結論から申し上げます。
相続放棄を考える際には、まず法定相続の順番を把握しなければなりません。
相続放棄をすると、法定相続の順番に従って、相続資格が移るからです。
…ちょっと、分かりづらいですよね。
では。
具体例をとおして、ご説明します。
AB夫婦の間に、子CDが居ました。
ここで、Aが亡くなりました。
相続人は、BとCDです(配偶者別格+第一順位相続)。
第一順位相続の相続人であるCとDが相続放棄をしたとしましょう。
すると、Aの相続人は、配偶者別格の原則による相続人Bと、第二順位相続の相続人であるAの両親(直系尊属)になります。
結局、CDの相続放棄により、第一順位相続の相続人が、ハナッから居ないとされるためです。
なので。
第二順位相続の相続人であるAの両親(直系尊属)が、Bと共に、Aの相続人になってしまうのです。
仮に、第二順位相続の相続人も相続放棄をしたとします。
すると、第一順位相続の相続人と第二順位相続の相続人が、ハナッから居ないとされます。
したがって、Aの相続人は、配偶者別格の原則による相続人Bと、第三順位相続の相続人であるAの兄弟姉妹になります。
これが、冒頭に記載した「相続放棄をすると、法定相続の順番に従って、相続資格が移る」ことの意味です。
ちなみに、配偶者別格の原則による相続人Bが相続放棄をすれば、Aには、ハナッから配偶者が居なかったと扱われるだけです。
法定相続の順番は関係ありません。
そもそも配偶者は、法定相続の順番とは関係なく(別格として)相続人とされているからです。
前回の例についてです。
B一人に相続させようとして、その子CとDが相続放棄をすることは、間違いです。
Aの両親(第二順位相続)又はAの兄弟姉妹(第三順位相続)が、Bと共にAの相続人になってしまうからです。
取るべき手段は、遺産分割協議でした。
では次回、遺産分割協議についてご説明します。