発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

冬季うつ病

2017-12-21 15:58:03 | うつ病
 「冬季うつ病」という病気があります。
 寒い季節になるとうつ状態となり、温かくなると回復するサイクル。

 まるで冬眠するクマのようです。
 いや、自然の営みのリズムを強く残している体質、と捉えることもできるかもしれません。

 しかし現代社会に生きていくためには、1年の半分を無活動で過ごすことは許されず、治療対象とならざるを得ません。
 本当に治療が必要なんだろうか・・・。 

■ 冬になると気分が落ち込む 女性に多い「冬季うつ」
日経ヘルス:2017/12/18
 ツバメが春に巣作りをし、クマが冬眠するように、生き物の多くは季節の動きに合わせて生きている。この季節変動をもたらすのは、日照時間の長短だ。
 夏は太陽が出ている時間が長く、冬は短い。私たち人間は季節変動に影響されにくい生き物だが、影響を受けやすい人もいるとわかってきた。「全国の成人およそ1000人を調べたところ、2%の人で、気分や体重、睡眠時間に大きな季節変動が見られた」。国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長はこう話す。
 こんな「季節に敏感な人」に見られる精神症状が冬季うつ。うつ病の一種で、女性に多く、患者数は男性の1.5倍いる。冬季の気分の落ち込みに加え、「何事もおっくうで仕事がはかどらない」「人に会うのが面倒」といった「社会的引きこもり」症状が表れるのが特徴だ。また、うつ病では通常、食欲が低下するが、冬季うつでは食欲が高まる。特に炭水化物を食べたがり、結果として体重が増える。



 治療のカギを握るのが生活改善で、三島部長は「まずは1日1時間、太陽の光を浴びること」と話す。漫然と日光浴をするのではなく、光を目の奥に届かせるのがポイント。光を見ることで体内時計が調整され、朝と夜、夏と冬といった自然界のリズムに適応しやすくなる。さらに、気分の波や食欲をコントロールする働きがあり、冬季うつの症状とも深く関連している神経伝達物質「セロトニン」の合成量を光の刺激で増やせる。
 食事も重要だ。セロトニンを合成する原料となるのが、必須アミノ酸のトリプトファン。それが足りないと、光を浴びても効果が得られにくい。



 三島部長は「トリプトファンは、普通に食事をとっていれば、不足する心配はほとんどない。だが、冬季うつの人は炭水化物に偏った食事をとりがちなので、摂取量が足りなくなることがある」と話す。トリプトファンを多く含む豆類、肉類、チーズなどを積極的に食べるように心がけるといいだろう。


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Google、Yahooなど検索サービス7社、自殺予防で連携強化

2017-12-20 06:13:40 | 自殺企図
 自殺対策にインターネット業界が動き出しました。
 スマホのLINEは入っていない?

■ Google、Yahooなど検索サービス7社、自殺予防で連携強化
2017年12月18日:井上輝一,ITmedia
 グーグルを含めた、インターネット検索サービスを提供する7社は12月18日、臨時の会合で自殺予防に関する各社の取り組みを共有し、自殺予防へ連携を強化することを確認した。

インターネット検索サービスを提供する7社が自殺予防に関する連携を強化
 会合に参加したのは、NTTレゾナント、ビッグローブ、ヤフー、グーグル、日本マイクロソフト、ニフティ、NTTドコモの7社。2017年10月に起きた座間市で9体の遺体が見つかった事件を受け、事業者でも再発防止に取り組んでいくという。
 この会合では、「死にたい」「自殺したい」などの自殺願望と関連するキーワードに対して、相談機関の連絡先を表示する取り組みなど、各社が自殺予防のために実施してきた取り組みの情報共有を行った。
 会合には厚生労働省、総務省、経済産業省も参加。厚生労働省は、従来の電話相談窓口にとどまらず、メールやSNSによる相談を受け付ける窓口を準備しているという。
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摂食障害に対するオランザピン治療の試み

2017-12-10 21:45:58 | 精神科医療
 薬の副作用を逆手にとって作用として使用した例をたまに見かけます。
 バイアグラも元々は副作用ですし、鼻水止め(抗ヒスタミン薬)の副作用としての眠気を逆手にとり睡眠導入薬として販売されているドリエル®もしかり。
 非定型抗精神病薬であるオランザピン(ジプレキサ®)は肥満の副作用で有名ですが、それを逆手にとって摂食障害の治療に応用したという研究報告を紹介します。

■ 摂食障害プログラム、オランザピンの使用は
ケアネット:2017/11/21
 顕著な障害や発育への影響に関連する摂食障害である回避性・制限性食物摂取症(ARFID)に対する薬理学的治療についての情報はほとんどない。米国・サウスカロライナ医科大学のTimothy D. Brewerton氏らは、ARFIDに対する薬物療法に関して臨床報告を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2017年10月25日号の報告。
 オランザピンの補助的投与と摂食障害(ED)プログラム(在宅、部分的入院、集中外来ケア)で治療されたARFID患者9例について、レトロスペクティブチャートレビューを行った。
 主な結果は以下のとおり。

・オランザピン平均初回投与量は0.9+0.63mg/日、オランザピン平均最終投与量は2.8+1.47mg/日であった。
・オランザピン投与前後の体重増加(3.3±7.3lb対13.1±7.9lb[2.99±6.62lb SI対11.88±7.17lb SI])に、有意な差が認められた(対応t検定:p<0.04、t=-2.48)。
・オランザピンの補助的投与は、体重増加だけでなく、不安、抑うつ、認知機能の改善に有用であった。
・オランザピンの補助的投与を行った患者では、臨床全般印象評価尺度(CGI)スコアの改善が認められた。

 著者らは「ARFID患者に対する低用量オランザピン補助的投与は、食生活の改善や体重増加、および不安、抑うつ、認知機能の改善が期待できる。将来、ARFID患者を対象とした無作為化プラセボ対照試験が望まれる」としている。
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双極性障害における混合状態の急性期および長期治療に関するWFSBPガイドライン2017

2017-12-05 08:22:37 | 精神科医療
 世界的なガイドライン作成に使用したデータベースの調査報告を紹介します。
 あまり目新しい情報は無いような・・・。

■ 双極性障害における混合状態の急性期および長期治療に関するWFSBPガイドライン
ケアネット:2017/12/05
 最近のガイドラインでは、双極性混合状態の認知や治療は、臨床的に関連性が高いものの、十分に評価されていない。WFSBP(生物学的精神医学会世界連合)ガイドラインでは、成人の双極性混合状態の急性期および長期治療に関するすべての科学的エビデンスのシステマティックレビューが行われた。本検討に関して、英国・ニューカッスル大学のHeinz Grunze氏らが報告を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2017年11月3日号の報告。
 ガイドラインに使用した資料は、さまざまなデータベースを用いてシステマティックに文献検索を行い、抽出した。エビデンスは6つのレベル(A~F)に分類され、実行可能性を保証するため異なる推奨グレードが割り当てられた。著者らは、双極性混合状態患者における躁症状およびうつ症状の急性期治療に関するデータ、躁症状またはうつ症状エピソード後の混合エピソード再発予防に関するデータ、混合エピソード後の躁症状またはうつ症状の再発に関するデータを調査した。
 主な結果は以下のとおり。

・双極性混合状態における躁症状は、いくつかの非定型抗精神病薬による治療に反応しており、オランザピンによる治療において最も良いエビデンスが認められた。
・うつ症状では、通常治療にziprasidoneを追加することが有用であると考えられる。しかし、躁症状の治療よりも限定されたエビデンスしか存在しなかった。
・オランザピン、クエチアピンに加え、バルプロ酸、リチウムも再発予防のために考慮すべきである。

 本研究の限界として、混合状態の概念は時とともに変化しており、最近のDSM-5では包括的に扱われている。結果として、双極性混合状態患者における研究は、若干異なる双極性亜集団を対象としている。さらに、近年では急性期および維持治療の試験デザインが進歩している。
 著者らは「現在推奨されている双極性混合状態への治療は、限られたエビデンスに基づいており、混合機能コンセプトを用いたDSM-5に準じた研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)


<原著論文>
Grunze H, et al. World J Biol Psychiatry. 2017 Nov 3.

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