落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_1 フリクションの負荷依存性

2014年03月13日 | エンジン・自動車

過給すればメカロスが相対的に下がるので軸燃費率が改善されると「定性的に」昔から言われているが、

無過給の無負荷、全負荷でメカロスがどの程度「定量的に」変わるのかを見たことがない。

2011年マツダ技報が使えそうなので、推定を試みる。

排気損失・冷却損失の負荷依存性が小さいので、2000rpm程度の低回転と思われる。

図を拡大印刷しノギスなり定規なりを使って、全負荷無負荷の数値を割り出す。

 

以下の仮定をおく。

1 全負荷無負荷で、図示熱効率は変わらない

圧縮膨張行程のみ抽出して、吸排気行程(ここではポンピングロスとする)を含めない

ソース大好き病の方は自分で検討すべし。ドンピシャとはいかないが、大ハズレでもない。

 

2 全負荷(WOT)の吸入空気量=燃料噴射量は、無負荷(0Nm 空ぶかし)の 6倍 とする

「6倍」は大昔のテキトーな記憶による。イマドキはもっと大きいと思われるが↑の図は大昔の文献の焼き直しと思われ最新データではない。「文献」は「少々ぼやかした表現」がされていると思われる。

 

3 全負荷BEMP 10bar  トルク換算 80Nm/L 昔は9.5bar@2000rpmで御の字だったが古臭い数字なので10bar

 

4 空燃比が変わると本質が見えなくなるので全域λ=1 

そもそも上図の前提が全域λ=1のはずで、「常識」の全負荷増量をやったら全負荷は排気損失が激増する。

アバウトな図なのでここまでは読み取れないが、図は「高負荷の点火時期リタード損失(MBTがとれないことによる損失)」がないように見える。こんなことは100%ありえない。全負荷増量と同じで、M社の宣伝広告では「ないことになっている」領域。

ポンピングロスは少々大きすぎの気がするが、定義がそもそも問題で、

① P-Vループの-側(左回り)面積

② 上下死点で切る

の流儀の違いもあり、ここではスルーする。どちらが「正解」とも言えず、どちらでも正解。強いて言えば

「時と場合により、どちらの考え方を採るべきかは異なる」

どちらでも正解だが、定義の内容は明記するべき。

「IMEPはポンピングロス(吸排気行程)込み」「2回転(1サイクル)」で計算していると又聞きしたことがある。フツウ=某社の計測システムのソフトが結果的に業界デファクト?

 

「ポンピングロスは少々大きすぎ」とする理由

「ポンピングロス」の定義は横に置くとして、キオクによると

① 「モータリングフリクション」測定方法

スロットル=WOT かつ 燃料カット でのモータリングトルク

② 実車での減速時相当

スロットル=全閉 (ISCVは吸気管絶対圧を所定値以上にするため高回転ほど開ける)かつ 燃料カット でのモータリングトルク

「スロットル=全閉」と書いたが、電スロなら「アクセル=全閉」になる。いちいち書く理由は

・メカスロ+ISCVなら、アクセル=スロットル全閉時はrpmが上がるほどISCVを開けて空気量を増やし吸気管絶対圧≧所定値になるようにする

・電スロなら、 アクセル全閉時はrpmが上がるほど電スロを開けて空気量を増やし吸気管絶対圧≧所定値になるようにする

電スロは、通常運転時に「全閉=0deg」になることはない。「全閉」になるのは、IGN key ON→OFF後に、IGN-keyはOFFだが電源リレーがONになっている期間に行う「全閉位置学習」の時だけ。全閉=ストッパーに当たっている状態、これ以上閉じられない状態のこと。新品状態では流量=0にはならず、必ず漏れ流量〇〇L/min程度(絶対圧52kPa以下のチョーク状態での大気側流量) がある。

①のモータリングトルクは、②の×0.7程度で、②の×0.5まで下がることはなかった。ムリヤリスロットル全開で燃料カットしても、エンブレ力=エンブレGは、30%下がるだけ。シリンダ内空気量はスロットルの動作に対して遅れるので、再噴射の際に強烈なトルク段差が出るのでこのような事はヤリマセン。「シリンダ内空気量はスロットルの動作に対して遅れる」は「アクセルに対する電スロの遅れ」の意味ではなく、メカスロ電スロは無関係な物理的な話。

「エンブレ力=エンブレGは、30%下がるだけ」は20世紀終盤のフツウで世間並の4気筒で、30%が50%になっていれば「フリクションが下がった」と言えるか?

 

本題に戻ると、以下の結果が得られる。

 

数字をチェック

無負荷メカロス 7.3Nm/L  飛び抜けておかしくはない

全負荷熱効率 まあこんなもの

全負荷メカロス 無負荷(0Nm空ぶかし)に対して、1.58bar/0.92bar=1.7倍 になった。

次回この数字を無責任に外挿し、過給時の燃費率を検討する。

 

以上は

http://glanze.sakura.ne.jp/air_capacity.html

の存在を知らずに書いたが、結果はほぼ同じ。「正確な数字」は目的ではなく「それらしい数字」が目的で、結果がソコソコならばそれでよし。

 

 

オマケ

メカロスの負荷による変化を把握するには指圧線図測定が要るが、出回っているのはアバウトな絵で、定量的な物は↓ぐらいしか知らない。指圧線図がホイホイ簡単に取れれば話は簡単なのだがどうもそうではない模様。

・TDCの誤差ガー

・圧力センサー(Pressure pick up) ガー

センサーは某社の寡占、計測システムは某社の寡占のはずで、イマ現在も騙し騙し使っているのかは知らない。

↓は全負荷と思われるのでモータリング法とかなりの差がついている。部分負荷ではここまで差がつかない気はするが定量的なものは見たことがない。