポルトープリンス行きのバスがあるマーケットエリア。無節操な人の動きやその喧騒、脆弱なインフラなどどこをどうとったらここを高級住宅街と言えるのかは私には分からない。
 



 マーケットエリアからポルトープリンスへ向かう

 ちなみに交通機関は中型バス、ミニバス、荷台を改造したステーションワゴンなど、料金はどれもいっしょだが、こうした貧しい国の常として満員になったら発車するシステム、座席も改造しているので満員時はイナバの物置状態だ。

 これは乗った中型バスの中から撮影


 私はポルトープリンス観光の中心、シャンプ・デ・マール付近でバスを下ろしてもらう。

 シャンプ・デ・マールにその横の独立広場。
 

 シャンプ・デ・マールの横にある国立博物館に記念塔?これも立派
 


 国力にまったくそぐわない立派な大統領邸
 

 これも無意味に立派な教会。残念ながら中に入れなかった。


 郵便局。この前の屋台で地図をうっていたのでゲット!観光案内所がしまっていたので良かった。


 そして海岸近くにあった世界統合広場(正式な名称は不明というか忘れた)、日本の国旗もある。
 

 墓場の入口と、その横の壁に描かれていた絵なんともシュールでいい。
 

 海沿いに出て撮影した景色。どう見ても浮浪者風の人間がたむろしており、入った瞬間に鋭い視線を感じてこちらを怪訝な顔で凝視する者もいたのでここに行く事はあまりお勧めできない。私も入って写真を撮ったら速攻で抜け出した。ちなみにここから海岸線を眺めていると遠くにスラム街も見える
 


 そしてカラフルなバス(中距離以上と思われる。利用はしていない)パキスタンやバングラディッシュを髣髴させる。
 





 独裁色の強い国家の傾向としては政府関係の建物や広場、そこにあるモニュメントが無意味に立派というのがある。
 己の権力を誇示するというのが彼らの目的だ。
 こんな物に金をかける以前にもっと他にやるべき事が山済みの筈だが独裁者はそんな事を気にしてはいない。
西半球最貧国と言われるこの国も多分にもれないがこれがハイチの真の姿ではない。




 ここで最も目に付く物、それは道路に溢れるおびただしい量のゴミである。そしてこのゴミがこの国の真実を最も雄弁に語っているのである。



 街並と道路に固まっているゴミ
 

 


 こんな感じで街中の至る所で目にする。臭いも凄まじく、横を通ると異臭が鼻をついて気持ち悪くなるほどだ。




それにここはフランス語圏だ。私が歩いているとしばし「シノワ(中国人の蔑称、英語で言えば日本人をジャップというのに相当する)」と私をさして呼び声が聞こえてくる。

 以前ならカッとして言い返すところだが私の最近の反応は変ってきている。

 肩をすくめて「ふぅ~」っと溜息をつき相手を明らかに憐れむ目線を送って「馬鹿は仕方ない」と態度で示すようになってきているのだ。

 それにしても黒人国家、いままで多く行って来たが大抵の傾向としてはこうだ。

白人は旧植民地時代の支配者だから彼らにとっては「シェフ(だんな)」と言って卑屈な態度を取る、そしてその卑屈になって歪んだ精神の矛先が東洋人に向かう。中国人が世界中に展開し、彼らの閉鎖的なコミュニティーを形成してその国の利益を吸い取るだけ吸い取ってその国には還元しないというのも一因にあるが、中国人が多分彼らの10分の1ほど働けば彼らの10倍は働いていることになり、そうなれば儲かるのは当たり前だが、彼等は不当に搾取されているとしか感じない。
 そして彼らから見たら我々が黒人は全員一緒に見えるのと同様に、東洋人は中国人も韓国人も日本人も一緒に見えるから私の国籍が何であれ一番目に付く中国人として、彼らの卑屈になった精神の腹いせに歪んだ精神を持って侮辱する。

これが正解かどうか?私にはわからないが今までの経験から言ってこう感じてしまうのも仕方が無いことだろう・・・

それにしても腹立たしいことこの上ない。せめて「シノワネーゼ(フランス語の中国人)」と言ってくればいいものを「シノワ」と言うのはやはり気に入らない。

ここはアフリカではなくカリブ海だ。だが彼らの歪んだ精神は海を遠く隔てたここでもきちんと継承されている・・・



 話は急に変わるが、私はここで一つ、どうしても言いたいことがあった。


(ほわんほわんほわーん:注・回想というか妄想シーンです)

デューク東城、以下“D”『あれっ、こんなところに観光客。お美しい方ですね、日本からきた女子大生ですか??』 

美人女子大生、以下“美”「ええっ、夏の休暇がありますので・・・それにハイシャンアートに興味があったものですから・・・」

D 『それは奇遇ですね、私もハイシャンアートに興味が合ってここを訪れたのですよ(注:実際はアートのアの字も知りません)。でもこんな国で、それもこんな所でばったりと出会うなんて・・・これも運命かもしれませんね・・・』

美 「はい、私もそう思います、これは神が成された奇跡の出会いでは・・・」

D 『どちらに泊まられているんですか?』

美 「そこにある一流ホテルに・・・」

D 『そうですか、この後夕食でもと思ってましたが・・・私は残念ながらペチョンビルへ戻らなければなりません』

美 「せっかくこうして出会えたのに残念ですわ・・・」

D 『ええ、でも私はこの出会いをこのまま終わらせたくはありません、メールのアドレスを教えていただきますか?』

美 「はい、よろこんで・・・」

D 『では一緒に記念撮影をしましょう、後でメールを送りますよ!』

美 「いいですわよ」

D 『じゃあ私が声を掛けますのでこう答えてください(耳打ちして台詞を教える)』

D 『ではいきます。ハイチと言ったら??』

美 「ハイ・チーズ・・・!!」


 (ほわんほわんほわーん・注:回想シーン終わり)


 だが、政情不安定のこの国で日本人美人女子大生はおろか、観光客など全く見ることはない。


 私はこのどうしても言いたかった一言を諦めペチョンビルへ戻ることにした。


 首都狙撃を終えた今、後は安全圏であるドミニカ共和国へ脱出するだけだ・・・




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