剣術十七代小野派一刀流宗家で日本キリスト教団駒場エデン教会
牧師の笹森先生が書かれた「武士道とキリスト教」という新書
が、新潮新書から1月17日に出版されました。
「キリスト教」と「武道」とでは相容れないものではないのか?
笹森先生は「キリスト教が愛と平和の信仰であるのに対して、
武士道は相手を倒すための各種の武術から生まれたもので
殺伐としていると考えられている。」
然し、「どちらも“人の死に方”、“生き方”を真剣に問う『道』
である。」とこの本の中で言われています。
キリスト教は決して西洋の専売特許ではない。両者の中の
共通性や融合性を明らかにして、一方で武士道が語ってい
ない「魂」の問題、自分という人格をどう受け止めるか?
について、「キリスト教は『魂の救い』を求めることを教え」
それは「この世で『私という人格を救う』こと」だと書かれて
います。
武士道の目指した「義」は、相手を尊重する、相手に対する
「愛」なくして存在しません。
つまり、「武士道において既に『義』と『愛』を知っている
日本人は、キリスト教を実践するうえでの特権を既に与えられ
ていると思います。」という言葉からは、我々が知っていた
はずの「キリスト教」や、「武士道」がそれまでの固定観念
から解き放たれて、もっと身近なものとして、もっとわかり
やすいものとして感じられてきます。
ひいては自分の行く末、死さえも自然に受け入れられるような
気持ちになりました。
日々、諸事に追われながら生活していく中で、ふと自分を
見直すきっかけになる本であると思います。