落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_5 ポンピングロス 絞り膨張

2014年03月14日 | エンジン・自動車

「ポンピングロス」は「釣り」で、主題は絞り膨張。

「ポンピングロスガー」を遠巻きに眺めた景色を書く。

ポンピングロスが目の敵になったピーク時期(製品発売開始より数年以上早くなる)は1990~2000年ぐらいか。気絶するような機構(吸気弁連続可変リフト、気筒休止等)まで多数製品化されたが個々の機構とか軽負荷限定の儲け代とかは全スルーして

「空燃比はλ=1近傍」の縛りはそのままとして、「ポンピングロス低減」の極限に到達しようとすると結局何がどうなる?

「極限」の具体的内容・到達手法はいろいろ考えられるが、その一例。全スルーするべきではない「それ以前の話」を書く。

 

ゲスな傍観者は他人に見せない、見せたがらない裏口愛好家。イマでは周囲は高層ビルだらけとなり、裏表の立場が逆転しそうな某駅の裏口を思い出した。右手にP屋が1軒(ストビュー同位置に現存)、他には特に何もなし。近所での某シンポジウムにカイシャの¥で行ったことがあるが、某大学教授が意義不明な「研究」発表をして、

「目的は何なの?」

と質疑で刺されて解読理解不能な答弁をやっていた。かような教授は当時は珍しくもなかったはずで、「意義ナ~シ」研究をやられたところで「ハイソウデスカ~」で記憶はあいまいだが、↑のようなやりとりがあったことだけを記憶。 

某社の某有名人の演説(「発表」と言うよりはこの表現がふさわしく脳内理論・脳内イメージを機関銃連射のごとく喋る)は独特で、何がしかのヒントを得た人間はいる。当時のテキストを見ても「演説」の空気は伝わらない+「演説」はテキストから連想するような内容ではない。

 

(仮名)制御屋・実態ナンデモ屋は、スロットルその他各種バルブを、圧縮性流体(空気)のノズル流れ(粘性=0 断熱等エントロピー膨張)に置き換えてモデル化する。流量を知りたいケースがほとんどだからで、その場合はこれで十分。吸入負圧と開口面積を与えれば流量が得られる。密度差が大きいところを扱うので非圧縮性流体としてはダメ。ここで必要とされる「流量」は質量流量、ないしは大気側(大気圧換算)の体積流量で、エンジンの「吸入空気量」に間連しての事。「吸入空気量」は軸トルクと空燃比ガラミなので暗黙の内に質量流量を含意。

実流量は、=机上計算値*0.8 程度か? 「0.8」はアイマイなキオクによるテキトーな数字なので鵜呑みにするべからず。

実際の流れは等エントロピーではなく粘性の影響があるが、多勢に影響なく実用上十分な精度が出る。(0.8)の流量係数はテキトーな固定値か、実験値でも放り込んでおけばよい。動的挙動を探るのが目的だから、定常的な精度はソコソコで十分。

(0.8)の流量係数は、背圧が臨界圧力(空気なら絶対圧力比で0.528)以下なら流れの中心部は音速だが、壁に近づくにつれて粘性の影響が大きくなり速度が低くなる。この影響の意味と解釈。ここまではどの教科書にも書いてある。現実のスロットルバルブは「滑らかなノズル」ではなく単なるバタフライ弁だが、流量係数(固定値)を適当に与えれば「断熱可逆流れノズル」でモデル化できる。

臨界圧(空気なら大気圧×0.528)以下に背圧を下げても流量は増えない。背圧(負圧)~流量特性を各種バルブ、オリフィス等で計測すると、個々の形状等はカンケーなくこの「形」が再現される。流量計は原始的かつ高精度な層流流量計を使う。見た目がガラクタの骨董品でも圧力計測が高精度なら高精度。

青線は教科書の式で、「離れて眺めれば」青線上に近いところに分布していた。

エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

 

流量だけではなくスロットル通過後の温度も知りたい場合は、このモデルではダメ。

 ノズル先端から噴出(背圧が臨界圧以下なら音速)した後は粘性で急速に速度が減衰する。

【マクロ】運動エネルギ→【ミクロ】運動エネルギーに変換される。温度上昇して大気温度300Kに戻る。

 

データはエンジン技術_6 燃費の目玉(7) SKY-G EPAデータ続報

「インマニ内温度」と明記してあるから「絞った後の負圧空間の空気温度」

「温度低下」の兆候すらない。誰でも知っているはずだが、忘れた頃に石頭が湧くので貼る。

 

【正当妥当なmodelで】計算しても実際測ってもスロットル通過後は300Kに戻る。「温度が下がる」主張はノズル通過後も粘性を無視しているから、無限遠までノズル先端の音速流が届くと言っているに等しい。

可逆断熱膨張をしたままの温度なら、世界中の吸気管が冷え冷えで、エアコンの代わりになるのでは?現実の給気管はエンジンの熱でアツアツで、エアコンは要る。熱電対で測ってみれば吸気管内では外気温+α程度の温度で、理屈上(エネルギー保存式と理想気体の仮定のみで十分)は外気温と同じ。熱電対では、輻射熱、残留ガス吹き返し等の影響で外気温+α程度の温度で計測される。N2、O2は赤外域でも「透明」らしいので、輻射で「温度」は上がらない。絞り「通過中」に比べれば「通過後」の速度は圧倒的に低いので、熱電対を突っ込むことによる「圧縮」による「温度」上昇は無視できる。

ジュールトムソン効果???現実は有意な(ここでは、さわって「冷たい」と感知できる程度、10℃以上の温度低下とする)温度低下はないから持ち出しても無意味。「断熱可逆膨張」に対して、温度低下があったとしても小さすぎる。空気の液化法ダー、とかの話は他所でどうぞ。

可逆断熱膨張で近似できる領域内(先細ノズルでモデル化した領域)では速度アップ(断熱可逆膨張)→温度低下はその通りと思われるが(そう考えれば現象の大部分は定量的に説明できる)

その領域内の空気温度計測をやったようには見受けられない。

長時間燃料カット継続中の吸気管内の温度を計測して高温既燃ガスの影響を完全に排除すれば、よりはっきりするだろう。最も単純な定常絞り膨張でも、絞り前後での温度変化は先験的一義的には決まらない。

 

オマケ

温度計は温度計の温度を計測しているに過ぎない。(どこかで見かけた)

温度計が被測定物と熱平衡にあるか、輻射の影響はどの程度が、温度計自身が被測定物の温度に影響しないか、いろいろとキリがない。赤外線式にしろ、被測定物の放射率設定次第。表面性状が変わるだけでコロコロ変わる。一部が錆びたピカピカアツアツのステンレス板で計測してみる。「温度」はそんなに違うはずがないのに指示温度はえらく違う。アレはアレで色々便利だが。

スロットル「通過中」の空気は、相当温度が下がっているはずだが、計測したという例を知らない。キャブレターのアイシングは、燃料の蒸発潜熱が主因だろう。燃料噴射仕様でもスロットルの温水加熱をしているものがあるが、低外気温度時の吸気管内の水分氷結を嫌ってのことと思われる。

空間サイズはmm、サブmmオーダーに過ぎず、音速で移動している空気の「温度」計測ができるか?超短時間極小空間で速度は音速まで上がり温度はどんどん下がる。ノズル流れの式は教科書には堂々と出ているが、そう考えれば現象は矛盾なく定量的に説明できるから温度など計測する必要はないのだ?

 

オマケ

似た臭いがする、歴史的には更に古い問題で、気体中の音波の伝播速度(音速)にまつわる話がある。

音速=√(P/ρ) ρ;気体密度 圧力変化を等温変化として扱う ニュートンの式

音速=√(κ・P/ρ) κ=Cp/Cv 空気なら1.4   圧力変化を断熱変化として扱う ビオ・ポアソンの式 現在使われている式

ビオ・ポアソンの式 音速=√(κ・P/ρ) は比熱比κの算出にも使うらしい。

Cp=(∂Q/∂T)p=const  Cv=(∂Q/∂T)v=const の定義に遡るより音速から求める方が圧倒的に簡便

音波の伝播は、音速が正確に出れば文句を言う筋合いではない。圧力変化も温度変化も微小(圧力変化は爆音レベルで1/1000bar程度)であるし、温度変化を計測できたところで益はなさそうだが、スロットルの場合は「絞って吸気管内の温度が下がる」と主張する人が涌く。

 

オマケ

キャブレーター+水冷エンジンのスクーターで、雨天では高確率で減速エンストした。一度起こっても即再現はしにくい。今思えばアイシングか。キャブレーターは温水加熱していたようだが、二輪は水冷エンジンでも半空冷で冬場は水温上がらず、雨が降れば強制水冷になって水温が上がらない。

 

memo

可逆等温膨張と、理想気体の定常絞り膨張で、変化の前後のP、V、Tは同じだが中身の違いを整理しておく。

・可逆等温膨張 

物質的には閉鎖系 熱的には解放系 

外部に仕事Wをする 外部からWに等しい熱Qを吸収

・理想気体の定常絞り膨張

物質的には解放系 熱的には断熱系(閉鎖系)

外部から仕事Winを受ける。外部に仕事Woutをする。Win=Wout(で非常に良い近似となる) 気体の【マクロな】運動エネルギーは、絞り前<絞り後だが、その差は通常の速度域(速度<<音速の意味と思えばいい)では気体の内部エネルギー(ミクロな運動エネルギー)と比較すると極小。温度変化換算(エンタルピー変化ΔH=Cp・ΔT)すると馬鹿らしいほど小さく、絞りの前後で気体の温度は変わらない

直感的には引っかかるところだが、気体の圧縮性にカラクリ(の一部)が隠されている。全て【マクロ】運動エネルギーは内部エネルギー(の変化)に換算して無視できるレベルとする。

断面積狭小部=絞り部位は除く。この部位の内部挙動詳細は考察の対象にしない。一定空間を定常状態のブラックボックスが占有しているものとして扱う。

・理想気体の定常絞り膨張

圧力半分に絞る場合、体積2倍になるのでトータルで系が受ける仕事は0になる

・液体(非圧縮性)の定常絞り(膨張) 

気体と対比するため(膨張)を付けたが、本当は「膨張」しないので()付 液体でも圧縮性はあるがここでは無視できるものとして扱える 馬鹿力を問題にする場合(油圧機器等)は場合によっては無視できないがΔU、ΔTを問題にしているだけなら無視できる

圧力半分に絞る場合、外部から受ける仕事=外部にする仕事×2 トータルで受ける仕事>0

ΔU>0 要る知識はエネルギーバランスだけ

実在しなさそうな特異な性質の液体を妄想しない限りΔT>0 液体の場合は絞れば温度上昇

Uの詳細なミクロ的内容はここではどうでもいいことに注意。「液体の定常絞り膨張」を教科書は特に触れないようだが気体の絞り膨張の「理解」には必須では?

 

オマケ 「エンタルピー」なる珍語

①(閉鎖系の)体積仕事 

②(定常流動系の任意断面における)押し込まれ仕事・押し出し仕事

をUとコミコミで表現するとエンタルピーなる珍語

H=U+PV

になるが、ここでは持ち出すまでもないので使わない。圧縮性がない液体では内部エネルギーUを使っても結論は変わらない。Hはアチコチで顔を出すが、字面と「結果の公式」だけの丸暗記は誤解の種になる。丸暗記すべきは定義+公式導出上の考え方と前提条件+適用範囲。

②は要警戒で気体の運動エネルギーが無視できる断面2か所(外部仕事取り出し機構の入口側と出口側)で観察した場合、流動系から外部仕事を取り出すと

Wout=ΔH  で表現できるが

「仕事を取り出した結果としてこれだけのエンタルピー差がある」と言っているだけで

「エンタルピー差があればある特定の手段で仕事が取り出せる」とは言っていない。

 

オマケ 

実用上極めて重要だが、教科書が適切でない代表が、「電流遮断時・回路解放時の誘起電力」 L・di/dt が計算上無限大だから凝った等価回路を持ち出してヤヤコシクするが「高電圧が発生する」「現実のdi/dtは個別問題になる」とシンプルかつ正直に書いた方が有益。等価回路はハク付け?で初学者が見てもカッタルイだけ。等価回路はdi/dtを操作する技巧だが実用上はイラン物は付けずにバッサリ電流遮断する。フツウのスイッチは何もつけない。エンジンの点火系はON→OFF時の高電圧が命だから「切れ」を悪くはできず強烈ノイズ源。点火と同じ頻度でON→OFFするインジェクターは常識的に逆起吸収回路を付ける。イラン高電圧が悪さをする。

「電流遮断時の起電力の向き」も重要だが教科書はわかりにくい。「Lは慣性」だから、「遮断部に遮断前のi の向きと同じ向きの電流を流そうとする起電力」が発生すると思うことにしている。これで正解か、電気屋業界の一般的理解かは知らない。

 

上記は多気筒(3か4気筒以上)の場合で、吸気管負圧はほぼ一定、スロットル部は定常流れとして扱える。気筒毎独立スロットル(気筒間連通管なしの場合 フツウは付けるが)、単気筒エンジンの場合は吸気が間欠的で吸入管負圧はエンジン2回転周期で大きく変動、スロットル部の流れは圧縮性非定常流になり扱いはややこしくなるが、多勢に影響はあるまい。

 

図に数字を入れてみる。「離れて眺めれば、これで当たりかな?」

絞り部位(ノズルでmodel化した領域)の温度は?だらけで

κ=1.4 の断熱可逆変化でなく、m=1.3程度のポリトロープ変化だ、とか言ったところで・・・

何がしかの商用ソフト(当方は無縁)で計算すると、どんな結果を言ってくる?計算対象は定常流で十分で「温度はシラネ」なんてことはありえないはずだが。

 

 

 

ポンピング仕事の一部を動力として取り出す妄想

 

タービンでも、スクリューエキスパンダでも、機構はなんでもいい。ポンピング仕事の一部を動力として取り出せないかと誰しも思う。特許検索すると、それらしきものはない。出すだけ出しとけ~ の特許が溢れる業界で皆無とは、永久機関並みとは言わないまでもそれなりの理由がある。

負圧作動アクチュエーター(車両側)は、イマではブレーキ倍力ぐらいだが、考古学的には負圧作動ワイパーが存在したらしい。ブレーキ倍力と同じで「予め作られた(蓄えた)負圧を使う」タイプのはずだが、ここで言うポンピング仕事動力取り出し妄想は

「予め作られた(蓄えた)負圧を使う」のではなく「負圧を作りながら動力を取り出す」

ところが根本的に異なる。

 

1 超特大サイズエンジンならともかく、並の自動車用サイズでは機構が小さすぎて成立しない。寸法が小さいほど粘性、漏れの影響が大きい。効果を得たい領域=アイドル含む低回転低負荷の空気流量は?電卓たたいて一発で諦める。相似測と言うのか寸法効果と言うのか知らないが、

・ウルトラマンはリアル世界ではバク転は不可能

・アリを高所から落としても死なない

・実物をそのまま縮小しても、本物らしい動きをする模型はできない

とかと、似たような筋の話。

超特大サイズエンジンは100%ディーゼルでいわゆる「ポンピングロスガー」とは無縁。

 

2 「吸気量制御」という本来機能をどうするんだ?の問題がある。駄文はいくらでも書けるが、面白くないので書かない。定常的にダメなものに過渡を語る資格なし。 

 

3 仮に悪魔の大発明の超高効率マイクロエキスパンダができたとする。その場合、吸気温度が下がりすぎて→圧縮終わり温度が下がりすぎて、たぶん着火・燃焼しない。暗黙の内に「等空気量での比較」なので圧縮終わり圧力も下がる。圧縮比を馬鹿sageするのと「着火・燃焼」に関しては似た話になる。

 

レシプロエキスパンダ(蒸気機関車のエンジン)なら動きそう。レシプロの利点はこんなところにもあって、スケールダウンしてもソコソコマトモに動いてくれる。

差圧が最大0.7気圧しかないのでカットオフさせない(膨張させない)で大気圧で押しっぱなし。漏れは問題にならず圧力差が小さい分はピストン+弁機構シーリング面圧を下げてフリクションを下げる。排気吐出時に温度は下がりそうだが実質問題にならない気がする。(←効率は極悪の裏返し)回転数を下げれば空気消費量(空気通過量)はいくらでも下がる。お遊びネタにはなる。

可変バルブタイミングの元祖はどこぞの自動車屋ではなく、レシプロ蒸気機関。出力の調整はカットオフ(給気をカットするタイミング、膨張無しでボイラー圧をそのまま給気するピストンストローク長の意味)で行う。レギュレター(スロットル)はあるが、あくまで補助的機能。カットオフを早くすればトルクは下がるが膨張比が大きくなる。カットオフを絞らずに(早めずに)スロットルだけで出力調整をすると燃費(=蒸気消費量)メチャ悪になる。これはポンピングロスではなく、スロットルで給気圧力を下げることによるロス(エクセルギー損失)である。物理的には別物だが、例えるなら「カットオフを早める≒シフトアップ」行為と目的は似ている。逆回転は当然のバルタイ変更で実施。

膨張終わり圧力>>大気圧となる不完全膨張部分の利用も、元祖はどこぞの自動車屋ではなくレシプロ蒸気機関。大昔から2段3段膨張はあった。不完全膨張部分を使い切るとボイラー通風ガー、とかの個別技術は他所でどうぞ。

スロットリングでエンタルピー不変だから無損失とか言いだしたら試験対策にすらならず×印をもらって終了。「系が断熱だから無損失」「エネルギー保存則は100%どこでも成立するから100%どこでも無損失」と言っているのようなもの。温度不変だが出力に直結する「大気との圧力差」が減少している。レシプロ機関の動力発生に直接的に寄与するのは圧力(圧力差)で、温度は共連れで変わっているだけ。ややヒネクレタ解釈の方が

「エンタルピー不変だから無損失」

なる丸写し筋違いよりも理解が深くなる。

「熱」「温度」は、ここでは圧力差を生むための手段。暖房とか加熱の熱源は目的が「温度を上げること」だが、これと「エンタルピー」をくっつけてごちゃ混ぜにすると「エンタルピー不変だから無損失」なるフシギな主張になる模様。

絞り膨張(等エンタルピー膨張)でボイラー圧を20気圧(絶対圧)→10気圧(絶対圧)に下げてシリンダ給気すれば、概算で等蒸気質量での図示仕事が2割ダウン=燃費悪化。メカロスは常時つきまとうので軸ネンピは更に悪化。

「エンタルピー」なる珍語の字面に拘泥せずに、あるいはそんなもの知らずに

¥かけて作った大元の貴重な圧力差を絞りで捨てているから損して当たり前

とのヤマ勘がここでは結果的に正しい。エンタルピー不変→圧力半分でも体積2倍だからチャラ ~ になるのは

・シリンダ直前圧をカットオフしないでシリンダ全ストロークにそのままの圧力で押し込む カットオフ=100%  かつ

・ピストン背圧=0 (真空)

だけ。カットオフしない=押し込み仕事だけを絶対仕事に変えているからPV項が等しければ絶対仕事は等しい。カットオフすれば=シリンダ内で膨張されれば絶対仕事に大差がつく。カットオフする(押し込み仕事だけではなく自身の膨脹仕事を絶対仕事に加える)のがフツウの使い方。裏にある原則は「大気圧まで膨張させれば最大図示仕事」

Uはソレ自体の定義はともかく「内部エネルギー」で違和感はないが、Hを「熱関数」と言われても余計に???だから誰も使わない死語。

理想気体ならH=U+RT =Cv・T + RT

ここでの「Cv」は「定数」の意味しかなく、エンタルピーの定義式

H=U+PV=U+RT

に於いての変化を「定容」に限定する意味はない U= Cv・T の式も同じ話で「定容」限定の式ではない

→  Hは温度だけで決まり圧力はカンケーない。「効率向上には高温化ではなく高圧化が本質的」は半ば公理のように正しい。温度高くても圧力低ければ作動流体として役立たずで「熱源」の話と混同するべからず。「蒸気の凝縮ガー」とかの個別技術は他所でどうぞ。

 

丸暗記病への対処法

「そもそも〇×の定義は何?」から。「エンタルピー」の名称がそもそもアレだが、「アレな名称」は単なる区別記号と解釈する。外国語の日本語訳には迷訳も多いが訳は不要で「熱関数」は古文書上だけの死語。無理に訳をつけるとおかしなことになる代表はコンピューター間連でイマドキ訳はつけない。

 

オマケ 「温度」「エネルギー」に関する混乱例 どこかで見た話

Q:冬に部屋の暖房をする目的は?  

A: 体感温度を上げるため これがフツウの答え。「体感温度」は輻射の影響が大きいようで、「壁の温度を上げる」ことに熱量が要るようである。「空気の温度を上げる」だけなら必要な熱量は物凄く小さく計算するとビックリだがあとは空調屋にお任せする。

誤解答例 「部屋の空気にエネルギーを与える」

「エネルギー」の定義がこれだけでは?だが、部屋が定圧環境であることに着目する。日頃何気なく使っているが、工学・科学分野に限定しても「エネルギー」は実は多義語で各自が各自の文脈で使っている。そうではないとおっしゃる(自称)理論派サンは要注意。

定義1 空気のエンタルピーH=U+PV とした場合

H=Cp・T+定数 

ここでの変化は定圧だが、理想気体の条件を付ければTだけでHは決まり圧力は無関係。上式中の「Cp」には「定数」の意味しかなく変化を「定圧」に限定していない。Hは定圧環境で特に有用な概念だが理想気体なら温度だけで決まる「状態量」でどのような変化でも途中経路にカンケーなく決まる。

空気の絶対温度を10%上げると10%の空気は膨張で外へ逃げるので部屋の中の空気のエンタルピーは変わらない。

定義2 空気の内部エネルギーUとした場合 定義1と結論は変わらない。

「温感」「冷感」とは何者だ?の疑問が湧いてくるが、輻射伝熱を無視して気体熱伝導(熱伝達に非ず)に限定すると「温度」と「温感」「冷感」に矛盾はない。

キーワード 熱伝導率の圧力依存性 分子衝突頻度 分子の平均自由行程

 

 

現実のエンジンとはだいぶ違うが思考実験上の極限として、

吸排気弁を外して最大限単純化+無限長のシリンダー(思考実験上扱いが面倒で効率低下の元のすきま容積排除)+実現不可能な極限効率レシプロエキスパンダを使うと

注)区別するため、以下では無限長シリンダーの場合:ポンピング仕事 実エンジンの場合:ポンピングロス と表現した

 

↓ の条件設定による思考実験上は、ポンピング仕事の最大59%が動力として取り出せて、そのとき吸気温度=-66℃。残り41%は負圧空間に蓄えられる。負圧空間がどんどん増えているのに(実エンジン相当の系なら、負圧空間の空気が入れ替わっているのに)ポンピング仕事の100%を動力として取り出せたら永久機関が可能になる。

吸気管圧力=27kPa一定のままで、エキスパンダに非可逆過程が含まれると、回収動力が減る。その代わりに吸気温度が上がる。回収動力=0の状態が絞り膨張でこのとき吸気温度=300Kで外気温と同じ。 ↓ は解説のつもりのmemo。

↓には「結果」だけを書いているが、この系を継続的・定常的に成立させる(圧力一定に保つ+空気の収支バランスをとる)のは面倒だが本筋とはカンケーないので省略。実際のレシプロエキスパンダの線図は丸くだれているとかの現実話は他所でどうぞ。アタリマエの話ですね。

 

 

温度は下げたくない、でもケチリたいのなら、絞り膨張ではなく、必要空気量を絞らずに大気圧で吸入→所定容積まで等温可逆膨張させる。非可逆プロセス(粘性による【マクロ】運動エネルギーの消滅→熱に変わる)はなくなって全て可逆プロセスになる。

大気[300K、100kPa、0.27L] から [300K、27kPa、1L] を定常絞り膨張で作ると73.0J要るところ等温可逆膨張で作れば37.6Jで済むが、周囲から吸熱しなくてはならず無限に時間がかかる。「等温可逆」がポイントで、急に引っ張って放置して吸熱では必要仕事は断熱膨張と変わらずに必要仕事が増大する。膨張中は常に周囲と等温でなければならない。できたと思ったら、漏れで大気圧のままだった、なんてオチ。ブレーキ倍力に使っているんだし、妙なことやるならダウンサイジングしてオシマイ。

熱力学なる学問領域の起源は現実的な¥の話のはずで(「熱効率」は技術的指標の1つ)、日常生活に直接カンケーない小難しい話は抜きにして万人に有用な情報は

「有用なモノはタダではない」 

〇〇はタダ~の煽り記事が忘れた頃に湧いてくるが、そのうち「なかったことにする」

 

大気[300K、100kPa、0.27L] から [300K、27kPa、1L] を作るのに必要な外部仕事(タダではない有料仕事)、所要時間は作成プロセスにより異なる。

タダでできる大気(外部環境)との熱交換(放熱吸熱)、大気圧がタダで押す仕事は「有料仕事」ではない。

①定常絞り膨張 有料仕事 73.0J 非可逆過程 所要時間は最小で意識する必要がない

②等温可逆膨張 有料仕事 37.6J 可逆過程 無限小温度差で周囲から吸熱するので所要時間は無限大 これが最小有料仕事でこれより下がるプロセスはない(と教科書を読めばわかることになっている)

③断熱可逆膨張 有料仕事 45.5J  [300K、100kPa、0.27L] →[160K、16kPa、1L]  温度を300Kに上げるため定容のまま周囲から吸熱(有限温度差で吸熱するので非可逆過程)→[300K、27kPa、1L] 必要有料仕事45.5Jで①と②の中間 必要時間も①と②の中間   

③の可逆断熱膨張は現実キカイの動作速度でも近似的に実現する

③の定容吸熱過程は有限温度差での吸熱で、②の等温可逆膨張よりも短時間で終了する 

等温可逆膨張は「仕事=熱の出入り」と教科書に書いてあるのに↑は違うじゃねえか?!

教科書のWoutは「絶対仕事」で、背圧(大気圧)は関係ない。フツウの「サイクル」計算では絶対仕事で計算しても一周するとVが初期の値に戻るので背圧(大気圧)の影響はキャンセルされる。教科書は不親切で触れない部分で、「サイクル」でない1行程のみの場合は背圧(大気圧)を考慮せねばならない。

「サイクル」のP-V線図を見て「アレレ大気圧の扱いってどーなってる?」とフツウの人は引っかかるのでは?全ての人間の居場所は空気の海の底です。宇宙空間ダーとかの妄想詐欺話は他所でどうぞ。飽きずに何回でも湧いてきます。

0.27L→1Lに等温可逆膨張したときの絶対仕事は35.4J、断熱可逆膨張では絶対仕事は27.5J。ここまでは違和感はない。

有料仕事は大気圧との差分なので絶対仕事との大小関係は逆転する。

更に等温可逆膨張で、有料仕事=37.6J  熱の入り=35.4J  で=とはならない。この場合はたまたま数字が近いが、膨張比を極端に小さくすれば、有料仕事<<熱の入り(=絶対仕事)。膨張比を極端に大きくすれば、有料仕事>>熱の入り(=絶対仕事)。↑はテキトーな絵だが、線形スケールでそれらしく絵を描いてみるべし。

定常絞り膨張(スロットリング)で「儲けた・稼いだ」モノは何?有料仕事を余計に投入しているが「時間」を稼いでいる。

絞り膨張は「余分に有料仕事を使って温度を上げた」と言いたくなるが、↑を冷静に眺めると不適切で①、②、③の関係を総括的に表現していない。断熱可逆膨張とだけ比較するなら五分ぐらいの理はありそうだが、等温可逆膨張等の「外部との熱交換のあるプロセス」を持ち込むと話は変わってくる。定常絞り膨張も系は断熱系だが「絞り膨張の正体」を描くのに比較対象を「断熱系」に限定する理由はない。切り口は多いほど正体に近づけるはずで、焦点は

「所要時間と必要経費」

「300Kが望ましい」と思うのは人間の勝手(機器の都合)だが、温度と有料仕事を短絡的に結びつけるのは誤り。

 

必要有料仕事 ①>③>②

必要時間 ①<<③<②

熱力学の立場で真っ当そうな説明(後知恵のヘリクツ)は

「最小有料仕事過程」ではなく「最速有料仕事過程」を選択している

から余分な有料仕事が要る。

①、②、③は初期状態と最終状態は同じだがプロセスが違う。有料無料を区別しない「エネルギー」「温度」だけガン見、「所要時間」の無視は誤解と混乱の元。

時間短縮には「非可逆」がつきまとうようで、非可逆過程が増える→所要時間↓ 必要有料仕事↑ と言えそうだが定量性、普遍性が?なので「言えそう」で止めておく。

 

ついでにmemo

[300K、100kPa、0.27L]から、[300K、27kPa、1L]を作る可逆プロセスが等温可逆膨張。37.6Jの有料仕事が必要で、35.4Jの熱をタダで周囲から吸収。 、[300K、27kPa、1L]の負圧空間から取り出せる最大仕事は37.6J。(書くまでもないが、周囲の環境条件は300K、100kPaとする) ポンピング仕事は非可逆プロセス(定常絞り膨張)で有料仕事73.0Jを使っている。この例では、ポンピング仕事のエクセルギー効率は51.5%(=37.6/73.0)。ポンピング仕事のおよそ半分は、エクセルギーとして負圧空間に保存される。取り出そうと思えば、思考実験上は最大これだけの力学的仕事が取り出せる。取り出せば当然負圧は消滅する。←面倒なので、吸排気弁、すきま容積の存在は無視して書いている。実エンジンのポンピングロスは、吸気管負圧ではなく、シリンダー内圧力が発生元。残りの 100-51.5=48.5% はエクセルギー損失としてどこかに消えている。

実エンジンのポンピングロスの何%が負圧空間(スロットル~吸気弁)にエクセルギーとして保存されるか?実P-V線図と吸気管圧力、空気流量がわかれば計算できる。吸気管容積は無関係で、「空気流量分の負圧空間を次々と作っている」と解釈する。

「エクセルギーとして保存」と書いたが、普段は次々と捨てている。

「捨てている」と書いたが、「低圧力、常温」の空気をエンジンに吸わせる→ 負荷調整に貢献している。

脳内データでテキトー概算すると、アイドリングでエクセルギー効率20%程度。すきま容積、吸排気弁の絞り、残留ガス吹き返し等で、理想ポンピング装置(弁無し無限長シリンダー)に対し大幅に悪くなる。

テキトーな数字に過ぎないが、この「20%」が、負圧空間を消滅させれば(負圧を消費すれば)動力として全て取り出せるとは思わないこと。等温可逆という無限小ではない(有限の大きさの)速度では実行不可能なプロセスを要求し、実施可能なのは断熱(で近似できる)過程で、更に取り出せる動力は小さくなる。現実の機械仕掛けで動かせば、他にも効率低下要因がゴロゴロあるので、取り出せる動力は更に目減りする。

アクチュエーターが負圧を消費→次回作動時に備えて負圧を再度蓄えねばならない→エンジンが空気を吸わねばならない=勝手にエンジンに空気を入れることなので、ド派手にやられると空燃比、トルクがデタラメになる。ブレーキブースターは量がごく少ないので成立している。エンジン吸入空気量に対しブースター負圧空間容積、ブレーキ操作頻度(より正確にはブレーキON→OFF頻度)は桁違いに少ない。負圧をバカ取りしたところで、取り出せる動力はたかが知れている。

ポンピングロスは目の敵になっているが、必要悪効率と見るならば?目の敵にするだけでは視野狭窄で、ブレーキ屋はポンピングロス大歓迎 ♪

ブレーキが負圧を消費してその結果次回に備えて再度負圧を蓄える(=エンジンが空気を吸う)のは、エンジン始動時(ブースター負圧が抜けていた場合 チェックバルブが付いているがいずれは抜ける)を除けば、【ブレーキを踏んでいる→踏んでいない】の【→】だけで、(「踏んでいない」の期間で、前回のブレーキ操作で使った負圧を補充する=エンジンが空気を吸う)量は少ないからバキュームポンプはエネルギー消費で勝つはずだが銭効率空間効率その他効率はどうだろうか。

 

ブレーキブースターのmemo

テキトーな絵がないので文章で。

ググると出てくるモノはキモが抜けているのでエンジンとの関係の全容がわからない。

ブースターにはA室(マスターシリンダ側)、B室(ブレーキペダル側)の2部屋があってダイアフラムで仕切られている。

A室(マスターシリンダ側) エンジンインマニにホースで接続 チェックバルブ付き一方通行で最大負圧を保持

A室、B室、大気との連通関係は、切り替えが2カ所あってブレーキベダルストロークで切り換わる

ブースターA室とB室を 連通(ブレーキOFF)⇔遮断(ブレーキON)

ブースターB室と大気を 遮断(ブレーキOFF)⇔連通(ブレーキON)

 

①ブレーキ=OFF エンジン アイドリング

A室とB室は連通 B室は大気側と遮断されている

A室=B室=負圧

 圧力差がなくブレーキアシストは働かない

②ブレーキをわずかに踏む

A室とB室の連通がなくなる(遮断される)

A室=B室=負圧 のままでアシストは働かない

③更にブレーキを踏む

B室に大気が導入される 必ず②(A室とB室が遮断)の後になる 逆転すると「A室に大気流入」モードができてしまう

アシストが働く

④ブレーキをOFFすると①に戻る

B室は大気側と遮断される A室とB室が連通する

エンジンが空気を吸って、B室=A室=負圧になる

 

エンジン停止で長時間駐車すると ブースター負圧は抜けて A室=B室=大気圧

ブレーキを踏んだままエンジン始動準備

A室とB室は遮断 B室は大気側と連通

A室=B室=大気圧でアシストは働かずブレーキは重い

エンジン始動すると、「ブレーキペダルが吸い込まれるように軽くなる」

A室の空気がエンジンに吸われて負圧になるため

 

仮に、実現不可能だがノズルから音速で噴出したままの「場」を保存できれば、エクセルギー効率100%だが、(簡単のため、背圧=臨界圧=52.8kPaとする)これでは使い物にならない。エクセルギー効率は技術的な1つの指標に過ぎず、これだけで万事を語れるわけではない。

 

↓ はまとめ。全くやる気にならないネタ。妄想を抱いたら実行前に一読。

実エンジン相当では計算する気にならないので、弁無し無限長シリンダーの「ポンピング仕事」ベースで比較。実エンジン相当で計算するのは面倒+計算したところで大筋は変わりようがない。

全ての困難を乗り越えて到達不可能な極限にたどり着いたところで得られるものは↓で、回収動力はポンピング仕事の半分程度+極低温の吸気温度が待っている。妥協すれば吸気温度は上がるがWoutがどんどん目減りする。 

 

 

教科書の式 Wout=ΔH は字面だけを読むと誤解の種になる。気体の定常流においてWoutが確定している場合(Wout=0の定常絞り膨張を含む)動力を取り出した「結果」だけを記述する式。

前提に「定常流」「確定したWout」がある式で、「エンタルピー差から動力を取り出せるか」には言及せず適用範囲外・個別問題になる。[300K、100kPa、0.27L ] と [300K、27kPa、1L] でエンタルピーHは等しいが圧力差で動力を取り出せる。エンジン技術_3 ターボ過給に書いたのはエンタルピー差があっても(タービンでは)動力を取り出せないケース。

 

気体の定常流れから仕事を取り出すと何故温度が下がるか?は教科書の式

Wout=ΔH

に行き着く。

要はエネルギー保存則で、 ↑のレシプロエキスパンダモデルの計算例からも妥当と思われ。

 

 

上の動力取り出し妄想と筋は同じだが、大成果となったのがDENSOのエジェクタサイクル。冷凍機・エアコンの膨張弁は圧力を下げればよく、等エントロピー膨張で温度(エンタルピー)は下がっても構わないと言うよりは大歓迎。

原理は大昔にわかっていて教科書に出ているはずだが、解析+実験+設計+超高精度生産技術+胆力でモノにした。これが製品としてどうなのかは知らない。