忘却の彼方へ

ウエブ上のメモ

施設における事故について (1)損害賠償の責任を負う者とは?

2005年04月02日 | 気になるニュースなど
施設現場においてもリスクマネジメントに取り組み、事故の未然防止に努めているが、もし、事故が起こった場合に損害賠償責任を負うことになる。先日、弁護士を講師に施設における事故についての学習会があった。

損害賠償の種類としては2つあり、ア契約上の債務不履行による損害賠償、イ不法行為に基づく損害賠償に分けられるが、主に施設現場で問題になるのはイの不法行為によるものである。
損害賠償の責任を負う者はa行為者本人、b監督義務者、c代理監督義務者である。

a行為者本人は、民法上は未成年者で「責任弁識能力」の無い者は賠償責任を負わないとされる。「責任弁識能力」とは、どういう責任があるかをわかる能力であり、11歳11ヶ月の少年に責任弁識能力を肯定する判決もあれば、12歳2ヶ月の少年についてそれを否定する判決もあるようだ。もちろん、精神の障害により「責任弁識能力」を欠く者は賠償責任を負わないとされる。
b監督義務者は、親権者、後見人、監護者、児童福祉施設の長とされる。監督義務者は行為者本人が行為責任を負わない場合に責任を負うことになるが11歳未満の児童の行為には当然として責任を負うことになる。ただし、未成年者が責任能力がある場合でも監督義務者の監督義務違反が認められれば不法行為責任を負うことになる。施設入所中の高校生が交通事故を起こした場合などは該当することもある。
c代理監督義務者は、例えば保育士や教員、施設の職員などが該当する。基本的には?の監督義務者と同様に考えてよいが、監督義務者(施設長など)が不法行為責任を問われることがなくても代理監督義務者(施設の職員など)が責任を問われることがある。なんでも上(施設長)が責任をとるものと思っていると、職員は痛い目に合うかもしれない。