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DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

私にとってブログは「放送局」です。常に発信していなくてはならない。 発信が止まったらそれは「放送事故」です。

パプーシャの瞳 PAPUSZA @岩波ホール

2020-06-25 13:29:36 | 映画・演劇・美術
 クシシュトフ・キエシロフスキ、アンジェイ・ワイダなどポーランド映画も基本的に好みなので、岩波ホールへ。仮設の映画館で観た「巡礼の約束」のプログラム入手も目的の1つ。「新しい生活様式」での初めての映画観賞。
 ジプシー(と言う単語はあまり好きではないので、以後、ロマ族と呼ぶ)出身女性が詩人として生きる人生の大河ドラマ。実に哀しみに満ちた物語で、私のような人間には到底受け止め切れない歴史の物語。
 ロマ族は放浪民族なので記録が極めて少なく、日本ではほとんど神話レベルの話しか伝わって来ず、歴史として学ぶ機会がほとんどない。ストーリーも、誰がポーランド人で誰がロマ族か、誰がポーランド語を話し誰がロマ語を話すのかも最初は分からない。そもそもなぜロマ族は放浪するのか?アジアの狩猟民族と違い、農耕ができない土地でやむを得ず放浪している訳ではなく、むしろ旅する生活が彼らのアイデンティティになっている。そして、ユダヤ人も移住するが、彼ら以上にロマ族はあちこちで小さな諍いを起こしながら旅の生活を続けている。
 舞台は2つの世界大戦の狭間、およそ100年前の物語(映像もモノクロ)。今はさすがに幌馬車に乗って旅をすると言う生き方はしていないと思うが、少なくとも彼らの誇り高き精神に感動する。文字を持っていないのではなく、記録を残すことを拒む生き方。SNSの時代には考えられない、連絡も思い出も不自由する生活の一方、プライバシーが完全に守られている世界でもある(だから主人公はロマ族の生活を文字に残したことで裏切り者呼ばわりされる)。
 ポーランド自体、戦争の深い哀しみの記憶は多い(アウシュビッツ収容所はポーランドにある)、さらにその中で差別を受けていたロマ族。その哀しみたるや想像を絶する。映画と言うフィクションではあるが、そうしたロマ族の数少ない貴重な記録であると同時に、厳しい自然、誇り高き民族ならではの美しい映像が素晴らしい。とはいえ、ストーリーを追う中で、自分の勉強不足を痛感。

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