・「スロー・リバー」/ニコラ・グリフィス
未来の生活用水循環システムを開発し、莫大な利権を持っている一族のローア。彼女は今、誘拐犯から逃れて裸で放り出されていた。手のひらのIDチップも外されてしまって、自分の身分さえも失っているところを助けてくれたのは、女ハッカーのスパナー。彼女はしばらくスパナーのハッカーの仕事を手伝っていたのだが、ある理由によって離別し、一人で自立していこうと考えるようになる。
こうして新しいIDを手に入れるためにあまり仲の良くないスパナーを再び訪れ、街の下水処理場で働き始める彼女の新しい人生が始まるのである。
別にひどいことをされた誘拐犯に対して復讐してやろうとかそういう気負いはなくて、あくまで環境の変化に伴う「新しい生活をエンジョイする」が主軸なのは女性作家らしい視点なのか。ストーリーは保護された直後のローアの話、小さい頃のローアの話、それから下水処理場で働き始めるローアの話の3パート。ラストに近づくにつれて何故彼女が誘拐されたのか、それから何故スパナーと別れることになったのか、という謎が明かされることになる。
水質循環システムが特に克明に描写されていて、汗まみれのスーツを着けながら重労働したり、新人を教えたり上司と対立したりはたまたみんなで協力してピンチを乗り切ったり…と、純粋に新しい生活を楽しんでいるな、という雰囲気が良く出ている。
しかしラストになって突然、仕事の同僚の女が輝き始めるのは何か不自然だよな。自分が雇っていた女がじつはお金持ちの娘だと知り、とてもだまされた気持ちになる。それで彼女を嫌悪するのは描かれているけど、それからローアが自分に関する謎を解くのを手伝って欲しい、と言われたところから急に快活になって、どんどんアドバイスを出すようになる。
うーん、ここは逆にローアのほうがグイグイ引っぱっていく感じじゃないとダメなんじゃなかろうか。そもそも下層の仕事の、ちょっとしたチーフにしか過ぎない女だよ?結局ローアは元の身分に戻ってしまうのに、それに対するマグヤーはあくまでも平民で愚鈍、というキャラを貫いたほうが分かりやすいのに。…っていう考え方は女性作家的じゃないよな。と思ってしまった。
未来の生活用水循環システムを開発し、莫大な利権を持っている一族のローア。彼女は今、誘拐犯から逃れて裸で放り出されていた。手のひらのIDチップも外されてしまって、自分の身分さえも失っているところを助けてくれたのは、女ハッカーのスパナー。彼女はしばらくスパナーのハッカーの仕事を手伝っていたのだが、ある理由によって離別し、一人で自立していこうと考えるようになる。
こうして新しいIDを手に入れるためにあまり仲の良くないスパナーを再び訪れ、街の下水処理場で働き始める彼女の新しい人生が始まるのである。
別にひどいことをされた誘拐犯に対して復讐してやろうとかそういう気負いはなくて、あくまで環境の変化に伴う「新しい生活をエンジョイする」が主軸なのは女性作家らしい視点なのか。ストーリーは保護された直後のローアの話、小さい頃のローアの話、それから下水処理場で働き始めるローアの話の3パート。ラストに近づくにつれて何故彼女が誘拐されたのか、それから何故スパナーと別れることになったのか、という謎が明かされることになる。
水質循環システムが特に克明に描写されていて、汗まみれのスーツを着けながら重労働したり、新人を教えたり上司と対立したりはたまたみんなで協力してピンチを乗り切ったり…と、純粋に新しい生活を楽しんでいるな、という雰囲気が良く出ている。
しかしラストになって突然、仕事の同僚の女が輝き始めるのは何か不自然だよな。自分が雇っていた女がじつはお金持ちの娘だと知り、とてもだまされた気持ちになる。それで彼女を嫌悪するのは描かれているけど、それからローアが自分に関する謎を解くのを手伝って欲しい、と言われたところから急に快活になって、どんどんアドバイスを出すようになる。
うーん、ここは逆にローアのほうがグイグイ引っぱっていく感じじゃないとダメなんじゃなかろうか。そもそも下層の仕事の、ちょっとしたチーフにしか過ぎない女だよ?結局ローアは元の身分に戻ってしまうのに、それに対するマグヤーはあくまでも平民で愚鈍、というキャラを貫いたほうが分かりやすいのに。…っていう考え方は女性作家的じゃないよな。と思ってしまった。