・「幼年期の終わり」/アーサー・C・クラーク
世界の都市の上空を覆い尽くすオーヴァーロードの艦隊。この無言の圧力によって、世界は瞬く間に統一された。オーヴァーロードの総督・カレランは直接人類に語りかけることはなく、橋渡し役に国連を指定した。これによって、カレランの意思は全世界に通達される。
こうして人類は誰も飢えず、争いも起きない平和な世界を手に入れたものの、決して姿を見せないオーヴァーロードに対して懐疑的な意見もあった。一体彼らの目的とは何なのか?国連のストルムグレン事務総長は会合のたびにカレランに迫るのだが、知能で勝るオーヴァーロードにいつもはぐらかされてしまう。が、やがてカレランは人類に約束する。今から50年後、わたしたちは姿を現そう、と。わたしたちは人類を見守るものであり、それ以上の干渉はしないと。
それからついに50年後、オーヴァーロードは地上に降り立った。大きな翼に、頭に突き出た鋭い角…その姿はまさに、太古の人類が描く悪魔そのものの姿だった…。
アーサー・C・クラークによる、誰もが名前くらいは聞いたことのあるSFの名作。…となればハヤカワ文庫版を思い浮かべてしまうけど、今回は光文社の古典新訳シリーズで読んでみた。これは名作文学をわかりやすい今の言葉で新訳してるシリーズなんだけど、これがけっこう読みやすくていい(文字も大きめだし)。しかも解説を読んでみれば、これは1990年に第1章を書き直した新バージョンだそうだ。
物語は異星人オーヴァーロードとのコンタクトに始まり、それから起こる人類の進化…というか変異といえばいいのか。オーヴァーロードの監視によって事実上宇宙渡航を禁じられた人類は、精神方向に進化を始める。見えるはずのない遠くの宇宙が見えたり、物を動かす念力が使えたり。そのブレイクスルーの最初の子供こそ、オーヴァーロードの待ち望んでいたものだった。
そのあとはオーヴァーロードの仕えるさらなる上位種・オーヴァーマインドとの精神融合が始まり、地球が消えていく…といった、ちょっと気持ち悪い展開になってしまうんだけど、その合間に宇宙を密航する青年の物語が挿入されていて、これが面白い。
彼は物語の中盤で偶然オーヴァーロードの母星の情報を手に入れ、クジラの標本の中に潜り込む。案の定すぐ見つかって地球へ送還されることになるんだけど、それまでのしばらくの間、彼は異星人の文化に触れることになる。ここのくだりは本当にシンプルに、宇宙旅行モノといった感じで楽しい。この後地球へ帰った青年ジャンは、地球と人類最後の時を見届けることになるんだけどね…。
それからオーヴァーロードといえば、DSのRPG「無限航路」に出てきたラスボスの名前だったな。もちろんこの作品が元になってるんだけど、どちらかといえばオーヴァーマインドがそれに近い存在か。いやー、こう見えてあんまり名作SFというのを読んでない俺だから。ああこれがそうだったのか、って。
あとクラークは人工衛星の発案者だった、ということも年表から。厳密には人工衛星による通信のアイデアなんだけど、これを発表したのが1945年、実際に実現する25年も前だった…ということだそうですよ。
世界の都市の上空を覆い尽くすオーヴァーロードの艦隊。この無言の圧力によって、世界は瞬く間に統一された。オーヴァーロードの総督・カレランは直接人類に語りかけることはなく、橋渡し役に国連を指定した。これによって、カレランの意思は全世界に通達される。
こうして人類は誰も飢えず、争いも起きない平和な世界を手に入れたものの、決して姿を見せないオーヴァーロードに対して懐疑的な意見もあった。一体彼らの目的とは何なのか?国連のストルムグレン事務総長は会合のたびにカレランに迫るのだが、知能で勝るオーヴァーロードにいつもはぐらかされてしまう。が、やがてカレランは人類に約束する。今から50年後、わたしたちは姿を現そう、と。わたしたちは人類を見守るものであり、それ以上の干渉はしないと。
それからついに50年後、オーヴァーロードは地上に降り立った。大きな翼に、頭に突き出た鋭い角…その姿はまさに、太古の人類が描く悪魔そのものの姿だった…。
アーサー・C・クラークによる、誰もが名前くらいは聞いたことのあるSFの名作。…となればハヤカワ文庫版を思い浮かべてしまうけど、今回は光文社の古典新訳シリーズで読んでみた。これは名作文学をわかりやすい今の言葉で新訳してるシリーズなんだけど、これがけっこう読みやすくていい(文字も大きめだし)。しかも解説を読んでみれば、これは1990年に第1章を書き直した新バージョンだそうだ。
物語は異星人オーヴァーロードとのコンタクトに始まり、それから起こる人類の進化…というか変異といえばいいのか。オーヴァーロードの監視によって事実上宇宙渡航を禁じられた人類は、精神方向に進化を始める。見えるはずのない遠くの宇宙が見えたり、物を動かす念力が使えたり。そのブレイクスルーの最初の子供こそ、オーヴァーロードの待ち望んでいたものだった。
そのあとはオーヴァーロードの仕えるさらなる上位種・オーヴァーマインドとの精神融合が始まり、地球が消えていく…といった、ちょっと気持ち悪い展開になってしまうんだけど、その合間に宇宙を密航する青年の物語が挿入されていて、これが面白い。
彼は物語の中盤で偶然オーヴァーロードの母星の情報を手に入れ、クジラの標本の中に潜り込む。案の定すぐ見つかって地球へ送還されることになるんだけど、それまでのしばらくの間、彼は異星人の文化に触れることになる。ここのくだりは本当にシンプルに、宇宙旅行モノといった感じで楽しい。この後地球へ帰った青年ジャンは、地球と人類最後の時を見届けることになるんだけどね…。
それからオーヴァーロードといえば、DSのRPG「無限航路」に出てきたラスボスの名前だったな。もちろんこの作品が元になってるんだけど、どちらかといえばオーヴァーマインドがそれに近い存在か。いやー、こう見えてあんまり名作SFというのを読んでない俺だから。ああこれがそうだったのか、って。
あとクラークは人工衛星の発案者だった、ということも年表から。厳密には人工衛星による通信のアイデアなんだけど、これを発表したのが1945年、実際に実現する25年も前だった…ということだそうですよ。