Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

東トルキスタンの夢と新彊の現実 第1回(東京⇒上海⇒ウルムチ⇒グルジャイーニン)

2020-09-13 18:33:07 | 旅行

東トルキスタンは、何度も旅行したが、天山山脈は南側から眺めるだけだった。天山の北側に行くのは初めて。

【メモ】

東トルキスタン:中央アジアテュルク化英語版)とともに生まれた歴史的な地域名称であり「テュルク人の土地」を意味するペルシャ語表現に由来するトルキスタンの東部地域にあたり、主として現在の新疆ウイグル自治区一帯を指す歴史・地理的な概念。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

新疆:「新しい土地」を意味する漢語。

東トルキスタンは、緯度的にはインドと変わらない。中国の西は、西洋の入り口である。

【旅程】

東京⇒上海⇒ウルムチ⇒グルジャイーニン⇒カシュガル⇔タシュクルガン、ヤルカンド⇒重慶⇒東京

広大な東トルキスタンのほんの一部を巡ったにすぎない。

羽田を深夜1時半に出発、上海浦東、ウルムチで2度のトランジット。目的地のグルジャイーニンに当日の19時半(北京時間、日本時間-1時間)に到着する。中国の最果てといったイメージの東トルキスタンだが、意外に近い。文明の利器・航空機恐るべし、といったところか。19時半と言うと、もう夜のようだが、あくまでも北京時間、新彊時間は、北京時間-2時間。加えて新彊時間はウルムチを標準にしているので、ウルムチより更に西のグルジャイーニンは、昼過ぎといった感覚である。

東トルキスタンと言うと、ゴビ砂漠の乾燥地帯のイメージであるが、北疆は雨も多く緑豊かでだ。

今、思い起こせば、ウルムチ空港のチェックインの際に「グルジャイーニンに行く目的は?」と訊ねられた。いわゆる「重点旅客」に該当していた訳であるが、グルジャイーニン空港に到着して“公安のお出迎え”を受けて初めてそのことを認識した。

新疆ウイグル自治区が、他の中国と違って緊張した地域であることは重々承知していた。しかし、グルジャイーニンのある北疆地域は、自治区の中では比較的穏やか、平和であると思っていただけに意表を突かれた感じだ。

 

“公安のお出迎え”と書くと、如何にも緊迫した事態を想像されるかもしれないが、いたってフレンドリー(と思ったのは、僕が脳天気なだけかも)だった。結果的には、“万事塞翁が馬”で、“公安のお出迎え”がなかったら、もっと厄介なことになっていた。

僕を迎えてくれたのは、若い女性公安で、本署からのパトカーが到着するまでの間、僕に付き添ってくれた1人は、ウイグル族だったので、ウイグル語の単語帳を見せると、丁寧に発音を教えてくれ、退屈ではなかった。

 

本署から迎えに来たのは、若い男性公安2人で、パトカーで予約していたホテルに向かった。ところが、ホテルをいくら探してもみつからない、「それでも、君たち公安か?」といった怒りは感じなかった。結果として、ホテルは改装工事中で閉店していた。実は、数日前に予約サイトのAgodaから「キャンセルが可能ならば、キャンセルして欲しい。」といった主旨のメールが届いた。あたりまえの話だが、宿泊を希望するから予約した訳で、今さら、ホテル探しなどしたくないので、「キャンセルしない」と返信した。

その後のAgodaとのやり取りは、別の機会に書くとして、ともかくホテルを探さなくてはならない。まさに“万事塞翁が馬”である。公安にホテルを紹介して欲しいと頼むと予算を聞かれた。約300元以内でクレジットカードが使えることを伝えると希望価格帯の三ツ星ホテルに連れて行ってくれた。タクシーの運ちゃんと右往左往するのとは、比較にならないほど楽ちんで安心感がある。

 

ホテルにチェックインしたあとに客室内で事情聴取が始まったが、フレンドリーで尋問というよりおしゃべりだった。(でも、尋問中はスマホで動画撮影される)聞かれることは、「旅行の目的、どこから来て、どこに行くか、グルジャイーニンに友人はいるか?」、空港で聞かれたことと同じである。「(観光地化された)2つの少数民族居住区と郊外のナラティ旅游風景区への観光・・・・・・・、この街に友人はいない。」と、淀みなく答えた。名刺を渡すと、とても喜ばれた。上官への報告のとき、体裁が良いのだろうか。2人は、漢族の上司とウイグル族の部下。たいてい漢族の上司は、威張っていて、横柄なのだが、彼はとても礼儀正しく、親切だったし、ウイグル族の部下もイケメンで優しかった。最後は、「良い旅行を!」と言って2人は部屋をあとにした。

 

さて、明日のツアーの予約もしなくてはならない。1階のフロントに行って、ナラティ旅游風景区へのツアーの予約をした。(夜になって支配人が、恐縮して部屋にデポジットを持って来た。要するにツアーキャンセルである。後から知ったことだが、前日では、国境近くの外国人旅行許可が取れないのである。) フロントの対応も公安の紹介客だからか悪くない。

 

夕食を食べに街に出て、色々探したもののホテルのすぐそばの小綺麗なウイグル料理店に入った。味もサービスも悪くなかったので、滞在期間中、ずっと、この店を利用した。

 

僕の好物のポロ(ウイグル風ピラフ)。元々は、日本の赤飯と同じくおめでたい時の御馳走だが、今では、日常的に食べられる。

 

ウイグル料理と言えば、シシ・カワプ(羊肉の串焼き)。日本のラム肉が苦手な人にも美味しい、肉の鮮度と魔法のスパイスのため?