“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

犬の訓練士、中村信哉氏の仕事

2018年01月31日 13時37分05秒 | 育児
NHKプロフェッショナル・仕事の流儀「ワンちゃんスペシャル」(2018.1.29放送)

 ペットの犬に関わるプロの仕事師達を紹介した番組。
 トリマー、獣医師に引き続き登場したのが訓練士の中村信哉氏でした。
 もともとは警察犬訓練士だった彼は現在、栃木県の大田原市で、暴になった愛犬を更生させることを仕事にしています。
★ 「北栃木愛犬救命訓練所

<放送内容>
『悪者になっても、命を守る』
 ペットブームのかげで、毎年のように起きる飼い犬によるかみつき事故。例年4,000件以上発生し、死亡事故まで起きている。そんな飼い主の手に負えなくなった凶暴犬を専門に預かり、更正を請け負うのが、訓練士・中村信哉。飼い犬との平穏な生活を求め、中村を頼る声は全国各地から届く。だが、その訓練は極めて厳しく、批判の声も浴びることさえある。それを承知の上で、中村は自らの信念を貫き通す。
 「厳しいのが嫌いだからといって、やらなかったら襲ってくることも止まらないし犬はかみ続けてしまうんですよ。かむ犬は治らないんだとあきらめてしまって処分をしたケースがあるんです。命が終わってしまうんです。だから厳しくやるわけです。それこそ、どんな方法を使ってでも飼い主さんのもとで一生を送らせたい。」
 中村が引き受けた犬の更正率はおよそ8割。更正を断念した犬も事実存在するが、中村はその犬たちをすべて“わが子”として引き取っている。






 世論は彼の手法を批判する動物愛護団体もいて喧々ガクガク状態のようです。

 でも私は、別のところに興味を持ちました。
 ペットとしての犬が凶暴化する原因は様々でケースバイケースだが「叱るだけとか褒めるだけとかの極端なしつけが一因」と中村氏。
 中村氏が行っている訓練は「人間が上、犬は従うもの」というルールをとことん教え込むことです。
 あくまでもペットとして生き残れるようにしつける内容。
 なぜなら、ペットとして振る舞うことができないと人間社会から抹殺されてしまうからです。
 飼い主に尻尾を振り、甘える存在でなければ生きていけないからです。

 「人間の子育てと同じではないか」と誤解された視聴者もいたのではないでしょうか。
 しかしペットのしつけと、人間の子育ては違います。

 昔々、オオカミの集団生活の上下関係がハッキリしたしくみを観察した縄文人は、「あの階層の一番上に人間が立つことができれば、オオカミをてなづける事ができるかもしれない」ことに気づき、実行して長い時間をかけて「犬」というペットを作り出しました。
 ペットは人間の指示を忠実に守る存在です。
 ですから人間にとって喜びや満足感を得られるだけの動物であり、現代社会ではそれが“癒やし”に変化してきました。

 一方、人間の子どもは成長発達し、自立して親を追い抜いていく存在です。
 たくさんの愛情を必要とする上に、自立するために親との葛藤も抱えます。
 ですから親は、喜びだけではなく、悲しみ・怒りなど、様々な感情でその存在を揺さぶられます。
 これぞ人生の醍醐味(と私は思っています)。
 その葛藤の末に一人前になって自立し、家族を持ち、子孫を残すことを見せてくれると、他に代えられない充実感を与えてくれます。

 現代の日本社会では、ペットを育てることはできても、人間の子どもを育てる能力が落ちてきてしまいました。

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