
ものすごい広い敷地。どこまでもそんな建物が続く。自動車の通行は一切なく、人の往き来は必ず車椅子の患者と看護師のペア、1人で歩いているのは自分だけ。
売店を見つけたので資料館への行き方を尋ねる。まだかなり歩くみたいだ。敷地内をかなり歩き、もう方向感覚が分からない。帰りは道が分かるだろうか、と心配になる。幸い、資料館にたどり着くと、そこは外の世界とつながっていてバスも走っていた。
さて資料館、前回の空と大地の歴史館よりも人が多い。僕みたいな社会問題意識と言うより、今日の高齢化社会でケアサービスを志す若者たちが見学に来ているようだ。
今日ではかつてのような「頼予防法」のような悪法もなく、ここ多磨全生園もそういったハンセン病患者の隔離病棟と言う性格は過去のもの、現在はその後遺症に苦しむ人々のための介護老人ホーム的役割を担っているようだ。
正直、私個人はハンセン病のことはよく分からない=身近にハンセン病で隔離された人の話を聞いたことがない。それよりも、犯罪者でもないのに犯罪者以上に過酷な運命(一度入ったら治療法の確立していなかった時代は一生療養所を出ることができない、無期懲役の刑に服するのと同様の差別、被害を被る)を背負わされた過去の患者の皆さんの生活実態をこの目にした。
この手の施設が刑務所と変わらぬ差別の目にさらされてきたことは、展示よりも駅からの遠さとか、敷地の中の静けさとか、頭でっかちな認識ではなく肌身で感じられる資料館。こんな施設が都内で見れるだけでも大変貴重。興味のある方は是非訪れていただきたい場所。
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