少し前に「スマホは子どもの脳に悪影響を与える」というブログを書きました。
やはり五感を駆使したリアル世界の人間同士のやり取りをして、
失敗と成功を繰り返し経験しなければ、
コミュニケーション力は育たないようです。
悪いとわかっていても“依存状態”に陥っていると、なかなかやめられません。
ではどうしたらやめられるか?
いろんな人がいろんな事を言ってますが、
ここではApple創始者のスティーブ・ジョブズの方法を採り上げた記事を紹介します。
「30日コースのスマホをやめる方法」も取りあげられています。
詳しく知りたい方は、ぜひ原著をお読みください。
▢ だからジョブズは子供にスマホを持たせなかった…著名人が次々とやっている「スマホ断ち」の正しいやり方脳をむしばむ「スマホにさよなら」…最新メソッドがあなたを救う
キャサリン・プライス:科学ジャーナリスト
キャサリン・プライス:科学ジャーナリスト
(プレジデント 2025年4月4日号)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・気鋭の科学ジャーナリストが考案した、4週間でスマホ依存から抜け出す方法を紹介する。
▶ ご褒美が50回に1回でも その行為をやめられない
スマホは生活に不可欠な存在だが、多くの科学的データがこのデバイスには依存性があり弊害も大きいと示す。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが、自分の子供をスマホやデジタル機器から遠ざけていたのは有名な話だ。ジョブズはニューヨーク・タイムズ紙の取材に答え、自分の子供たちが「家のなかで使うデジタルテクノロジーは制限している」と答えている。ビル・ゲイツ夫妻は、自分の子供たちに14歳になるまでスマホを持たせなかった。
ある調査によるとアメリカ人のスマホ利用時間は1日平均4時間以上、1年に換算すると60日になる。また、約80%の人は起床後30分以内にスマホをチェックする。約半数は夜間にスマホをチェック。80%以上は“起きている間中”スマホを手元から離さない。10人に1人は、なんとセックス中にスマホを見るというのだ。
“スマホ依存”は脳の構造と機能を変質させる。このことが、記憶力や集中して何かに取り組む能力を低下させていると科学者たちが警告している。
なぜスマホ依存が起きるのか。スマホは、不意に良い知らせを届けてくれる(好きな人からの予想外の誘いなど)。こんなとき、脳内ではドーパミンが分泌される。予想不可能な状況で報酬を得ることを心理学用語で「間歇強化」という。実はスマホ以外にもこの「間歇強化」を引き起こす強力な機器がある。それはスロットマシーンだ。いったん、脳内で行為と報酬が連結すると、たとえご褒美が500回に1回でも、人はその行為をやめられない。
スマホは新着情報で感情を掻き乱す。現代人はスマホから目を離すたびに、何かを見逃すのではないかという、FOMO (Fear of Missing Out)と呼ばれる不安に支配されている。スマホを確認して一瞬気が晴れても、スマホを置くとまた不安に襲われるのである。
アメリカではiPhoneが登場した2007年から10年までの10年間で、10代の飲酒、ドラッグの摂取率が下降した。専門家は依存対象がスマホに移ったと見ている。「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に掲載された報告は「『いいね』をつける、リンクをクリックする、どちらの行為でも、身体的健やかさ、メンタルヘルス、人生に対する満足感がその後低下すると予見できる」と伝える。多くの研究がSNSの使用時間が増えるほど幸福感が減少すると警告している。若者への影響はダイレクトで、スマホの登場以来、10代のうつ病、自殺率が増加している。
スマホは本質的にユーザーを依存させるために設計されているといっても過言ではない。「いいね」を押すと送りこまれるクッキーというファイルにより、「DNA誕生以来、最大級の個人データ」がFacebook、Google、Amazon、Appleに集積されている。リンクや広告を目にするたびに、脳はクリックすべきか否かの一瞬の判断を迫られる。それを繰り返すと、脳は疲弊し、集中しにくくなるように回路を強化していく。
本来、人間には、一見無関係な物事の共通点を発見し思考を深める力がある。これが“閃き”を生む。だが、スマホに没頭していると周囲で起こることへの認識も処理もできず、“閃き”も生まれにくくなる。また、一般に言われているマルチタスクは実は不可能であり、その実態は断続的に集中が途切れる状態であることが科学的に理解され始めた。さらに、スマホが発するブルーライトは脳内でのメラトニンの分泌を阻害するため、就寝前の使用は睡眠を妨げる。本来必要な7~8時間を下回る睡眠時間が10日続くと、脳は24時間不眠時と同等に機能低下するという研究もある。
心理学者のミハイ・チクセントミハイは、一つの物事に集中して時間感覚がなくなる状態を“フロー”と名付けた。スマホに依存する人はこの“フロー”を体験しにくくなる。本来、人間に備わっているはずの創造性をも失ってしまうのだ。スマホを完全にやめてしまえというのではない。本来あるべき良好な関係を築くことが大切なのだ。筆者が試行錯誤の末に考案したそのためのメソッドを抜粋し紹介する。
▶ スマホ断ち実践編:4週間でスマホ依存から抜け出すメソッド
● 1週目 テクノロジーの選別をする
以下のプログラムの実践は、順序を自由に入れ替えてかまわない。ただし、あらかじめ4週間のうちどこかで、24時間のスマホ断ちの予定を決めてしまうようにする。ここでは、3週目の週末に予定する。
1日目(月) スマホの使用時間計測アプリをダウンロードする
2日目(火) いまの付き合い方を把握する
自分のスマホとの付き合い方を予想し、それと実際の使用状況を比較するのが目的だ。いきなりスマホを控えようとして失敗するのは、達成のイメージが明確でないことも大きい。
以下の質問に対する答えをメモする。
・スマホの好きなところは?
・スマホで困るところは?
・使用時間が増えたことで、どんな変化があったか?
・どうなっていれば、スマホ断ちは成功と思えるか……など。
・スマホで困るところは?
・使用時間が増えたことで、どんな変化があったか?
・どうなっていれば、スマホ断ちは成功と思えるか……など。
3日目(水) 注意を始める
今日1日かけて、スマホの使用状況を観察してみよう。
・ほぼ確実にスマホを見るのはいつ?
・そのときの姿勢、きっかけは?
・手に取る前と後の心理状態……など。
・そのときの姿勢、きっかけは?
・手に取る前と後の心理状態……など。
5日目(金) SNSのアプリを削除する
SNSは適度に使うことができれば理想的だが、それをスマホで実現するのは難しい。スマホ上のSNSのアプリは、私たちを病みつきにさせるようにできているからだ。削除に迷いがあるなら、こう考えてみる。
1.(スマホのSNSのアプリとそのデータは)いつでももとに戻せる。
2.好きなときにチェックできる。
2.好きなときにチェックできる。
アプリを使わなくても、スマホやパソコンのインターネットブラウザでは、いつでも見られる。
昼夜を問わず、常にスマホをチェックしているスマホ依存から抜け出して、本来の自分を取り戻そう。
6日目(土) リアルな生活に戻る
スマホの使用時間が減れば、その時間をどのように利用したいかを具体的にイメージする。スマホに逆戻りするのを防げる。
・ずっとやってみたかったことは……。
・子供の頃、夢中だったこと/もの。
・自分がフローに入れるとわかっている行為は……。
・もっと一緒に過ごす時間を持ちたい人は……。
・子供の頃、夢中だったこと/もの。
・自分がフローに入れるとわかっている行為は……。
・もっと一緒に過ごす時間を持ちたい人は……。
書き終えたら、この4週間のうちにできそうなことを具体的にリストアップする(日帰り旅行、ハイキング、習い事を始める、美術館へ行く、絵を描く、友達と会う……など)。
7日目(日) 身体と向き合う
本来、心と身体が連動していることを味わう。つまり身体を動かしながら、同時に楽しさも感じることを実践する(スマホを持たずに散歩、ヨガ、キャッチボール、マッサージを受ける……など)。
● 2週目 癖を矯正する
習慣を完全に断つことはできないが、変えることはできる。2週目では習慣を変えるために生活や環境を整えることに取り組む。
8日目(月) 通知にノーと言う
ホーム画面やロック画面に1日に何度も現れるすべての通知をオフにする。スマホの設定画面を開き、電話とメッセージアプリとカレンダー以外のすべての通知機能をオフにする。アプリの小さな赤い吹き出し/バッジや新着メールの受信を告げる通知音や赤バッジもすべてオフにする。メールアプリの自動受信設定もオフにする。
9日目(火) 人生が変わるマジック=アプリを整理する
ホーム画面に残しておきたいアプリかどうかを判断する。すべてのアプリを「注意を奪う恐れがあるか」「日常生活の質を向上させうるか」の観点から判断し、6つのカテゴリーに分ける。
1.ツール系アプリ:地図、写真管理、カメラ、セキュリティ・ウイルス対策、銀行、天気、音楽、電話など日常生活に役に立つツール系アプリだけをホーム画面に残す。アプリがホーム画面におさまらないなら、フォルダをつくって入れる。もしくは、すべてのアプリをフォルダに入れてしまう。
2.ジャンクフード系アプリ:SNS、ニュース、ショッピング、ブラウザ、メッセージ、ゲーム、メールなど。注意を奪うリスクが大きいか、生活の質をより向上させてくれるかで判断し、リスクが大きければ削除。メリットが大きければ、ホーム画面の2ページ目にフォルダをつくって、入れる。
3.スロットマシーン系アプリ:SNS、マッチング、ショッピング(通販)、ゲームなど。スロットマシーン系とジャンクフード系アプリは、以下の特徴がある。「アプリを開くときに期待感がある」「なかなかやめられない」「使い終わったあと、落胆、不満、自己嫌悪が残る」。即刻削除してしまおう。
4.がらくたアプリ:インストールしたけれど使っていない「がらくたアプリ」は要削除だ(いつでも再インストールできる)。削除できない人は一つのフォルダにまとめ、ホーム画面の3ページ目に置き、起動までにひと呼吸置き、思い直す機会と時間をつくる。
5.機能特化型アプリ:iPhoneを探すアプリなど、特定の目的に特化しているがツール系ほど日常的に使うものではないアプリ。
6.削除できないアプリ:構造上、削除できないアプリなどは、3ページ目のフォルダに入れる。整理を終えるとスマホの画面はスッキリするはず。
10日目(水) 充電場所を変える
充電場所は寝室以外にする。起きてすぐや寝る直前に反射的にスマホをチェックする習慣から抜け出す。
13日目(土) 境界を定める
夕食の席や寝室にはスマホを持ち込まない。また、朝、スマホを起動させる時間を決める。少なくとも自分の起床時間より1時間は遅くする。
● 3週目 脳の力を取り戻す
主にマインドフルネスを使ったトレーニングで、スマホ依存による悪影響を取り除き、集中力や創造力を上げる。
15日目(月) 動きを止める、深呼吸する、いまに意識を向ける
スマホに手を伸ばしそうになったら、このタイトルの通りのこと(これがマインドフルネス)を行う。
16日目(火) ぼーっとする練習をする
スマホに使いがちな時間(エレベーターの中、信号待ち、タクシーに乗っているときなど)は、あえて頭の中を空っぽにする。天井を眺める、周囲の人を眺める、食事をよく味わう。窓から空を見上げるなど、スマホに手を伸ばさない限り、何をしてもいい。
17日目(水) 集中力を鍛える
1日のなかに集中する時間をつくる。紙の本を読む読書はリラックス効果もあり有益だ。2桁の暗算、手紙を書く、好きな音楽を集中して聴く、など。
19日目(金) スマホ断ち体験に向けて準備する
週末の24時間スマホ(デジタル機器すべて)断ちの前の準備をする。この間はスマホの電源を切るため、地図を印刷するか用意する。周囲の人たちに周知する。必要な連絡先を書き出しておく。留守番電話・自動応答メッセージをセットするなど。
20~21日目(土~日) スマホ断ち体験
必ずしも週末でなくても、いつどこで行ってもいい。スマホの電源を落とし、目につかないところに置く。とにかく行動を起こして「偶然の幸運」が起きる余地をつくる。
4週目とそれ以降 新しい付き合い方をつくる
これまでの取り組みで自覚できたことを、確固たるものにする。うまくいけば、スマホを断つ以上の成果が得られる。
22日目(月) 体験を振り返る
24時間のスマホ断ち体験を振り返り、観察、思考、感情、追求という一連の質問に自分の言葉で答える。大変だったこと、嬉しかったこと、意外だったことなど。
キャサリン・プライス著、笹田もと子訳『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』(角川新書)スマホとの新しい付き合い方を提案。たった4週間の無理のないメニューで、脳の本来の力を取り戻す実践的ガイド。
27日目(土) デジタル休暇に取り組む
自分に合った方法で定期的にデジタル休暇を取る。そのためにいくつかのヒントがある。
機能ごとにスマホを使い分ける。機能とは目覚まし時計、電子書籍リーダー、音楽プレイヤー、デジカメなどだ。“家用スマホ”をつくる。機種変更をするときに古いものを手元に残してツール系アプリだけが使える“家庭用スマホ”にする。その他、マナーモードやサイレントモード、をもっと頻繁に使ってみる。よく使う場所の地図は、オフラインでも使えるように、あらかじめダウンロードしておく……など。
29日目(月) 維持する仕掛け
スマホとのいい関係を維持するためには、定期的な自己チェックが欠かせない。日にちを決めて、その都度、使用状況を振り返る。
30日目(火) おめでとう!
メソッドの前後でスマホに対する印象はどう変わったか、「スマホ断ち」で学んだこと、嬉しかったことをメモにする。
書き終えたら、2日目のメモと比較してみる。やり切った自分を讃える時間をしっかりとつくる。
<参考>