Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

東トルキスタンの夢と新彊の現実 第2回(グルジャイーニン)

2020-09-22 15:17:17 | 旅行

201945月の記録

青い空、清々しい空気、カラフルな家屋、グルジャイーニンの素晴らしいひととき

 

さすがに昨晩は疲れてぐっすり眠って、朝と思しき時刻に起きた。「朝と思しき」といった回りくどい表現をしたのは、この街では、様々な時間で生活している人がいる。ホテルのチェックアウト時刻は、北京時間12時が標準 (交通機関の発着時刻の表示は北京時間)になっているが、ランチタイムのようにみんながいっせいに食事をする時間帯はなく、食堂ではお客が、バラバラというか、ダラダラとやってきて食事をする。どのような職に就いているかにもよるのだろうが、ゆったりとした時間が流れている。

 

幸いの晴天、清々しい空気の中、タクシーを拾い目的地の1つの政府が整備した少数民族居住区に向かう。「政府が整備した」=漢族好みに観光地化され、土産物屋が軒を連ねる街なのかと不安半分で訪問したが、良い意味で予想が外れ、小綺麗に整備されていたものの“見世物小屋”にはなっていなかったので、ホッとした。入り口にゲートがあるものの観光協会のツアー(馬車で回る)に参加しなければ無料。(中国では、整備保存された街に入るには、結構高額な入場料を払うことが通常) 観光客もほとんど目にすることもなく、のんびりとぶらぶらするには最高の街だ。

 

居住区を入ったところの木陰で、写生している人たち、穏やかな時の流れを感じる

 

写真を見て頂ければ一目瞭然なのだが、緑に恵まれたカラフルな街なみは、天山の南側のゴビ砂漠に隣接する街とは異なる。このような穏やかな風土が、緊張状態が続く南彊にない平安を生んだのかと思ったが、歴史を紐解くとちょっと違うようだ。

 

明らかに西洋(欧州)を感じる建物

 

木質やレンガに水色、ピンクといったパステルカラーが新鮮だ

 

1997年には、東トルキスタンの独立を目的とした暴動(グルジャ事件)が発生しているので、穏やかで暴動の起きない風土というのではないのかもしれない。好意的に解釈すれば、暴動(テロ)では、独立を獲得できないと人々が悟ったのだと考えたい。

 

少数民族居住区を散歩していて気がついたことは、ウイグル族以外の少数民族、ウズベク族、カザフ族と思しき人たちが多いことだ。(天山の南側は、ウイグル族か、漢族か) ウイグル族とウズベク族、カザフ族とで大きく異なることは、民族の国を持っているか、否かだ。ウズベク族、カザフ族は、ともにソ連からウズベキスタン共和国、カザフスタン共和国として独立している。つまり、大国であったソ連からの独立で、すべてがハッピーにはならない現実を知っているのではないだろうか。(地下資源があっても国民は貧しく、ロシアの経済支配を断ち切れない) 一方、ウイグル族は、民族の国を持たないので、独立の負の現実より明るい夢ばかりが膨らんでしまうのかもしれない。地下資源を搾取されたとしても、経済大国・中国の一部でいることの方が、経済的な豊かさを享受できることは間違いないだろう。もちろん、経済的な豊かさと引き換えに民族の尊厳を破壊する中国政府の同化政策が甘受できるものでないことは記すまでもないことだ。

 

いゃぁ、またまた、すっかりカチンカチンの堅いブログになってしまった。読者の皆さんは、堅い話は忘れて、グルジャイーニンの人たちの笑顔と美しい街なみをお楽しみいただければ、幸甚です。

 

子供を中心に3世代の団らん、幸せな日常

 

 

水色の壁の家から黄色とピンクの洋服を着た女の子が出てきて、カメラを向けるとはにかみながらも撮影に応じてくれた

 

屈託のない3人組

 

木製の電柱の陰からピースサイン

 

ヒジャブを被った女性を見ると、ここがイスラム圏であることをあらためて感じる

 

東トルキイタンのおばぁちゃんは、概してふくよかで、愛嬌いっぱい

 

ウイグルのナンは、安価で保存が効く、お腹の中で水分を含むと満腹を通り越して苦しくなる、食べすぎ注意だ

 

ナンは昼過ぎから焼くことが多く、午前中は窯の清掃だ

 

強烈なピンク色の壁、しかし、この街に溶け込み、自然に存在する

 

水色に塗られたレンガ、東トルキスタン共和国の国旗も水色、水色は、最も美しい色なのかもしれない

 

兄弟だろうか?色白で可愛い

 

黄色い壁、開け放たれた青い窓に差す穏やかな木漏れ日

 

立派な門構えの家がならび、「民居訪問旅游景点(観光訪問を受け入れる民間住宅)」の看板を見つけた

 

人工芝の敷かれた階段を登ろうとすると主に制止された。慌てて「お金?」と訊ねると、「違う、違う、靴を脱いでください。」と言われ、何とも恥ずかしくなった。室内には、土産物があったが、残念ながら欲しくなるようなものはなく、押し売りをされることもなく、主と談笑して、お茶をご馳走になり、チップを渡そうとしても固辞され、複雑な気持ちで後にした。

 

ビジターセンターだか、居民センターみたいなところに隣接した立派なモスク。政府が建設したものなのだろうか?ムスリムでもない僕が評するのは不遜かもしれないが、「心」を感じられない。(ちなみに僕はクリスチャンで、神社仏閣には興味がないが、キリスト教会、イスラムモスクに行くと、不思議な心の平安を感じる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (michi)
2020-09-23 17:57:03
グルジャイーニンの子供たち(大人も)、くっきりした笑顔がステキです~パステルカラーの建物や並木、光の当たり方など、見ていたら懐かしくなりました。ウイグル自治区、また行けたらいいな・・・なかなか余裕がないけど~
返信する
Unknown (zhen)
2020-09-23 21:50:23
Michiさん
コメありがとうございます。
グルジャイーニン、素敵なところですよね。
ただ、この先のお話では、新彊の厳しい現実も記すことになりますが、続きにご期待ください!(笑)
返信する

コメントを投稿