
・「カエアンの聖衣」/バリントン・J・ベイリー
無人惑星に不時着したカエアンの商船。その中には莫大な価値を持つカエアンの「衣装」が眠っていた。この情報を聞きつけた一団は、密かにカエアンの財宝を持ち帰ることに成功する。
その中の一人、服飾家のペデルはコレクションの中からフラショナール・スーツと呼ばれる伝説のスーツを発見する。その価値を知る彼は、真っ先にそのスーツを手に入れるや仲間と別れることにする。カエアン文明の衣装は服以上の意味合いを持ち、精神に作用を及ぼし、気分を高揚させる、いわば魔法のスーツのような存在。伝説のスーツを着用したその瞬間から、ペデルの輝かしい人生が幕を開けるのだった…。
その一方で、宇宙を漂う民族のアレクセイは見知らぬ宇宙船に捕らえられ、スーツを引き剥がされようとしていた。生まれるとすぐに鋼鉄のスーツを身にまとう彼の種族は、一生をスーツという小さな宇宙船の中で過ごす。彼を捕らえた研究者たちは、アレクセイの種族が謎に満ちたカエアンの文明に何らかの関連があるとみて調査を続けるのだが…。
服は哲学であり、人であり、あらゆるものである…という大前提のルールに則って作り上げられるSF世界。たとえば他のSFなら、色々なアイデアに基づいて細かなガジェットを設定していくけど、コレに関しては「服が服以上の意味を持つ世界」と、これだけ頭の中に入れておけばじゅうぶん読んでいける。
密輸団の下っ端で、なよなよしいオカマちゃんだったペデルのサクセスストーリーと、カエアンにまつわる大いなる謎…。なるほど、わかりやすい話とわかりづらい(隠された)話を同時進行させていく構図ね。「ロボットの魂」でも感じたとおり、この作家はじつに密度の高い世界を作り上げていくのが上手くて、もちろんこの作品でも王宮から囚人惑星、蝿の惑星からラストに訪れるプロッシムの惑星…と、変化に富んだ景色を見せてくれる。
それからこの伝説のスーツ…、あらゆる力を与える全知全能のスーツではなくて、もちろん「呪い」も含まれているスーツなんだけど、このカエアンの聖衣によってカエアンが他の種族に対して征服をたくらんでいるのではなくて、実はその上にもう一枚何者かが噛んでいる…というのが、物語の最後になって明らかにされるところ。
驚きにさせられることの連続、これぞまさしくSFって感じだよね。
無人惑星に不時着したカエアンの商船。その中には莫大な価値を持つカエアンの「衣装」が眠っていた。この情報を聞きつけた一団は、密かにカエアンの財宝を持ち帰ることに成功する。
その中の一人、服飾家のペデルはコレクションの中からフラショナール・スーツと呼ばれる伝説のスーツを発見する。その価値を知る彼は、真っ先にそのスーツを手に入れるや仲間と別れることにする。カエアン文明の衣装は服以上の意味合いを持ち、精神に作用を及ぼし、気分を高揚させる、いわば魔法のスーツのような存在。伝説のスーツを着用したその瞬間から、ペデルの輝かしい人生が幕を開けるのだった…。
その一方で、宇宙を漂う民族のアレクセイは見知らぬ宇宙船に捕らえられ、スーツを引き剥がされようとしていた。生まれるとすぐに鋼鉄のスーツを身にまとう彼の種族は、一生をスーツという小さな宇宙船の中で過ごす。彼を捕らえた研究者たちは、アレクセイの種族が謎に満ちたカエアンの文明に何らかの関連があるとみて調査を続けるのだが…。
服は哲学であり、人であり、あらゆるものである…という大前提のルールに則って作り上げられるSF世界。たとえば他のSFなら、色々なアイデアに基づいて細かなガジェットを設定していくけど、コレに関しては「服が服以上の意味を持つ世界」と、これだけ頭の中に入れておけばじゅうぶん読んでいける。
密輸団の下っ端で、なよなよしいオカマちゃんだったペデルのサクセスストーリーと、カエアンにまつわる大いなる謎…。なるほど、わかりやすい話とわかりづらい(隠された)話を同時進行させていく構図ね。「ロボットの魂」でも感じたとおり、この作家はじつに密度の高い世界を作り上げていくのが上手くて、もちろんこの作品でも王宮から囚人惑星、蝿の惑星からラストに訪れるプロッシムの惑星…と、変化に富んだ景色を見せてくれる。
それからこの伝説のスーツ…、あらゆる力を与える全知全能のスーツではなくて、もちろん「呪い」も含まれているスーツなんだけど、このカエアンの聖衣によってカエアンが他の種族に対して征服をたくらんでいるのではなくて、実はその上にもう一枚何者かが噛んでいる…というのが、物語の最後になって明らかにされるところ。
驚きにさせられることの連続、これぞまさしくSFって感じだよね。