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第544回 小規模多機能居宅介護への移管に思う

2010-08-13 00:22:41 | 実践
小規模多機能居宅介護は、
「通いを中心として、訪問と泊まりを一つの事業所で担う」形の、事業所で、
ケアマネジメントも、その事業所で行います。
それ以外の、福祉用具の貸与や訪問看護は、マネージメントにより地域にある社会資源を利用します。
平成18年4月の改正介護保険法から、介護の新しい形としてスタートしたサービスです。

        
Aさん、Bさんは、それぞれ、行政と地域包括から、
新規で、認知症があって、家族以外の介護を受け入れず、通所系サービスも本人が拒否していて、家族が困っているのでと
居宅介護支援の依頼があったケース。
依頼があって、最初の面談から、これは小規模多機能居宅で、「馴染み」の関係を作りながら、
徐々に、利用者さんと家族の距離を見計らっていくことで、
よい介護関係にいることができるようになるんじゃないの?と思ったケース。

従って、初回面接をし、当面のサービスを検討しつつ、小規模多機能居宅についても説明し、施設の見学もおこなってもあらったため、
あっさりと、移管することができました。

Cさんは、やはり地域包括からの依頼でしたが、依頼を受けたときから、骨部に床ずれができており、
まずはその治療に専念するため、居宅介護支援を開始。
床ずれが治りつつあるところで、転倒・骨折のため入院。
退院を期に、介護力の弱さから、デイサービスやショートステイの利用を行うことが望ましいだろうということと、
近隣では、そのショートステイがタイムリーに取りにくいのと、
通いと泊まりを同じスタッフがケアをしてくれることで、より安心ができるのでは、と紹介し、
小規模多機能居宅に移管。

Dさんは、認知症やアルコール依存症のため、在宅介護の限界がきていたケース。
特養等の施設入所が望ましいと思っていたのですが、待機者が多すぎ、いつ順番がまわってくるか・・・。
そのため、ショートステイを利用しやすかったり、デイサービスの送迎時間を、家族の介護状況に合わせ、
より融通がきくだろうと、小規模多機能居宅を紹介し、移管。

そして、移管できなかったEさんは、
やはり、徘徊等のため、在宅での介護はぎりぎりの状態。
地域事情から、ショートステイの利用が思うようにいかず、それだったら、デイサービスを多く利用したいと、
小規模多機能居宅の利用を検討したけれど、
小規模多機能居宅事業所で、他の利用者さんとの定員の関係上、デイサービスの利用も週3回程度が限界といわれたのと、
費用負担の兼ね合いから、移管にはいたらず・・・といったもの。

        

今日、面接をした利用者さん。つい最近、配偶者を亡くし、一人暮らしとなり、介護は別棟にすむご兄弟が行って下さっています
ヘルパーさんがきて、入浴介助をしてもらうことは、問題はないのですが、
通所系サービスの利用は、拒否。
介護者であるご兄弟は、自分たちには仕事もあるので、
出来れば日中に、何回かでもデイサービスを利用できたり、ショートステイを利用したい、とおっしゃられます。

私のシナリオは、
小規模多機能居宅に移管して、その事業所からヘルパーさんに入浴介助にきてもらい、顔なじみになってもらい、
そのヘルパーさんが迎えにきてくれて、デイサービスに行けるようになり、
そこで、また「馴染み」の関係をつくっていってくれないかな・・・というもの。

ここで、課題になるのが、
一つは、その利用者さん宅と小規模多機能居宅の場所が、離れてるということ。
本来、小規模多機能居宅は中学校区に一つあることを目指しているのですが、なかなか、施設がふえません。
あまり、利用者さんと施設の距離があると、タイムリーな訪問やデイサービスの送迎が行いにくくなったりする可能性があります。
そして、もっと大きな課題が、
小規模多機能居宅をりようするためには、
現在、利用いている訪問介護事業所や、ケアマネジャーを、その事業所に変更しなければならない、ということ。

先に挙げたAさん、Bさんは、先にも書いたように、最初から小規模多機能居宅についても説明していたので、
さほどの苦労はなかったのですが、
Cさん、Dさん、そして移管にはならなかったEさんの場合は、
やっと使い慣れて、安心してサービスを受けられている今の各事業所との契約を打ちきって、
新たな関係を築かなくてはならないことに対し、
時には、私に対し「自分のところのケアマネをするのが大変で、イヤになったのか」と言われたりもしながら、
何度も移管するメリット、デメリットを話し合いし、悩み、考えた上で決断していただきました。


小規模多機能居宅の利用が進まない理由を、行政等からの報告書をみると、
1)小規模多機能居宅について、在宅のケアマネジャーがその仕組みをよくしらないので、紹介できない
2)居宅介護支援から小規模多機能居宅に移すと、居宅介護支援事業所の利用者が減る(=減収)となるので、紹介しない
といったことが、書かれている事が多いです。

確かに、1)はあるように思います。
それは、在宅のケアマネジャーだけでなく、Aさん、Bさんのように、利用者家族がファーストコンタクトをとる相談援助機関が、
そのことを知らないが故に、インテー機能を十分に発揮できていないことにも、一因があるのではないかと思います。
そして、もう一つは、
一度、作り上げてきた援助関係をきって、他の機関と新たに援助関係を作らなければならないということ、
そして、もし、その小規模多機能居宅において、よい援助関係が築けなかった場合、
また、全てのサービスを変更しなければならない、
心理的な不安や、時間的な負担感が大きいということもあるようい思います。


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