馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

いま世界はうなだれている(52)月傘、可笑しい。

消えてしまっても
雨を感じて
月が滲む
せえでええんか?

(雨のすきまを菌糸が走りまわっているように粘る考え

そげなこと、ゆーな。
しずくの光っているとこだけ
舌で舐める
どこが、可笑しい?

(誰にもらったのか忘れたハンカチで拭く遅刻した言い訳を

指先で
やせた意味をつくろって
きみも
きみでないこころをまとう

(つくねんと私語に座している楊梅は中国産やまもも

昆虫や植物
石ころそのものとして
好きな人と
ごろんと世間にころがって

(ただ濡れるだけの冗談をドン臭くととのえる

待つたのしみを
ブラシで研いで食べる
どこも、可笑しい。
月の傘さして

(つづく)


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