第963回 サービス提供責任者としての判断

今日は休みだったが、朝一番で、
「Ａ訪問介護事業所さんから、
　Ｂさんの家族から、昨日はデイサービスだったが、眠気が強く、入浴ができなかった。
　今日、ヘルパーさんに来てもらうときに、入浴を介助してもらえないか、
　と、連絡があったので、事業者さんに返事をしてほしい」
事業所から電話が入った。

こういう問題で、休みであるケアマネに連絡が入るから、
「ケアマネには休みはないのか？」
「24時間、365日、仕事に縛られている感じがする」と
ケアマネ業務への負担感につながっているのではないか、と思いながら、
訪問介護事業所に電話。

介護保険制度においては、
ケアマネジャーが作成したケアプランにそって、サービス提供事業者が個別援助計画を作成し、サービス提供にあたる。
Ｂさん宅においては、入浴に関するニーズに対しては、デイサービスで対応としており、
ヘルパーへは、買いもの援助を依頼していた。

とりあえず、サービス提供責任者に電話し、事業所として、どう考えますか？と聞いた。
そして、かえってきた答えは
「昨日のデイサービスでは、眠剤が残っていたのか、フラフラしていた。
　今日も、朝はまだ眠気が強いようだが、訪問するのは午後なので、なんとかなるのかなと思う。
　ただ、もちろん依頼内容に入浴介助は入っていないし、浴室もどのようなところかもしらないので、
　ケアマネに確認してから返事することにしてあります」
というものだった。

どうも、私としてはしっくりいかないんだな・・・。

今回のような依頼に関しては、身体的状況云々ではなく、
「ケアプランと個別援助計画にそってのサービス提供である」ということで、
サービス提供責任者に、家族から依頼があった時点で、断ってもいいんじゃないかな～と、思う。
もし、これで、ケアマネジャーが
「では、お願いします」っていったら、ケアマネの了解があったからと、
その日のヘルパーに「入浴介助をしてあげてください」と言っちゃうのだろうか？

確かに、利用者さんには「ヘルパーさんにも、入浴介助は依頼できる」ということを話してある。
しかし、同時に「ケアプランと個別援助計画にそって」ということも伝えてある。
そして、利用者さんへは「ケアプランと個別援助計画にそって」ということは、
意識されにくいことだとは思う。
でも、だからこそ、介護保険サービスは「ケアプランと個別援助計画にそって」提供されるサービスであることを、
事ある毎に利用者さんに知っていただく努力も必要なのだと思う。

今回のことで、もし考えるとすれば「緊急時訪問介護加算に想定するかどうか、ということだろう。
しかし、今回のような状況で、入浴の介助が緊急性を要することなのかと思うと
その可能性も低いと思われる。
また、もしこの加算を適応させようとすれば、ケアマネジャーへは事後報告でも構わないことになっている。

サービス提供責任者さんへは、このようなことを話し、今回は入浴介助の依頼についてはお断りさせていただくことにした。
すると、サービス提供責任者は「では利用者さん宅に言ってもらえますか？」というので、
「えっ、私が？」と思い、私は、今日は休みであることと
入浴介助ができないことを「ケアプランにない援助」ということで、ケアマネジャーにその責任を持っていって良いことを伝え、
家族への事情説明を、そのサービス提供責任者へお任せすることにした。

だって、もし、私に連絡がつかなかったら、
サービス提供責任者がどうしなければならないかを判断しなければならないから・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

在宅支援において、訪問介護におけるサービス提供責任者という役割は、とても重要だと思っている。
個人的には、訪問看護より、ケアマネジャーより、
何より、利用者さんの生活の一番身近にいてくださるサービス提供責任者が、
介護保険サービスの要になるのでは、と思うくらいだ。

サービス提供責任者としての、介護にたいするアセスメントと、
介護保険制度とケアマネジメントに対する理解。
もっと、もっと、サービス提供責任者さんへは、自信と責任をもって活動していってほしい。