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DEEP ACIDなんでもかんでも日記・ヤプログ!より移行

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BOOKREVIEW: 知能低下の人類史/Edward Datton, Michael A.Woodley of Menie

2025-01-01 05:41:22 | 社会・政治
以前から、社会の分断についての思考を巡らせて来た。いくつもの仮説があり、私は「インターネットの普及で人々のインプットが多様になり、かつネットサービス側(検索サイトもそうだし、何よりSNSのレコメンド機能だ)、その結果、人によって情報インプットが過剰に偏って、意見が噛み合う議論が激減するに至ったこと」を自分の中の仮説としている。つまり、メディア報道やSNSから流れてくる情報から、社会科学的アプローチ(?)でそのように考えている。
そこに、表題のタイトルの書籍を東京に帰省して発見。読んでみた。
まず断っておくが、これは相当に激しい議論を呼び起こす(平たく言えば、炎上を巻き起こす)類いの書物だ。まあ、今さらネット上には炎上している議論は山ほどあるが、基本的には過激思想の持ち主だったり、BOTであったり、あるいは生業として意図的に過激な言説を流すごく一部の人たちがしかけているもので、一般人が不用意に内容を紹介しずらいものがたくさんある。本書は知能を扱う性格上、優生学的な議論が続く(その代わり、ナチス的な選民思想はない)。であるから、この書物の影響によって社会を反SDGs的に戻す、ということはあってはならない。あくまで、事実として認識し、倫理的な方法を考えるべきである。
とは言え、科学とはそういう一面もある。かつては。ガリレオが地動説を流布したことに対し、宗教裁判にかけられた。しかし現在は地動説は定説となった。ダーウィンもまた然り。
ざっくり内容を要約すると、中世までは政治制度はほとんど弱者に対する救済制度を持たなかった。干ばつや洪水があればすぐに死ぬし、そもそも乳児が成人まで生き残る確率も5割を切っていた。つまり、弱肉強食によって人口のバランスが保たれた。同時にThe fittest will surviveの原則により、高い知能の個人や家族、種族だけが生き残った。この時代、人類の知能は上昇していた。
変化のきっかけは産業革命。機械の発明により、生産性は爆発的に向上し、知能の低い者が生き残れるようになり、かつ知能の高い者たちが少子化の傾向を見せることによって、社会全体の知能低下が進んでいるという。本書ではないが、ローマ帝国の衰退もまた、戦争の敗北などではなく、少子化による自滅だとする学説も言われるようになった。知能だけでなく、女性の社会進出も否定的な要因とみなしている。高学歴の女性が子どもを生まなくなったことを問題視している。
基本的には、弱肉強食が人口爆発を抑制していたが、今は少子化がそれに代わっている訳だが、知能低下は人類の文明は上限に達し、これから下がっていくだろうと本書は予測する。AIがそれを補う?いやいや、AIが賢すぎて、ヒトが答えの誤りを補正できなくなる、ということを私は問題視したい。故障の修理も同様。例えば、カザフスタンや韓国で相次ぐ飛行機事故はどうか。原発を始め、もはや人間のコントロールを超えた高度すぎるテクノロジーが我々の社会をおびやかしていて、今後もそれらの安全を守れるかどうか、非常に不安視している。
ということで、こうして陰謀論を安易に支持する人、環境問題、裏金問題などを他人事で関心を見せない成人が相当数いることは、こうした知能低下が一因、というもうひとつの仮説を考えている。


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