話は25年くらい前。
高校卒業を控え、進路に悩んでいた私。
板前になりたくて中学卒業して寿司屋に修行しに行こうと申し出に行ったら
「今どきは高校出ねぇと客とも話せねぇからな、高校卒業来まったらうちに来い!」
と、言われ高校へ進学した。
卒業が決まり、その店に行ったら潰れていたわけで…
ある意味、あー良かった。となった訳ですが、卒業後はここと決めていた場所が無くなり悩んでいた訳です。
そんなときに、家でどうしようかなんて思いながらもくつろいでたら、珍しく母親に肉屋に買い物を頼まれた。
子供の頃よく買いに行かされてた肉屋。
中学位から忙しくなり、行かなくなった買い物。
久々に買物かーと、肉屋へ。
実はこの肉屋は苦手。
親御肌ってのかな?何でも親身になって聞いてくれるけど、思春期の私には苦手でした。
到着するとやっぱり
「久しぶりだなー!でっかくなったなー!高校生か!?進路決めてんのか?」
ね、これ。苦手なんです。
肉買って帰りたいのに、帰らせてくれないこの空気。
私「まぁ、進路はまだ…」
肉屋「何部やってんだ?」
これこれ、人の事を根掘り葉掘り聞くくせに、話聞かないんだよな、この人。
私「スキー部。辞めましたけどね。」
肉屋「進路なんてやりてぇことやりゃいんだよ」
話聞け!とか思いながらもなんとなく悩みを聞いてもらえばスッキリするかもな
って思ってました。
肉屋「俺なんかこー見えて経理学校行ってたんだぜ!金勘定な!今は肉ばっか測ってっけど!」
へぇー、意外。
私「やりたいことがない」
肉屋「ねぇのか?まぁー若いときはなー何したいのか何てわかんねぇよな、逆に若えから何でもやってみりゃいいんじゃねーか?」
肉屋「俺行ってた経理の学校良かったぞ、頭悪かったけど数字に強くなったしな、社会に出たら数字強い方が便利だぞ」
あー、なるほどねぇ…
なんか、スッキリした。
で、肉屋おすすめの経理学校調べたら良さげだった。とりあえずよくわからないけど間に合せで受けたいくつかの大学は受かっていたが、なんか行きたくなるような感覚にならなかった。
漠然と、勉強しましょう、すれば将来なんとかなります、やりたいことなければ探すお手伝いします。的に感じた。
経理学校は興味をそそった。元々数字に弱くないし、それまでは職業という現実をあまり見てなかった私に、容赦なく突きつける感がすごく新鮮だった。
親と学校は大学を勧めた。
私は経理学校に行きたかった。
で、経理学校へ。
税理士というものを知り、なりたくなった。
税理士には簿記が必要だった。周りは商業高校で簿記すでに持ってる連中ばかり。
私は入学三ヶ月後の簿記2級取ってやる!と、ひたすら頑張り無事取得。周りと肩並べた。
そこからきちんと税理士になろうと決め、まずは一級!と、ひたすら簿記。
簿記だけやると狂いそうになるんですよね 笑
なので漢字検定も電卓検定もやることにした。
経理学校だと割りかし普通な感じらしいが、気分転換になる上に漢字と電卓は社会に必須だろうから頑張った。
両方一級になったが、簿記だけは落ちた。正確には一番難しい一級だけ落ちた。
2年制から4年制に変更して目指すやつも出てきた。
私は、学費がなく2年で辞めた。
辞めることが決まったらやる気が無くなってしまった。
はい、ここ↑ここでやる気なくさなければなぁー、と今でも後悔。
ターニングポイントだとはこの時はわかってませんでした。
周りの友達も脱落者が卒業に向けて就職活動してるけど、結局税理士志願者が惰性で就職なんて長続きしなそうと、私は調理に戻ることにした。
結果、税理士なんて私はなれず、調理も色々あり辞め、今に至ります。
今は今で不満だらけだけど、結局行かなかった道に行ったらそれはそれで不満は変わらないだろうなぁーと、現実逃避w
仕事で付き合いのある税理士さんには、まだ遅くないよ!頑張って見ればと言われますが、あの病みそうになる勉強だけはしたいと思わない…
税理士…なりたかったなぁ…
肉屋にのせられた男の話でした。
ちなみに、その肉屋はもうありません。