発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

境界性パーソナリティ障害治療の現状2017

2017-11-13 06:46:04 | 精神科医療
 「境界型パーソナリティ障害」は周りにもいそうな「ちょっと困る人」という印象がありますが、疾患として捉える必要があります。
 理解しやすいマンガをどうぞ;

■ マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第48回「境界性人格障害・パーソナリティ障害って?

 治療に関する現状報告を紹介します。
 第一選択は心理療法、解決しない例では抗精神病薬が使用されているようですが、残念ながら承認されている薬はないので、他の病名を付けて手探りで処方されている現状が浮かび上がります。

■ 境界性パーソナリティ障害治療の現状
ケアネット:2017/11/06
 境界性パーソナリティ障害(BPD)に対する薬理学的治療の傾向を調査し、これに伴う課題についてより焦点を当てるため、オーストラリア・シドニー大学のVladan Starcevic氏らが検討を行った。Current opinion in psychiatry誌オンライン版2017年10月11日号の報告。
 主な所見は以下のとおり。

・専門的ではあるが、BPD治療の中心となる心理療法は、第一選択治療と考えられている。向精神薬使用は承認されていないが、BPD管理のために医薬品が使用されている。
・BPDには、さまざまな向精神薬が使用されており、多剤併用も顕著である。
・BPDに対する抗うつ薬使用は少なからず減少しており、気分安定薬や第2世代抗精神病薬使用が増加している。
・BPDに対する薬物療法の有効性を示すエビデンスはほとんどない。臨床医は、BPDに対し完全に薬物療法を避けるか、的を絞ったアプローチを用い、必要に応じてBPDの特定の症状に対し特定の薬物療法を行うことが求められる。
・このことは、BPD治療の臨床実践において多少の混乱を招き、BPDに対する様々な薬物療法の実施に影響を及ぼしている。

 著者らは「BPDに対する薬理学的治療の有効性については、十分に計画された試験が必要である。臨床医は、BPDに対し薬物治療を行う際には、慎重かつ短期間で、主に症状緩和に対して行うべきである。また、進行中の薬物療法の必要性を常に検討し、多剤併用を避けるため、あらゆる努力を行うべきである」としている。
(鷹野 敦夫)


<原著論文>
Starcevic V, et al. Curr Opin Psychiatry. 2017 Oct 11.

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