・「惨殺の月夜」/テリル・ランクフォード
コールダーは、一流の殺し屋だった。スマートな殺し方で、苦痛を与えず、無関係な者を巻きこまない。しかしそんな彼も引退しようと思うようになってきた。もちろん年齢のせいもある。どんなに殺しても「悪」はなくならないと思うようになり、そんな生き方に嫌気がさし始めてきたところだった。
そんな彼に、雇い主から仕事が入った。バクスターという男、表向きは不動産屋だが収入の大部分は麻薬の流通である。こんな男の雇い主になった覚えはないのだが、ともかく彼は配下のフレドリクソンが仲間たちを殺しまわって反逆しているので、コールダーに彼を止めてほしいと求めてきたのだ。このフレドリクソンという男は、コールダーを殺し屋に仕立て上げた、パートナーとも師匠ともいうべき人物である。
やむにやまれぬ事情から、コールダーは渋々仕事を受けることにする。実はフレドリクソンこそ、コールダーが殺し屋をやめようと思った原因の一つでもあった。彼は、無頓着に殺しすぎる。この考え方の対立が、いつか二人を敵対させるという予感は昔からあった。こうしてコールダーは、フレドリクソンを始末すべくロサンジェルスの街を徘徊するのであった…。
巻末の解説を見ると、作者はいわゆるB級映画の脚本を多く手がけたライターで、それが今作にも多く反映されているとのことだけど、う~む特に最初のほうを読んでいる限りではそんなエッセンスは感じられなかったな。殺し屋、という設定こそB級っぽいけど、テンポよく進むストーリーやアクションなど、むしろ一級のハードボイルドアクションなんじゃないの?と思ってしまう。まあ最初はね。
でもこれが中盤からになると、物語は大きく豹変。コールダーの宿敵・フレドリクソンがどんなに殺しても殺しても死なないのである。え?コレどうなってるの?とわが目を疑うコールダーだが、その正体はなんとびっくり、フレドリクソンは南米の地で呪いにかかり、不死身の狼男に変化していたというオチで…。
ああそうなのか、やっぱりこの展開こそB級と言われる所以なのか!と思ってしまった。この偉大なる一発ギャグのために、前半の丁寧なハードボイルドパートがあるのだと。でもこういうのは読んでいてスッキリして面白いし、決してB級がダメってことでもないわけだし。何か笑えてしまうんだけど、不思議とカッコいいセンスに、大いに敬意を表したいです。
コールダーは、一流の殺し屋だった。スマートな殺し方で、苦痛を与えず、無関係な者を巻きこまない。しかしそんな彼も引退しようと思うようになってきた。もちろん年齢のせいもある。どんなに殺しても「悪」はなくならないと思うようになり、そんな生き方に嫌気がさし始めてきたところだった。
そんな彼に、雇い主から仕事が入った。バクスターという男、表向きは不動産屋だが収入の大部分は麻薬の流通である。こんな男の雇い主になった覚えはないのだが、ともかく彼は配下のフレドリクソンが仲間たちを殺しまわって反逆しているので、コールダーに彼を止めてほしいと求めてきたのだ。このフレドリクソンという男は、コールダーを殺し屋に仕立て上げた、パートナーとも師匠ともいうべき人物である。
やむにやまれぬ事情から、コールダーは渋々仕事を受けることにする。実はフレドリクソンこそ、コールダーが殺し屋をやめようと思った原因の一つでもあった。彼は、無頓着に殺しすぎる。この考え方の対立が、いつか二人を敵対させるという予感は昔からあった。こうしてコールダーは、フレドリクソンを始末すべくロサンジェルスの街を徘徊するのであった…。
巻末の解説を見ると、作者はいわゆるB級映画の脚本を多く手がけたライターで、それが今作にも多く反映されているとのことだけど、う~む特に最初のほうを読んでいる限りではそんなエッセンスは感じられなかったな。殺し屋、という設定こそB級っぽいけど、テンポよく進むストーリーやアクションなど、むしろ一級のハードボイルドアクションなんじゃないの?と思ってしまう。まあ最初はね。
でもこれが中盤からになると、物語は大きく豹変。コールダーの宿敵・フレドリクソンがどんなに殺しても殺しても死なないのである。え?コレどうなってるの?とわが目を疑うコールダーだが、その正体はなんとびっくり、フレドリクソンは南米の地で呪いにかかり、不死身の狼男に変化していたというオチで…。
ああそうなのか、やっぱりこの展開こそB級と言われる所以なのか!と思ってしまった。この偉大なる一発ギャグのために、前半の丁寧なハードボイルドパートがあるのだと。でもこういうのは読んでいてスッキリして面白いし、決してB級がダメってことでもないわけだし。何か笑えてしまうんだけど、不思議とカッコいいセンスに、大いに敬意を表したいです。