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発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

うつ病と入浴

2017-05-17 06:03:06 | うつ病
 うつ病・うつ状態と入浴に関する報告を二つ紹介します。
 まずはドイツから;

■ うつ症状軽減へ、入浴のすすめ
2017/05/17:ケアネット
 うつ病治療は進歩しているにもかかわらず、3分の1のうつ病患者は、従来の抗うつ薬では対応できていない。副作用の少ない、より効果的な治療が求められている。ドイツ・フライブルク大学のJohannes Naumann氏らは、うつ病性障害を有する成人において温熱浴がうつ症状を軽減するかを検討した。BMC complementary and alternative medicine誌2017年3月28日号の報告。
 ランダム化2アームプラセボ対照8週間のパイロット試験として実施した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目版のスコア18点以上の中等度のうつ病であった安定したうつ病性障害(ICD-10:F32、F33)の外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)群またはグリーンライトによる偽介入群に無作為に割り付け、4週間介入を行った後、さらに4週間フォローアップを行った。主要アウトカム指標は、ベースライン(T0)から2週間時点(T1)までのHAM-D総スコアの変化量とした。

主な結果は以下のとおり。

・対象患者36例は、温熱浴群17例、偽介入群19例に無作為に割り付けられた。
・intention-to-treat分析では、T1における温熱浴群(温熱浴4回実施後)は、偽介入群と比較し、HAM-D総スコア3.14点の有意な差が認められた(p=0.037)。

 著者らは「本パイロット試験で、温熱浴がうつ病患者において一般的に有用であることが示唆された」としている。

<原著論文>
Naumann J, et al. BMC Complement Altern Med. 2017;17:172.


 これだけ?
 という印象を持つのは、私が日本人だからかもしれません。
 日本では毎日入浴するのが習慣であり、一方ヨーロッパではシャワーがメインでお湯を張って体を沈める習慣がないのです。
 次の報告はスペインから;

■ 温泉療法でうつや睡眠も改善
2015/02/05:ケアネット
 12日間の温泉治療プログラムにより、健康な高齢者の疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態が有意に改善したことが示された。スペイン・ハエン大学のPedro Angel Latorre-Roman氏らが、52例の高齢者を対象に試験を行った結果、報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2014年12月16日号の掲載報告。
 検討は、スペイン国内の複数の地域から高齢者52例を集め、政府機関Elderly and Social Services(IMSERSOとして知られる)が作成した水治療(hydrotherapy)プログラムに参加してもらい評価を行った。参加者に、12日間の温泉治療プログラムを提供し、疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態について評価した。疼痛は視覚的アナログスケールを用いて、気分状態はProfile of Mood Statusを用いて、睡眠はOviedo Sleep Questionnaire、抑うつ状態はGeriatric Depression Scaleを用いて評価した。
 温泉治療プログラムは、スペイン・ハエンにある温泉付きホテルBalneario San Andresで行われた。同温泉は、スペインミネラル水ハンドブックによると、低温(20℃以上)に分類され、重炭酸塩、硫酸塩、ナトリウム、マグネシウムを豊富に含む中硬水のアルカリイオン水であった。
 主な結果は以下のとおり。

・参加者52例の内訳は、男性23例(年齢69.74±5.19歳)、女性29例(同:70.31±6.76歳)であった。
温泉療法は、全被験者のすべての変数(疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態)を有意に改善した(p<0.05)。
・疼痛の改善については性差がみられた。治療後、男性では有意な改善(p<0.01)がみられたが、女性ではみられなかった。
・気分状態の改善についても性差がみられた。女性では抑うつ症状と疲労感の両者で有意な改善(p<0.05)がみられたが男性ではみられなかった。
・12日間の温泉治療プログラムは、健康高齢者の疼痛、気分、睡眠の質、抑うつ状態にポジティブな効果をもたらすことが示唆された。

<原著論文>
Latorre-Roman PA, et al. Psychogeriatrics. 2014 Dec 16.


 この温泉は「低温」タイプとのことで、日本の温泉とは違うのかな?
 まあ、いずれにしても体を温めてくつろぐことは体に悪いはずがない、ということでしょう。
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うつ病休暇取得者の半数が再燃

2017-01-08 13:07:10 | うつ病
 うつ病で休職した人の半数は再燃するという記事です。
 日本の労働環境を抜本的に変えない限り、うつ病はなくならないし再発も防げないことはわかっているのに変えられない・・・。

■ <うつ病休暇>半数が再取得「企業は配慮を」 厚労省研究班
2017.1.8:毎日新聞
 うつ病になって病気休暇を取った大企業の社員の約半数が、復帰後に再発し、病気休暇を再取得していたとする調査結果を、厚生労働省の研究班(代表者、横山和仁・順天堂大教授)がまとめた。特に復帰後2年間は、再取得する人が多かった。仕事の負担が大きな職場ほど再取得のリスクが高いことも裏付けられた。専門家は社員の職場復帰について、企業が慎重に取り組むよう訴えている。
 調査は、社員1000人以上の大企業など35社を対象に、2002年4月からの6年間にうつ病と診断され、病気休暇を取得した後に復帰した社員540人の経過を調べた。その結果、うつ病を再発して病気休暇を再取得した人の割合は、復帰から1年で全体の28.3%、2年で37.7%と高く、5年以内で47.1%に達していた。職場環境について、仕事への心理的な負担を調べる検査「ストレスチェック」を職場メンバーに実施した結果、負担が大きいと感じる人の多い職場ではそうでない職場に比べ、病気休暇の再取得のリスクが約1.5倍高かった。
 休暇期間では、1回目の平均107日に対し、2回目は同157日と1.47倍に長くなっていた。1回目の休暇期間が長い場合や、入社年齢が高くなるほど、2回目の休暇が長くなる傾向もみられた。
 調査した東京女子医大の遠藤源樹助教(公衆衛生学)は「うつ病は元々再発しやすい。企業は、病気休暇の再取得が多い復帰後2年間は、特に注意を払い、時短勤務などを取り入れながら、再発防止に努めてほしい」と指摘している。
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