去年11月に、貴ちゃんがライブにやって来た時、向かいのクラフトビアの店、taneは開店したばかりだった。ソロになってからはいつも自分で車を運転して来るので、泊だとしても、その日の宿までアルコールは厳禁だった。次のライブが5月に決まった時、「じゃあ、うちに泊る?そしたら向かいのお店でビール飲めるよ」という話になり、それが実現した日。
朝、神奈川を発って、お昼にM村さんの店、『八宝亭』で無事ラーメンを食べ、(前回は道に迷ってたどり着けなかったらしい)安いパーキングに車を止めて、ねいろかふぇに到着したというのを確認。開店時間くらいに店に向かう。
かなり時間があったので、既に来ておられたお客さまと談笑しながら、準備を進める。オートハープのチューニング
ギターも
客席撮っちゃったけど大丈夫、なはず。
やなぎさんのソロアルバム『また歩き出そうとしている』から、『君から何百キロも離れた場所で』を最初の曲に選んだ。
次の曲『ひなたのにおい』も同じアルバムから。
『おいらとギターが歌うとき』のタイトルを『わたしとギターが・・・』に変えて歌ったのは以前にも聴いたけど、だんだん貴ちゃんのうたになってくるのだな。
次はオートハープに持ち替えて、やぎたこ時代のレパを。
フォスターの『Beautiful Dreamer』
フォスターの最後の曲、という説があります、という説明から、やっぱりフォスターについてはアツく語るのだなあ。前の席のM子さんが激写
『No One to Love』
この日のライブはオートハープ弾きとオートハープ持ち(私ね)が多く、皆聴き入っていた。
先週の京都のライブの感想を話す。ブルーグラスバンドをバックに歌う、というのは初めての経験で、後ろですごいパワーを感じたそう。
持ち替え、今度はマウンテンダルシマ。ハンマーダルシマとは全然関係ない、という説明をしながら。きれいな音がするものは皆ダルシマと言ってるのだろうな、と。ハンマーダルシマとは違って、ヨーロッパからアメリカに渡ってきた人たちが故郷を思いながらアパラチアの山の中で作った楽器だといわれている、という説明だった。
カポは売っているらしい。初めて見た。
『Wayfaring Stranger』
カーターファミリーの『On the Sea of Galilee』にクリさんが歌詞を付けた『虹の向こうに』この写真はMCしてるところ。
新しいギアはやなぎさんが生前リペアをお願いしていて、先日ようやく貴ちゃんが北陸のSさんから受け取って、使うことになったバンジョーだった。フレットレスにしてもらったのだそうだ。
フレットを取ったあとは埋めて、ネックの下はスクープを掘って、ヘッドのラクガキ?は消して。裏にはデッドベアが隠れていた。
このバンジョーを使って演奏したのは『The Coo-Coo Bird』、『Don't Think Twice』
そして、去年旭川フェスで見て、いっぺんで気に入って、作者に歌詞を貰った歌です、とやったのは『かっこいいおばあちゃん』これ、私もyukiさんから歌詞貰って歌ってる。yukiさんのことはずっと憧れていたそうだ。
またみんな写真撮ってるやん。
一部はこれで終了。客席はほとんどが知り合いなので、雑談が飛び交っていた。
二部がはじまって、最初のMCで、ソロになって1年が経ち、お世話になったお店へも一巡できた。最初は頭の中が混乱していて、あれもやらなきゃこれも伝えたい、とぎゅうぎゅう詰めになっていたけど、二巡目になり、ようやく「このお店だったらこの曲がやりたい」「この歌やっぱり好きだな」と思えるようになった、と話していた。歌のメロディや歌詞は降って来ないけど、セットリストは降ってくるそうで、この日のセットはそんな風に天から与えられたものだったのだろうか。
そして、もしこの店にこの方が来てくださったら、一曲ご一緒したい、という願いが叶った、と最初の曲は金森幸介さんと『いいこと』
前回、やぎたこと共演された時は「レコーディングは別々だったので、一緒にやるのは初めて」と言われていた。その時の録画をお客さまが撮っておられて、それを宝物のように何度も何度も見ていた、という貴ちゃん。嬉しそうだ。
コウスケさんは、「人のライブに行った時、本人じゃない人が勝手に出てきて歌うんが、めっちゃ嫌いやねん。何故なら俺、その人見に来てないから。せやけど、今日は、キラキラッとした目で貴ちゃんにそう言われたから、一緒にやります。」と最初にお断りをされた。ライブで別の人が出てくることについては私も全く同感。でもこの場でコウスケさんが歌われるのはそれとは意味が違うし、客席は全員、心から歓迎していたと思う。
見て!この嬉しそうな顔。
コウスケさんはいつものコウスケ節。合わせにくそう。後で、歌いにくくなかったの?って聞いたら「いえ、全然。とっても楽しかったです。」
この夜、色んな話をする時間があったのだけど、そこでも出たのが、「やなぎさんが亡くなって、やぎたことしては活動できなくなって、それから色んなレジェンドとご一緒する機会があったけど、これは今もやぎたこが続いていたら、なかったことだと思うのです。たまにはご一緒したりはあるかもしれないけど、『ああ、あいつらもやっとるな』って感じで見られてたかなあ、と。ひとりになったことを色んな方が心配して、気にかけてくださってるんだなあ、って感じてます。」ということば。そういえば古川豪さんのあのとろけるような優しい笑顔も、そんな感じやったな。
一曲歌って、コウスケさんは階段上のVIP席に戻っていかれた。
『We Shall Overcome』の中で一番好きな曲、何度も一人でやろうとしたけどできなかった曲、なので一緒にやっていただけて嬉しかった、と貴ちゃんは話す。
続いて同じアルバムから。『あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて』実話を元にしてブレヒトが書いた詩を佐藤GWAN博さんが曲にして歌っていた、それを聴いたやなぎさんがとても気に入って、もっと歌ってください、と言っていたそうだ。この曲はいつ聴いても悲しすぎて私はちょっと苦手。
林亭がやっているのを参考にして、歌わせてほしいとお願いした曲、茨木のり子詩の『私が一番きれいだったとき』
この詩はとても有名で、色んな人が曲を付けて歌っているようだ。
ギターに持ち替えて、彼女のオリジナル『ふたり』
彼女自身のオリジナル曲もとてもすてきだ。続いて、『いちばんのうた』
去年からの移動手段として、初めてマイカーを持ったらしい。知り合いの車屋さんに手配してもらったキューブの話をする貴ちゃん。移動距離も一年で3万キロ近く走っているとのこと。ひとりで長い距離を走るようになって、色んなことが腑に落ちるそうだ。やなぎさんが何故国道のおにぎり看板をコレクションしていたのか、とか。彼女は高速を使って移動するが、やなぎさんは下道を使っていたのだなあ。彼女は対抗してSAのソフトクリームをSNSにアップしている。
続いてオリジナルの『旅路』、歌詞もメロディも降って来ないといいながらたくさん持ってるやん。
今年の目標はアルバムを作る事、だそうで、夏に録音予定とのこと。外国の曲に日本語の詩を乗せたものは著作権が大変難しいそうだ。これはよしだよしこさんも言っていたな。トラディショナルについては、大丈夫かな、とThe Water is Wideに詩を付けた『約束』、『You've Got A Friend』も日本語で。ちょっと宣伝、彼女の胸のコサージュはデイジーヒル雑貨店のもの。実は同系色のピアスも購入してくれていたのだが、現在補修中。
去年見た時は、確かにこの日のセットとは雰囲気が違っていた。本人も、まだ やぎたこの時のレパは歌えない、と言ってた。今回は、とてもナチュラルに、歌いたいうた、届けたい曲を選んでいたように受け取れた。
この後、最後の曲にします、と一番新しくできた曲をオートハープで。
楽しいアップテンポの曲で、タイトルはたぶん『失敗いっぱいもう一回』かなあ?
アンコールは、やなぎさんの作った『Covers』というアルバムの話をしつつ「CDに入れられない、といっても絶対入れられないわけじゃないんですよね」とカバー曲のMe and Bobby McGee
たっぷり聴かせてもらってたっぷり楽しんだ。私はバンジョーの中のデッドベアを見せてもらった。
マサキさんは、貴ちゃんのコトコトハープとご自分のオスカー改を弾き比べたくて持って来られてた。
後片付けもCD販売も終わり、夕食の卵サンドとビールもようやく彼女のお腹に収まったので、まずは荷物を車に運び、念願だった向かいのお店へ。
カンパイ!
色々試したかったので、Sサイズにした私とM子さん。なみなみ。
フィッシュアンドチップス
唐揚げ
カルパッチョ
こんなのをつまみながらひとしきりお喋りした後は、楽器を担いで徒歩10分ほどの我が家へ。相方は朝霧フェスに行ってるので、娘と3人、今夜は女子会だ。
夜も更けてくるので軽いつまみとビールで遅くまでお喋り。貴ちゃんの音楽遍歴を最初からじっくり聞いた。後、ライブハウスの話やら、直前のクラフトビアの店でしていた、伝承音楽について、後継者について、みたいな話やら。でもまだまだ話し足りない気がした。
ゆっくり眠ってもらえたか気になるけど、日曜朝はロングドライブが待っている。そんなことを思いつつ、やっぱりまだまだ喋ってしまう。
我が家で朝ごはんの貴ちゃん
車に荷物を積み込む貴ちゃん
これがウワサの鼻の長いキューブ
キューブくん、今回もがんばってくれたようで、無事到着の連絡を午後7時前に貰った。途中事故渋滞があったらしい。
次のねいろは秋、待ってるね。