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DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

私にとってブログは「放送局」です。常に発信していなくてはならない。 発信が止まったらそれは「放送事故」です。

旅芸人の記録@新文芸坐

2012-03-17 15:42:50 | 映画・演劇・美術
 さてアンゲロプロス特集も終盤になり、最高傑作の誉れ高い「旅芸人の記録」が登場する。これまでの込み具合からしてギリギリ到着だと入れないかもしれないと思い、開演30分前に到着。10分前くらいには満席に。
 4時間におよぶ大作、以前飯田橋のギンレイホールで観た時は途中休憩が入った、しかし今回は4時間ぶっ続けで上映だそう。私の映画経験で幕間があったのはこの作品だけ。今朝あまり寝れていないので多分途中爆睡するだろうが、それでも見ごたえのある作品。
 第二次大戦中のギリシャの歴史を描いた大河ドラマ。今日の天気のように雨が降ったり雪が降ったり、決して心地よい天候のシーンはない。ファシズムとコミュニズムに分裂するギリシャ市民の狭間で、旅役者たちも不条理な殺戮、逮捕に巻き込まれる、しかし彼らが直接激怒したり慟哭したりするシーンはほとんどない、またしても豆粒のような民衆のうごめきが情緒の表現になる。つまり、この作品では戦争は戦場で起こっているのではなくギリシャの人々のすぐそばで起こっていたことを思い知らされる。私たちの生活そのものが脅かされているという意味では、震災の悲劇と重ね合わせてもよい、私たちもファシズムとコミュニズムほどではないが、分裂はあちこちで見られる。まさにアンゲロプロス監督は人物でも風景でもなく(もちろんそうした素材が映画の物語の語り手になる訳だが)「歴史」を描く作家なのだ、と思い至る。
 たっぷり4時間、終映後は立派にエコノミー症候群、脚の血流がないのですぐに立てない(笑)。次の回の行列、階段の下まで行って(劇場は3階)雨の外にまで。街を歩いても、むしろ東京の華やかさの方が幻かと錯覚してしまうくらい、どっぷりと1940年代のギリシャにタイムスリップしてしまう映画。



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