Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

美麗的日本和我 (美しい日本と僕)/下野探訪記 第12回

2023-01-03 12:29:09 | 旅行

2022年の記録

クリスマス・イブに野暮用で佐野と真岡に行ったときの記録

 

 

観光列車とは言え、リアルな産業遺産である蒸気機関車。C1266は、1933年(昭和8年)製、車齢90年。いずれ動かせなくなるかもしれない。

 

 

佐野市は栃木市を越えて、30分ほど北西に行ったところにある。一方、真岡市は、西側に隣接している。(厳密に書くと、今回の訪問地は、真岡市南端に接した茨城県下館市折戸)

 

 

カトリック佐野教会は、1953年(昭和28年)竣工、緑の屋根がある尖塔が目印となっている。

2022年のクリスマス・イブ、栃木県南部は、終日晴天の天気予報だったが、訪問した朝は、俄かに空は厚い雲に覆われ、風花が舞い始めた。

 

 

日本基督教団佐野教会は、1934年(昭和9年)竣工、木造2階建、鉄板葺、塔屋付の聖堂を持つ。カトリック佐野教会から至近距離にある。登録有形文化財

 

 

日本基督教団佐野教会から30メートルほど東に美しい洋風建築・旧影沢医院があったはず。しかし、見つからない、グルグル廻って撤去された跡の駐車場を発見した。文化財に指定されていても、消えるときは、消えるのである。近代建築を記録に残す価値を想う結果となった。

写真は、2018年2月11日訪問時の撮影。

1911年(明治44年)頃建築=詳細不明の木造2階建て、スレート葺き、外壁横板張りの外科医院、その後、日本クリケット協会事務局として使用されていた。2020年 (令和2年) 11月解体。

 

 

一旦帰宅した後、天気は回復した。さすがに佐野にとんぼ返りするまでの思い入れははなく、佐野とは逆の真岡市方面へ。真岡鉄道は、土、日曜日に1往復蒸気機関車が走る。観光列車であるものの1994年(平成6年)から30年近く運行しているため、すっかり日常の風景になっている。

 

 

【メモ】

2023年を迎えた。コロナ禍は、依然続いているもののウィズ・コロナとしての終息が見えてきた。一方、ウクライナ侵攻は、まったく終わりが見えない。年末に小泉悠さんの話を聞く機会があり、丸ごと同感だったので、メモとして残すことにする。

 

小泉さんは、ウクライナ侵攻(小泉さんは、ウクライナ“戦争”であると強く主張、今となっては確かに)後、東京大学先端科学技術研究センター専任講師の肩書で、TVに頻繁に出演している。それ以前は、“ロシア軍事オタク”に分類されていた人だ。彼は、「今回の戦争で、ロシアに擁護できるところはない」と言いきっている。彼のプロフィールからすると意外だ。ロシア軍の研究を続け、ロシアには強い思い入れがあり、ロシア人を妻としているのである。

 

彼は、ウクライナ戦争は他人事ではなく、ウクライナを見捨てれば、日本も同じ運命になりうると強く主張している。今の日本に限らず、世界各国では、次第にウクライナへの関心が薄れつつある。ウクライナは、遥か西方にある旧ソ連圏の遠いい国なのだ。しかし、彼の主張の根拠を聞くと、なるほどと思うし、ウクライナ戦争が他人事に思えなくなった。

 

彼曰く、世界の国は、チェスの“プレーヤー”か、“駒”である。アメリカ、ロシア、中国は、間違いなく“プレーヤー”であるが、ウクライナ、そして日本も“駒”にすぎない。ウクライナ戦争によるロシアの主張を1点でも認めてしまったら“駒”にすぎない小国の将来は、“プレーヤー”である大国の自由になってしまう。日本人の多くは、日本が“駒”であるとの認識すらない。アメリカ、ロシア、中国に囲まれた日本は、微妙なバランスの上に存在しているだけの“駒”である。

 

以上が、小泉さんの話。以下、僕の追考。

 

プーチンや多くのロシア人の一方的な感情は、ウクライナは、ロシアの不可分な属国である。その証拠は、スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟しても別に問題視しないし、既にNATOに加盟しているバルト三国を攻撃するわけでもない。しかし、属国であるウクライナが、NATOに靡くことさえ許せないのだ。繰り返すが、ウクライナは、ロシアの不可分な属国だからだ。この感情は、極めて危険なことものだ。

 

日本の北方領土を日本地図で見ると、知床半島と根室半島の間に食い込んで存在する国後島、とても“外国”には見えない。北海道から国後の島影を見れば、その想いは強まる。“日本固有の領土”という観念に疑問はない。しかし “固有の領土”という概念さえない外国人もいる。領土とは、取ったり取られたりするもので、国の力関係によって、領有権は変わるものと考えている人が多数いる。だから、実効支配という事態になるのだ。

 

琉球(沖縄県と奄美群島)は、“中国の朝貢国”、これが、中華思想の根底にある想いだ。日中のパワーバランスが変化したので、“取り返す”と考えるのが自然な発想である。それを回避するために日本は増税までして防衛費を増額している。確かに、それは、それで、必要なのかもしれないが、それ以前に、「大国の一存で小国をどうにでも動かせる」を許してはならないのだと思う。ウクライナへの支援は、中立な立場ではなく、小国の立場で実行すべきなのだ。

 

 

旅は続く