瞬刊★差楽部

ジャンルに特筆しない雑記です( ´,_ゝ`)

オランダ人は緑亀の夢を見るか?

2008-04-21 01:43:52 | 其の他

縁日などで緑亀をモナカですくう、カメ釣りをやったことがあるだろうか?

去る土曜日に家族で千葉県は佐倉市の佐倉ふるさと広場で行われる『第20回チューリップまつり』に行ってきた。佐倉ふるさと広場は印旛沼に面した広大な広場で、オランダから取り寄せた風車が鎮座するちょっと不思議な場所。166種類55万本のチューリップが咲き乱れる中、風車が回ると書くと異国情緒溢れる様に聞こえるが、背景にはスカイライナーをはじめとする古い車両が行きかう京成電鉄の線路があったり、如何にも和風な田んぼが延々と続いていたりする。
チューリップ祭りは毎年この時期に行われる行事なのだが、オランダの風車とチューリップというメルヘンな取り合わせにも関わらず、たこ焼きやお好み焼きの屋台が鎮座する和洋折衷な祭りなのが可笑しい。

例年は会場まで車で5分ぐらいのところから既に渋滞が始まるのだが、この日は生憎の曇り空と強風のために出足が鈍ったようで、すんなりと第一駐車場に潜り込むことが出来た。数年前に始めて来たときにはありえないような遠くに車を停めさせられ、砂利道を延々とテクテク歩いた記憶がある。

久しぶりにみる風車は強風の恩恵でこれでもかと回っていたが、記憶の中にあったそれよりも羽が低い位置を回るため、近くに行くとかなり怖い...側には行けない様に柵がしてあるのだが、はっきり言って普通に歩いているだけで直撃する高さであり、またそうなったらかなりの確立で三途川で六文銭を支払うはめになりそうだ。

本題のカメ釣り。
会場を横切るサイクリングロードに沿って屋台が並んでいる。子供らが喰いついたのはカメ釣り。金魚すくいの緑亀バージョンだ。金魚すくいは紙とモナカとに勢力が分かれるが、カメ釣りはモナカしかみた記憶が無い。勿論ここでもモナカ・バージョン。物凄い数の緑亀を見て子供らは大喜びでやりたいと騒ぐ。横には学生風5人組みがいて、2人が今にも財布の紐を解きそうになっていた。

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  カメすくい
  1回300円
  買取1000円
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屋台のオヤジの横には汚い手書の料金表が。
『1000円?緑亀ってそんなに高いのか???昔だったら、釣れなくても1匹はくれるんじゃなかったっけ?それがいまじゃ釣れなくても欲しかったら1000円で売ってもらうわけ...?』と、驚いていると、オヤジがデモンストレーションを始めた。
「ほら、千葉大生。ちゃーんと、みてろよ!すくうから駄目なんだよ。端からそっと水に入れて、浮いてる亀だけを狙う。亀が入ったら、そっと水を抜いて手元から引き上げると亀が勝手に引っかかってくるのよ」と説明しながら、いとも簡単に「ハイ、亀ちゃん!」、「ハイ、亀ちゃん!」などといいながら、あっという間にモナカ1枚で4匹を吊り上げて見せた。「ほら、これで4千円也!」と学生に説明している。
「4千円?4匹で4千円?買取って、釣った亀を店が買い取る金額ってこと?」オヤジに尋ねると、おもむろに背後からなんだか書類を取り出して説明を始めた。
「その通り!1匹を千円で買い取るわけよ。要するにパチンコと一緒だな。今はね、動物愛護協会がうるさくてさ、亀を持ち帰る客からは、ちゃんと飼えるかどうかの確認をして、住所と名前を聞いて報告しないといけないわけよ。店をやるだけで、役所から許可書を貰わないといけないし、亀を渡したらそれまた面倒なわけ。だから、買い取るの!」ということ。
自慢じゃないが、紙の金魚すくいにかけちゃ名人級で、町内会の祭りなどではギャラリーが集まるほどの腕前。でも、子供の頃からモナカの方は苦手だった。金魚だって2匹すくえたらいい方で、亀にいたっては成功した記憶が無い。横では学生達の中から二人がチャレンジすることになった。オヤジは「あれだけ教えて取れなかったら千葉大生だってのは嘘だなぁ」などと言って煽っている。
1人目がオヤジがやったようにすくってみせた。しかし、お椀のなかにモナカごと落ちてしまったた。オヤジは「本当は失敗なんだけど、まぁ、良いか。ほれ、千円。あ~ぁ、700円損しちゃった」といって、ジャリ銭で千円を掴ませた。2人目は水を抜き忘れてあえなく撃沈...。
その後、滅茶苦茶不器用な外国人など多くの人がチャレンジしたがみな一様にオヤジの真似をしてもどこか大事なことを忘れてしまっていてミスを繰り返すばかり。悔しがって何度も繰り返すものもいたが誰も取れない。オヤジは良いタイミングでデモンストレーションを繰り返すのだが、少なくとも2匹は釣り上げてみせていた。

オヤジからしたら、学生になんとか成功して貰いたかったのだろう。ひとり成功すると、みんなやりたがるから。それにしても買取千円というのが絶妙。1匹釣り上げれば元を取れるという心理が働くので、3回まではついチャレンジしてしまうようだ。

咲き乱れるチューリップよりも印象に残った緑亀でした。

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ところで、写真はこのお祭りのポスター。この画風を知っている人って沢山いると思う。作者は高橋真琴といって、数十年前からイラストレーターとして活躍を続ける画家で、同じ佐倉市の志津というところに自宅を構えている。次回はこの作家の話を。

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