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“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

子どもの脳にいい「ブレインフード」があるらしい。

2025年04月13日 12時31分37秒 | 育児
子どもの未来に無限の理想を託す・・・親が陥りがちな白昼夢です。
そんな中、早期教育は無効、強制してやらせてはいけない、等、
過剰な期待の弊害も指摘されています。

食べ物はどうでしょうか?
素材を味わう自然食品を心がけ、
たんぱく質と脂質を中心に置き、
ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取すれば足る、
を私は思いますが。

脳によい「ブレインフード」なるものが存在するそうで、
それを取り扱った記事が目に留まりましたので紹介します。

記事で取りあげられた食材を列挙してみます;
・ベリー類:ビタミンCが豊富・・・免疫系、脳にも働く
・スモモ(プラム、プルーン):トリプタファンが豊富・・・気分の安定に関わる神経伝達物質のセロトニンや、睡眠を促すメラトニンの生成に関与
・サツマイモ:ビタミンAが豊富
・魚:DHAが豊富
・その他:オーツ麦、ナッツ類、柑橘類、豆類、さまざまな色の野菜

・・・以上の食材がお勧めで、最後の一押しは「親がお手本を見せる」こと、
つまり上記食材を子どもの前で親が美味しそうに食べることだそうです。

あれ?
たんぱく質・脂質・糖質(炭水化物)のバランスについての言及がありませんね。
まあ、バランスのよい食事ができているという前提なのでしょう。


▢ 脳にいい「ブレインフード」とは、子どもの脳には特に重要
脳の健康に重要な約45の栄養素から子どもが食べやすいものを紹介
2025.04.02:National Geograpic)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 
 「ニンジンに含まれる栄養素は目の健康に欠かせない」「カルシウムが豊富な牛乳は歯や骨のためにいい」といった話はみな聞いたことがあるだろう。では、脳によい食べ物についてはどうだろう。
 「神経科学の観点から言うと、実際、脳の健康のために食べ物は重要です。脳は栄養素を燃料にして機能していますから」と、米ワイル・コーネル医科大学ウィメンズ・ブレイン・イニシアティブを主導するリサ・モスコーニ氏は言う。
 脳は年齢によってさまざまな栄養素を必要とする。とりわけ、幼児期は脳の成長や発達、健康にとって特に重要な時期だ。(参考記事:「皮を食べないと大損する野菜や果物、キウイやニンジン、柑橘類も」)
 「生まれてからわずか数年の間にも脳は急激にニューロン(神経細胞)を成長させていきます」と、神経科学者でもあるモスコーニ氏は言う。
 現在、脳の健康にとって重要な栄養素は約45あると分かっている。タンパク質、亜鉛、鉄、コリン、葉酸、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB6、ビタミンB12、オメガ3脂肪酸などだ。
 もちろん、「葉酸」「コリン」と聞いて「おいしそう」などと思う人は、子どもにも大人にもそういないはずだ。そこで、そうした栄養素を豊富に含む食べ物に目を向けてみよう。以下に挙げる食材のほかにも、オーツ麦、ナッツ類、柑橘類、豆類、さまざまな色の野菜を食事に取り入れるとよい。(参考記事:「体にいいナッツ5種、がんや認知機能などに効果、ベストはどれ?」)
 「早いうちに始めることが大事です」と、米ボストン小児病院の小児科医で米ハーバード大学医学部の小児科助教のクレア・マッカーシー氏は指摘する。「子どもが健康によい食べ物しか知らなければ、そうした食べ物を食べる・食べないで親と揉めることはかなり少なくなります」
 取り入れる食品群をいくつか絞って、新しい調理法をトライしてみよう。家族の脳の成長にいいものを提供することは、思ったよりも簡単なはずだ。

▶ ベリー類
 ブラックベリーやブルーベリーなどのよく見かける安価なベリー類にも、ビタミンCが豊富に含まれている。ビタミンCというと免疫系を思い浮かべる人が多いが、脳にも必要な栄養素だ。体内に生じたフリーラジカル(遊離基)はDNAや細胞にダメージを与えるが、それを中和する上で、抗酸化物質であるビタミンCが重要な役割を果たす、とモスコーニ氏は言う。
 「神経伝達物質、すなわち神経系の信号伝達に使われる化学物質の生成にもビタミンCは重要です」と、モスコーニ氏は説明する。ビタミンCが不足すると、脳を含め、多くの体内組織の結合が弱まり始めるという。(参考記事:「「ビタミンCで風邪を予防」のウソ、誤解生んだノーベル賞化学者」)
 ラズベリー、ダークチェリー、マルベリー(クワの実)、ゴジベリー(クコの実)も優秀な食材だ。ベリー類には、天然の糖分と消化器系に重要な食物繊維もバランスよく含まれている

子どもに食べさせるには:今回のリストの中では、おそらくベリー類が一番食べてもらいやすいが、変化を付けたいのであれば、ヨーグルトやダークチョコレートに浸して食べるのがモスコーニ氏のお勧めだ。
 ダークチョコレートには、トリプトファンという必須アミノ酸が含まれていて、それ自体も脳によい食べ物だ。または凍らせたベリー類をシャーベットにしてレモン汁とメープルシロップを少しかけて食べるのもよい。(参考記事:「冷凍の野菜と果物、実は栄養たっぷり、生よりよい場合も」)

▶ スモモ(プラム、プルーン)
 生のスモモ(プラム、プルーン)にも、ドライフルーツにしたスモモにも、トリプトファンが豊富に含まれている。トリプトファンは、気分の安定に関わる神経伝達物質のセロトニンや、睡眠を促すメラトニンの生成に関わっている。睡眠は脳の休息であり補修の時間だ。(参考記事:「睡眠薬が脳の掃除を妨げているおそれ、認知症とも関連、最新研究」)
 チアシードや、ダークチョコレートの原料であるローカカオ(生のカカオ)にもトリプトファンが含まれている。

子どもに食べさせるには:ドライフルーツのスモモは甘さと独特の味わいが絶妙に合わさっており、ピューレ状にすれば、赤ちゃんの離乳食になる。もう少し成長したら、リンゴの代わりにスモモを丸ごと弁当に入れるのもいい。あるいは、半分にスライスしてピーナッツバターをたっぷり塗れば、食物繊維とタンパク質たっぷりのヘルシーなおやつになる。(参考記事:「大腸がんのリスクを下げる食物繊維、1日にどのくらい取るべき?」)

▶ サツマイモ
 「子どもの脳の健康にいい食材を1つだけ挙げるとしたら、濃い緑色をした葉野菜を選びます」とモスコーニ氏は言う。とはいえ、正直なところ「子どもは葉野菜を食べてくれません」と認める。
 では代わりに、サツマイモはどうだろう。自然の甘味があり、いろいろな料理に使え、ビタミンAという別の抗酸化物質が豊富に含まれている。ビタミンAは脳の健康全般に重要な必須栄養素で、深刻なビタミンA不足は、中枢神経系の発達と機能を妨げるおそれがある。

子どもに食べさせるには:ゆでてつぶす、オーブンで焼く、揚げる、グリルで焼く、フライドポテトやタルト、パンケーキ、スープにするなど、レシピは無限にある。(参考記事:「ビタミンやミネラルの相乗効果、一緒に取るといい組み合わせ6選」)・・・

▶ 魚
 人の脳の半分以上は脂肪でできている。つまり、脂質が神経の健康に何らかの役割を果たしているのは明らかだ。だが、どんな脂質を摂取するかが重要だ。
 例えば、オメガ3脂肪酸の一種、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、ニューロンの形成に極めて重要だ。ニューロンは、健全な脳の成長や発達、学習能力を担っているとモスコーニ氏は説明する。
 DHAを摂取するには、「脂肪の多い冷水魚に注目すべき」だという。DHAが豊富なのは、サケのほか、サバ、アンチョビ(カタクチイワシ)、イワシ、ニシンなどの青魚だ。(参考記事:「DHAなどオメガ3脂肪酸は「肺の健康にも重要」、初の報告」)

子どもに食べさせるには:幼い娘がいるモスコーニ氏は、「ワンランク上のフィッシュ・スティック(衣を付けて揚げた棒状の料理)」と名付けた料理をよく作るという。魚の切り身を卵液に漬け、細かく砕いたピスタチオとアーモンド、パン粉、塩を混ぜたボウルに入れて衣を付ける。ココナッツオイルかエキストラバージンオリーブオイルでソテーしてできあがり。
 もちろん、子どもが青魚に手を出そうとしない場合は、冷凍食品コーナーで定番のフライやスティックを使って、魚の味に慣れさせるのも手だ。ティラピアやタラにも、健康にいい脂肪酸が含まれている、とマッカーシー氏は言う。
 マッカーシー氏から最後にもう1つアドバイスがある。それは「親が手本を見せること」だ。
 「子どもは親を見ていて、親から学びます」とマッカーシー氏は言う。「健康によいブレインフードを子どもに食べさせたいのなら、親も食べるべきです」(参考記事:「いつまでも記憶力は保てる、脳にいい運動の程度と食事とは」)



子どもの身長を伸ばす食材

2025年04月08日 14時10分13秒 | 育児
古くて新しい話題・・・
子どもの身長を伸ばしたい!
どうすればいい?

非科学的な迷信も多々ありますが、
科学的に正しい情報を提供します。

子どもの成長に関わるメインの要素は、
年齢と共に変化することがわかっています。

乳児期は「栄養」
幼児期は「成長ホルモン」
思春期は「性ホルモン」
・・・これが医学の常識です。

ですから、成長不良の患者さんを診たとき、小児科医の頭の中は、
乳児の成長不良 → 栄養不良はないか?
幼児期の成長不良 → 成長ホルモンが足りているか?
思春期の成長不良 → 性ホルモンは十分分泌されているか?
との疑問がグルグル回っています。
もちろん、栄養不良は基本的に全年齢に影響を及ぼします。

整形外科医に取材した「子どもの身長を伸ばす」記事が目に留まりましたので紹介します。
結論から申し上げると、
「卵と肉と魚を食べるべし」
という、ごくフツーの内容でした。

ここには糖質・炭水化物が登場しません。
つまり、「糖質制限食」「ロカボ」が身長を伸ばす食事、
ということになりますね。

<ポイント>
・完全栄養食と呼ばれる卵は1日1個より1日2個食べたほうが身長が伸びるという報告がある。
・身長を伸ばすために欠かせない5つの栄養素がすべて含まれている手頃な食材がある、それは「サバ缶」。
・子どもの身長を伸ばすためにはカルシウムが大事。
・卵は必須アミノ酸をすべて含む優秀なたんぱく源。さらに、ビタミンC、食物繊維以外の栄養素をすべて含むことから、「完全栄養食」と呼ばれていまる。
・肉と魚介はどちらも優秀なたんぱく源。肉と魚介を1:1で摂るよう心がるべき。
・牛肉には、鶏肉にあまり含まれていない鉄や亜鉛が多く、豚肉はエネルギー代謝を促すビタミンB1が鶏肉より多いというメリットがある。
・牛肉には鉄や亜鉛が豊富に含まれており、豚肉や鶏ササミやムネ肉はビタミンB群が豊富。
・魚介には肉にはほとんど含まれないビタミンDを含むものがたくさんある。骨ごと食べられるものならカルシウムもたっぷり摂れる。
・マグロやカツオ、サバなどには鉄やビタミンB群も豊富。さらに、青魚や鮭、マグロやカツオなどの脂に多く含まれるオメガ3不飽和脂肪酸(以下・オメガ3)には、神経伝達をスムーズにして脳の認知機能を向上させたり、体内の炎症を抑え、アレルギー症状を軽減させる働きが認められている。
・生サバ、塩サバ、サバ水煮缶、サバ味噌煮缶は、骨の材料になるたんぱく質、カルシウムのほかにも、身長を伸ばすために欠かせない5つの栄養素がすべて含まれている。


▢ カルシウムだけじゃ骨は伸びない…「子どもの身長を伸ばす栄養素」が一気に摂れる"超万能食材"「完全栄養食」である卵は1日2個食べたほうがいい
田邊 雄:東京神田整形外科クリニック院長
2025.3.30:PRESIDENT)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 何を食べれば身長が伸びやすくなるのか。東京神田整形外科クリニック院長の田邊雄さんは「完全栄養食と呼ばれる卵は1日1個より1日2個食べたほうが身長が伸びるという研究結果がある。さらに、身長を伸ばすために欠かせない5つの栄養素がすべて含まれている手頃な食材がある」という――。

▶ 成長ホルモンと栄養、どちらも欠かせない
 子どもの身長を伸ばすためにはカルシウムが大事だと思う方が多いのではないでしょうか? しかし、身長を伸ばすのに必要なのはカルシウムだけではありません。
 成長期には脳の脳下垂体という部分からたくさんの成長ホルモンが分泌されます。これは「今、成長しなさい」という脳からの指令。成長ホルモンは、その指令に従い、食事で取り入れた栄養を使って骨を伸ばします。
 骨を伸ばすためには、カルシウムだけではなく、たんぱく質、ビタミンD、亜鉛、鉄といった多くの栄養素が必要となります。
 つまり、身長を伸ばすためには、次の2つが重要です。
・脳から成長ホルモンが十分に分泌されること
・骨の成長に必要な栄養を十分に摂ること
 睡眠をはじめとする生活のリズムが乱れて成長ホルモンが十分に分泌されなかったり、必要な栄養が不足したりするだけで、骨の成長は停滞し、身長が伸びにくくなる可能性があるのです。
成長ホルモンと栄養。この2つが連携して子どもの体は成長していくということを、まずは覚えておいてください。

▶ 卵は「完全栄養食」と称えられる理由
 卵はMサイズ1個(50g)に約6gのたんぱく質が含まれています。ここでは、たんぱく質を構成するアミノ酸について解説しましょう。
 人体を構成するアミノ酸は20種類。そのうちの9種類が必須アミノ酸です。必須アミノ酸は人体で合成できないため、食事で摂る必要があり、1つでも不足すると、体内でたんぱく質が十分に合成されなくなります。
 そのため、栄養計算上ではたんぱく質が十分でも、必須アミノ酸が不足していると成長に悪影響が及ぶ可能性があるのです。
 卵は必須アミノ酸をすべて含む優秀なたんぱく源。さらに、ビタミンC、食物繊維以外の栄養素をすべて含むことから、「完全栄養食」と呼ばれています
 さらに注目すべきは、必須アミノ酸の消化吸収率(DIAAS)。・・・卵の消化吸収率は動物性食品の中でもトップクラス。卵は非常に優秀な食材なのです。

▶ 卵は「1日1個」より「1日2個」
 卵は1日に何個食べると身長の伸びに効果があるのでしょう? ウガンダの小学校で「卵が子どもたちの成長にどれくらい影響を及ぼすか」を調べた研究の結果を見てみましょう。
 調査の内容は次のとおりです。
 対象は6〜9歳の小学生。週5日提供されている給食で、卵0個のグループ、卵1個のグループ、卵2個のグループに分け、これを6カ月間継続し、それぞれの身長の伸びを比較。
 結果は、卵0個のグループは3cm弱、1個のグループは約2.5cm、2個のグループは3.5cm弱身長が伸びていました。明らかに卵2個食べたほうが身長が伸びていたのです。・・・
 つまり、卵を食べない、または1日1個食べるより、2個を毎日食べることで身長が伸びる可能性が確認されたのです。
 たんぱく質が少なくなりやすい朝食で卵2個を食べてもいいですし、朝1個、夜1個でもかまいません。ただし、卵には脂質も含まれているので、体脂肪率が高い子どもは食べすぎないようにしましょう

▶ 鶏ササミ・むね肉はたんぱく質が豊富
 「肉はどの種類のどの部位を食べればいいですか?」という質問をよく受けます。身長を伸ばすという点においては、鶏ササミ・鶏ムネ肉がおすすめです。
 その理由は骨の材料となるたんぱく質を多く含むからです。
 100gあたりのたんぱく質量が多いのは、鶏ササミ約25g、鶏ムネ肉(皮なし)約24g、豚ヒレ肉(赤身)が約23g。逆にたんぱく質が少ないのは、牛バラ肉が約11g、牛サーロインが約12g、牛肩ロースが約14g(すべて和牛)となります。
 鶏ムネ肉・ササミと牛バラ肉のたんぱく質量には、倍以上も差があるので、牛バラ肉を優先的に食べ続けた場合、かなりの量のたんぱく質を取り損ねることになります。
 ただし、牛肉には、鶏肉にあまり含まれていない鉄や亜鉛が多く、豚肉はエネルギー代謝を促すビタミンB1が鶏肉より多いというメリットがあります。それぞれの栄養価を知り、鶏ムネ肉やササミをメインにしつつ、たんぱく質量の多い牛や豚のヒレ肉やモモ肉を、ときどき加えるといいでしょう。

▶ 魚介にも肉にもそれぞれメリットがある
 肉と魚介はどちらも優秀なたんぱく源。成長に欠かせない必須アミノ酸をバランスよく含む点でも同レベル、100gあたりのたんぱく質含有量もほぼ同レベルです。
 だからといって、肉ばかり、魚ばかり、さらに同じ種類ばかりを食べるのは、おすすめできません。偏らずにいいとこ取りをしたほうが、成長のためにはいいからです。
 たとえば、魚介には肉にはほとんど含まれないビタミンDを含むものがたくさんあります。骨ごと食べられるものならカルシウムもたっぷり摂れます
 マグロやカツオ、サバなどには鉄やビタミンB群も豊富。さらに、青魚や鮭、マグロやカツオなどの脂に多く含まれるオメガ3不飽和脂肪酸(以下・オメガ3)には、神経伝達をスムーズにして脳の認知機能を向上させたり、体内の炎症を抑え、アレルギー症状を軽減させる働きが認められています。成長期の子どもにとって有意義な働きがたくさんあることがわかります。

▶ 週1回は食べてほしい「サバ缶」
 肉の場合も同様にメリットがあります。牛肉には鉄や亜鉛が豊富に含まれており、豚肉や鶏ササミやムネ肉はビタミンB群が豊富です
 それぞれのいいところを上手に取り入れるためには、肉と魚介を1:1で摂るよう心がけてみてください。完璧にできなくてもかまいません。たとえば、朝食で魚介を食べなかった場合は、夕食で魚介を食べる。前日、肉ばかりを食べてしまったら、次の日は魚介をメインにするといった感じで意識して実践するだけで、大きく偏るのを防げます。
 魚介を取り入れる際におすすめしたいのがサバ水煮缶です。「加工したサバより新鮮なサバのほうが体にいいのでは?」と思った方もいるのではないでしょうか。しかし、答えはノー。サバ水煮缶の栄養価は、生サバや塩サバに劣ることはありません。むしろ優れている部分もあるのです。

▶ 5つの栄養素がすべて入った優秀な食材
 生サバ、塩サバ、サバ水煮缶、サバ味噌煮缶の100gあたりの栄養価を比較してみましょう。・・・
 いずれも、骨の材料になるたんぱく質、カルシウムのほかにも、身長を伸ばすために欠かせない5つの栄養素がすべて含まれています。なかでもサバ水煮缶は、カルシウムの量が多く、不足しがちな鉄や亜鉛、ビタミンDもしっかり含まれています。味噌煮缶よりたんぱく質、カルシウム、亜鉛、ビタミンDの量も豊富です。
サバ缶は、サバを骨ごとぶつ切りにして缶に入れて加熱しているため、骨に含まれるカルシウムも逃さず摂取できます。刺身や焼き魚ではかなわない、サバ缶ならではのメリットです。
 サバ水煮缶100gあたりには、約11gの脂質が含まれています。脂質が多いとなると、肥満、そして身長の伸び率低下のリスクがある早熟が気になり、避けたくなるかもしれません。
 しかし、サバなどの青魚に含まれる脂質は積極的に摂ってください。なぜなら、人間の体内では合成できない「必須脂肪酸」のオメガ3が多く含まれているからです。

▶ 子どもの脳の健やかな成長も促す
 オメガ3は、血液サラサラ効果があることで知られていますが、子どもの成長にも欠かせない栄養素です。・・・
 特に注目したいのは、脳神経の発達を促す働きです。脳は心身のあらゆる機能を操る司令塔。身長を伸ばすのに欠かせない成長ホルモンも、脳の指令によって分泌されるのですから、脳の健やかな成長はとても大切です。
 また、体内の炎症を抑える働きがあることから、運動によって傷ついた筋肉の修復にも有効。疲労回復効果もあることから、アスリートも積極的に取り入れている栄養素です。
 オメガ3にはたくさんのメリットがありますが、酸化に弱いという弱点があります。サバ缶の場合、缶を開けた瞬間から酸化が始まるので、開封後は早めに食べきるようにしてください。
 また、熱によっても酸化が進むので、加熱せずに食べるのがベスト。缶汁にもオメガ3が含まれていますが、身にも十分含まれていますから缶汁は無理をして摂る必要はありません。

<参考>

“食べることに興味がない子ども”への対応

2025年03月27日 07時42分54秒 | 育児
乳幼児健診で多い相談事の筆頭が「偏食」です。
その中身はさまざまで、
原因・理由もさまざま。

単なる好き嫌いのレベルから、
発達の問題、感覚の問題、食事習慣の問題など、
紐解いていくと複雑です。

そんな相談の中に、
「食べ物・食べることに興味がない」
という相談があります。

現在、偏食について鋭意勉強中の私ですが、
啓蒙書にそれを扱った項目があったので、
抜粋・要約して残しておきます。

▶ 偏食の子どもを持つ保護者への対応の基本は、
「食卓における親子の役割分担」
・親の役割:いつ、何を、どこで食べるかを決める
・子の役割:食べる食べない、食べる量を決める
・子の役割を守ると偏食が改善するが、守らないとバトルが始まる

その具体的な方法を列挙します。

● 保護者の役割は「いつ」「どこで」「なにを」食べるか決めること

(いつ) → 規則正しい食事とおやつを提供する
⭕️ 2歳まで:3食+軽食2回(朝食・午前軽食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 2歳以降:3食+軽食1回(朝食・昼食・午後軽食・夕食)
⭕️ 食事間隔を2.5〜3時間開ける
⭕️ 1回の食事時間を15〜30分
❌️ 1日3食
❌️ 食事と食事の間に欲しがったら与える(ダラダラ食べ)
❌️ 1回の食事時間が40分以上

(どこで) → 家族が食べる食卓で一緒に
⭕️ 座位保持から独步まで(6ヶ月〜1歳):ハイチェア
⭕️ 小走りし始めたら(1歳半〜2歳以降):ステップチェア
⭕️ 座卓の場合は豆椅子
 ✓ 1〜2歳:背もたれつき
 ✓ 3歳以降:円座(硬めの正座用クッション)
⭕️ 外出時は親が決めた場所
❌️ 親が食事の途中に離席する
 ✓ 離席した子どもの相手をするため
 ✓ 食卓にないものを取りに何度も立ち上がる
❌️ テレビやビデオ、YouTube、スマホ、タブレットを見せる
❌️ 親が食事中に食卓で授乳する

(なにを)
⭕️ 栄養バランスの取れたメニューを決めて出す
❌️ 何を食べたいか子どもに聞く
❌️ 出すつもりではなかった食べ物を出す
❌️ 食べる順番を決めて守らせる
❌️ 食べ物をごほうびにする

● 子どもの役割は「食べるかどうか」「どのくらい食べるか」を決めること
〜そのためには保護者は子どもを信頼する必要がある、すると・・・
⭕️ 食べる・食べない・食べ残すを決める
⭕️ 好きなものだけ食べる、嫌いなものは食べない
⭕️ その食卓のメニューのおかわりをする
❌️ その食卓のメニュー以外のものを要求する

● 上記の役割分担の境界線を越えると、摂食の問題が発生する
(例)子どもが何をどれだけ食べるかを保護者が決める・コントロールする
(例)子どもに献立を決めさせる

● 上記の役割分担を守ると子どもたちは食べることを楽しいと感じるようになる

迷ったらここに立ち戻り、
何が問題なのかを再考することを繰り返すのが良いですね。
では実践編です。


▶ 実際に「うちの子、食べることに興味がないんです」と相談されたら・・・
・食べる食べない以前に、食材になじんで興味を持たせることから始める。
・食材の育ち、流通を知り、スーパーでの買い物、一緒に料理など、
 食に関連する面白い体験を取り入れる。
・するとモンスターであった未知の食べ物が、友だちになる瞬間が来る。
・食べることに興味を持たせるためには、
 食べさせようとする(強制)よりも、
 食事時間を含む生活リズムを決めることが有効。
・時間が来たら、食卓に座ることを日常生活のリズムにする。
・時間を知る出来事のあとに、または好きな活動をしたあとに食卓に座るという流れを作るとよい。
(例)
「お昼のチャイムが鳴った、あ〜お昼だ、手を洗って椅子に座ろう」
「園からかえったら、午後のおやつの時間だ、手を洗おう」
「夕方外遊びをしたら手を洗って、夕ご飯の支度のお手伝い」
・前後のお手伝いとお片付けを取り入れると、
 自然に座って食べるようになるかもしれない。
・食事時間には、一連の流れで座る〜座ったら食べる、
 が習慣化することで臓器感覚(空腹感)が養われる。
・4〜5歳になったらスケジュール表を子どもと一緒に作り、
 次に何をするかを“見える化”すると効果的。

▶ 親自身が食事に興味がない場合
・食べることに興味のない保護者が、
 自分の子どもの食事を用意するのは大変な作業。
・基本は同じで、まず、
「保護者自身が好きな食べ物を子どもと一緒の食卓で食べる」
・好きな食べ物を食べている保護者の表情はきっといいはず、
 それを見たこどもも「何それ?」と興味を示すかもしれない。

▶ はじめての食材にまったく手を出さない場合
・食べたことのない食べ物は、子どもにとってはモンスター。
・食べるまでのステップには以下のすべてが必要(Toomey)
 ✓ 食べ物の存在を認める
 ✓ 食べ物を見る
 ✓ 食べ物に触る
 ✓ 食べ物のにおいをかぐ
 ✓ 食べ物を舐めて味を知る
 ✓ 食べ物をかじる
 ✓ 食べ物を噛んで粉砕する
 ✓ 食べ物を飲み込む
● モンスターをお友だちにする方法
・ストレスフリーの食卓で親子の役割分担(前述)を守る。
・リラックスできるようになると、家族が食べているものに興味を持つようになる。
・子どもが食べ物に触れたり、遊び出したりしたら、
「行動実況放送賞賛法」を使って遊びを続けたくなる状況にする。
・子どもがその食べ物に慣れてくる(お友達になれそう)と、
 見て、触って、においをかいで、かじって・・・
 という順番で仲良しになっていく。
・かじったあと、噛んで飲み込むまでにもさまざまなステップがある。
・子どもがかじったら、保護者は素早く「あ、かじっているね、ママも」
 などと子どもの良い行動をまねてみる。
・子どもは大人が自分のまねをすると得意になってさらにやろうとする。
・1回のトライですぐに食べ物を触り始めることは期待しない。
・さまざまな食材で、楽しい雰囲気で、ゲーム感を持って繰り返しやってみる。


子どもに「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と言うのは「いずれ自発的に勉強するようになる」と信じていないから

2025年02月17日 04時50分10秒 | 育児
スマホ、ゲーム、SNS・・・デジタル機器は子どもに良いのか悪いのか?
この問いには小児科医の中でも賛否両論があり、結論は出ていません。

一方通行の情報なのでコミュニケーション能力が育たないとか、
神経発達症傾向のある子どもには必須のアイテムだとか、
喧々顎学です。

そんな中で「デジタル機器を子どもから取りあげてはならない」
という記事が目に留まりましたので、紹介します。

ポイントは「前頭葉を働かせて鍛える」ことらしい。
そのためには字面を追うだけの読書ではなく、考えさせる、想像させることが重要。
インプットだけでは脳は活性化しない、アウトプットして初めて活性化する。
・・・このことは私も実感しています。本を読んだだけ、セミナーを聴いただけでは、わかったようでいて十分理解できていないことが多く、それを反芻して自分でまとめてみて初めて記憶に残り、他人へも説明できるようになる経験をしてきましたので。

<ポイント>
・「本を読みなさい」とうるさく言うのは逆効果。本に触れさせたいなら、親自身が読書を楽しみ、家のなかに自然に本がある環境をつくるのがベター。
・親が読み聞かせるにせよ、子供がひとりで黙読するにせよ、読書中には前頭葉は働かない。読書は「ただ読む」だけではなく、書かれたことについて思考を巡らせることに意義がある。読書中、文字を追っている間は働かない前頭葉も、ふと本から目を上げて反芻したり、本を閉じた後に内容を振り返って考えをまとめようとするときには急激に活性化する。
・前頭葉を育てるには、「考えさせる」ことと、その考えを言葉にして「外に出させる」ことが不可欠。
・大事なのは、子供の自由な発想を促すこと、そのために忘れてはならないのが「否定しないこと」。正解か否かは重要ではない。言葉を出そうとするときに前頭葉が著じるしく活性化することに意味がある。否定されない安心感のある場で、思いつきをどこまでも言葉にしながら、子供のこころの脳はぐんぐん育っていく。
・前頭葉の発達という観点からも、子供の思いやりを育てるためにも、まずは家庭内の発言の安全と自由を保証することが大事。
・学んだ知識は、最終的には言語化して「外に出す」ことでこそ生かされる。
・「映像を言語化するのは難しい」が、それをあえて言語化しようと努力するとき、前頭葉を思い切り働かせることになる。子供たちを対象としたある実験で、簡単なゲームをさせた後に「どんなゲームだったの?」と口頭による説明を求めると、言葉を出そうとしている子供たちの前頭葉が、非常に活性化することが判明。ゲームをプレイするだけでは全く働かない前頭葉も、それを誰かに伝えようとすると一転、フル活動を始める。
・言葉を引き出す際、間違っても否定せずに受け入れるべし。主目的を「引き出す」ではなく、「正答を伝える」に置いていて、これは子どもにとって窮屈である。「勉強はしておいたほうがいいよ、あとあと役に立つよ」といった優しい言い方でも同じ。自分がうるさく言わないと、この子は勉強しないから」と思ってやることが、実は逆効果になっているのですから皮肉としかいいようがない。

子どもが情報をインプットし、アウトプットしやすい環境を整え、それを見守ることが育児の極意!と理解しました。


▢ ゲームやYouTubeを取り上げてはいけない…「頭のいい子」を育てるために親が子に繰り返すべきフレーズ「本を読みなさい」とうるさく言うのは逆効果
成田 奈緒子:文教大学教育学部教授、子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表
2024.5.26:PRESIDENT Online)より一部抜粋(下線は私が引きました);

「頭のいい子」を育てるには、どうすればいいのか。小児科医の成田奈緒子さんは「読書や勉強させればいいわけではない。子供の自由な発想を否定せず、親が受け入れることが重要だ」という――。

▶ 「読み聞かせ」や「読書」に対する誤解
「国語能力を高めたいなら、本を読ませるのが一番だろう」
 このように考える方は多いでしょう。確かに、本は子供の言語能力を発達させます。小さいときからぜひ、たくさんの本に触れさせたいものです。
 ただし、その方法を誤らないように注意してください。「本を読みなさい」とうるさく言うのは逆効果です。義務だと思ったとたん、子供は読書を苦行だと誤解し、本を敬遠するでしょう。
 本に触れさせたいなら、親自身が読書を楽しみ、家のなかに自然に本がある環境をつくるのがベターです。
そしてもう一つ、読書にまつわる「誤解」があります。
 親が読み聞かせるにせよ、子供がひとりで黙読するにせよ、読書中には前頭葉は働きません。読書中の子供の脳波を測ると、活性化するのは視覚を司る後頭葉、言語能力を司る側頭葉、そして「からだの脳」に相当する大脳辺縁系のみです。
 読書は「ただ読む」だけではなく、書かれたことについて思考を巡らせることに意義があります。子供の思考を促す言葉がけを工夫しましょう。
 読書中、文字を追っている間は働かない前頭葉も、ふと本から目を上げて反芻したり、本を閉じた後に内容を振り返って考えをまとめようとするときには急激に活性化します。ですからこの場面でも、親が子供の思考を「引き出す」働きかけが有効です。その具体的な方法をお話しします。

▶ 子供の言葉を引き出す働きかけ
 前頭葉を育てるには、「考えさせる」ことと、その考えを言葉にして「外に出させる」ことが不可欠です。
子供の言葉を引き出すことは、親にできる最大のサポートです。
 こう言うと、よく親御さんからは「もちろん心得てます! 私、子供にしょっちゅう問いかけています」という答えが返ってきます。しかしその問いかけが、本当に子供自身の言葉をひき出せているかどうかには疑問符がつきます。教育熱心な親御さんは確かに、「お勉強的」な問いかけはさかんにされています。例えば、「お空はなんで青いんだと思う?」など。
 それ自体はもちろん、悪いことではありません。しかし親のなかの「学んでほしい」「賢く育ってほしい」という願望が強すぎると、子供に「いい答えを出さなくては」という、無言のプレッシャーを与えてしまいます。実際、期待に沿わない答えだったときに、それを正そうとする親御さんもいます。
 それでは前頭葉は育ちません。大事なのは、子供の自由な発想を促すことです。そのために忘れてはならないのが、「否定しないこと」

▶ 否定されない安心感が大事
 たとえば、昔話の「桃太郎」のお話を聞かせた後に、その内容について問うとします。このとき子供は「正答」を言うとは限りません。「おばあさんはどこに行ったんだったかな?」と聞いて、「鬼ヶ島に行った」などと答える子はいくらでもいます。そんなとき「違うでしょ」と言ってはいけません。間違ってもいいから、とにかく言葉を出させること。特に乳幼児の場合は、それが鉄則です。正解か否かは重要ではありません。言葉を出そうとするときに前頭葉が著いちじるしく活性化することに意味があるのです。
 ですから「そうかぁ、おばあちゃん、鬼ヶ島行ったんだ~」「面白いねえ」という風に、楽しくあいづちを打てばいいのです。ほかの場面も同じように自由に話させて、原型をとどめない「新しい桃太郎」が創出されていくのも面白いのではないでしょうか。誤りを正さず、かといって「素晴らしいわね」などと褒めそやす必要もなく、ただ「それが君の発想なんだね」と受け止めましょう。否定されない安心感のある場で、思いつきをどこまでも言葉にしながら、子供のこころの脳はぐんぐん育っていきます

▶ 家の中は、好きにものを言える場所に
 一方、子供どうしの社会では、大人から与えられるのとはまた違うプレッシャーがあるようです。
 おしゃべりし、ふざけ合う子供たちの間にはしばしば、「さあ、面白いことを言ってくれよ」「どうしよう、面白いことを言わなくちゃ」といった、無言の圧力が働いています。同年代の子が集まる場で、面白く楽しい子であることを求められるのは、ある程度仕方のないことです。
 しかし、家の中でまでそれを求められるのは非常に窮屈です。ですから家の中は、何を言っても良い場にしましょう。好きなことを言っていいし、つまらないことも無意味なことも言っていい、という「自由と安心」を与えましょう。子供の発想はユニークなので、どんな子でも多かれ少なかれ面白いことを言いますし、笑わせてもくれます。クリエイティブな視点に感服させられることもあります。
 しかし、親がそれらを「期待」するのは良くありません。大人から見て中身がないと思える言葉も、思う存分、出させてあげましょう。

▶ 家で「発想を広げ」学校や社会で「調整する」
 これは前頭葉の発達の観点からも、理にかなっています。家という完全な安全地帯で、いったん自由に、すべて出す。その後、学校などの外の社会では、ある程度の制限が課される。その認識のもと、「これは言わないでおこう」「これは言おう」と判断していく。このように、まず大きく広げてから調整していくのが、適切な発達プロセスです。
 最初に大きく広げる段階から制限をかけてしまうと、出てくるはずの発想も出てこなくなります。もしくは、四六時中制限をかけられることでストレスが溜まり、外で「言葉を選べない」――誰かに悪意を向けたり、意地悪をしたりする子になる危険もあります。子供の思いやりを育てるためにも、まずは家庭内の発言の安全と自由を保証することが大事です。

▶ 動画で勉強すると語彙が育たない
 ここ10年で、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームは若い人たちの中で必要不可欠なものになりました。大学生の間でも、知識を文字からではなく動画で得る傾向が強くなっています。小中学生も、動画を勉強に活用している子が多いようです。
 しかしこれは「前頭葉を育てる」という観点からいうと、ベストな方法とは言い難いと思います。これまで幾度となく述べてきたように、学んだ知識は、最終的には言語化して「外に出す」ことでこそ生かされるものです。この点、動画は文字情報に比べると分が悪いのです。
 試しに、動画で学んだ内容を人に口頭で教えるのと、本で読んだ内容を教えるのと、どちらがたやすいか想像してみてください。当然、本という文字媒体で入れた情報のほうがスムーズでしょう。動画で見た視覚情報を正確に文字情報だけで伝えるのは至難の業わざです。
 「こんなでっかいのがバーンと出てきて、次にドーンってなって」、というような説明になってしまいがちです。相手に伝わるように説明できる語彙ごいがないため、そこを擬音ぎおんで埋めているのです。映像を言語に変換できる語彙――色彩、大きさや、形などを表現する言葉を持たないと、相手に伝わるアウトプットはできません。これらの語彙は、映像やSNSの短文を流し見しているだけでは培つちかわれません。ですので、本を読んだり、大人と会話を交わすことで、多くの言葉を知ることが必要です。「おりこうさんの脳」でインプットを積む過程では、映像だけに偏かたよらず、文字に触れる機会を多く持つことを意識したいところです。

▶ 映像を言葉で説明させてみる
 さて、今の話は逆手に取ると「前頭葉を鍛えるチャンス」にもなりえます。「映像を言語化するのは難しい」ということは、それをあえて言語化しようと努力するとき、前頭葉を思い切り働かせることになるからです。実際、子供たちを対象としたある実験で、簡単なゲームをさせた後に「どんなゲームだったの?」と口頭による説明を求めると、言葉を出そうとしている子供たちの前頭葉が、非常に活性化することが判明しました。
 これは、一定程度の語彙が備わっていないと難しいかもしれないので、はじめは「絵にして説明させてみる」ことからはじめてもいいかもしれません。家庭内でも折に触れ、子供に「教えて」と聞いてみてはいかがでしょうか。

▶ アニメやゲームの内容を聞く
 動画の内容でもいいですし、ドラマやアニメも格好の材料です。「昨日のあれ、どんなお話だった?」「見逃しちゃったから教えて」と問いかけて説明してもらいましょう。ストーリー性のあるものは「あらすじ」を話すことになるので、大事なポイントを押さえつつ要旨を伝える「要約力」も鍛えられます。
もちろん、小さい間はうまくできなくて当たり前。ここも「桃太郎方式」で、正解を強いずに、前頭葉を働かせている様子を見守りつつ楽しみましょう。
 日ごろ子供がいそいそと楽しんでいるゲームの説明をしてもらうのも、大いにおすすめです。多くの家庭では、ゲーム三昧ざんまいの子供を叱ることはあっても、ゲームに夢中になっている様子に関心を持ち、内容を聞き出すことはほぼ皆無。これは非常にもったいないことです。
 関心のあることについて語らせてもらえるとなると、子供は俄然乗り気になります。「○○っていうキャラがいてね」「それが冒険に出てね」と一生懸命話そうとしてくれます。大人からすると稚拙ちせつな説明に聞こえるかもしれませんが、それもまたよし。子供自身は、何度も繰り返しやっているゲームだけに「話しやすい」感覚を持てているはずです。
 ゲームをプレイするだけでは全く働かない前頭葉も、それを誰かに伝えようとすると一転、フル活動を始めるのです。このチャンスを生かさない手はありません。

▶ 「正論」は前頭葉の成長を妨げる
 言葉を引き出す際、間違っても否定せずに受け入れるべし、という話に意外な印象を持たれた方も多いでしょう。たいていの親御さんは、こうした場面でしょっちゅう否定をしてしまいます。それは主目的を「引き出す」ではなく、「正答を伝える」に置いているせいです。
 親が、そこに注力する必要はありません。こころの脳が成長すれば、いずれ子供が自分で見つけ出せるようになるからです。親はそれを信じること、つまりは子供を信頼することが大事です。
日ごろの行動に関しても同じです。子供に「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と言うのは、子供が「いずれ自発的に勉強するようになる」と信じていないからです。信じていないから、うるさく言う。これを続けていると、困ったことに「いずれ」が遠ざかります。この手の正論が、前頭葉を鍛える機会を奪うことになるからです。

▶ 信頼して待つことが大事
 「勉強はしておいたほうがいいよ、あとあと役に立つよ」といった優しい言い方でも同じです。正論を言われると、子供は自分で考えなくなるのです。
 「はーい、ママ」と従順に勉強する子もいれば、「うざいなあ」と不貞腐ふてくされてますますゴロゴロする子もいるでしょうが、いずれも親の言葉に反射的に対応しているだけで、「今、勉強しなければどうなるだろう?」と、自らの思考を働かせることにはなっていません。その結果、前頭葉の発達が妨げられて「言われないと勉強しない」「言っても勉強しない」というフェーズがいつまでも続いてしまうのです。
 「自分がうるさく言わないと、この子は勉強しないから」と思ってやることが、実は逆効果になっているのですから皮肉ですね。ですから、言いたくなってもぐっとこらえて、子供に考えさせましょう。そうしてこころの脳を鍛えていくと、あるときから子供の行動が変わります。
 こころの脳がきちんと備わった子は、「漫画を読みたいな、ゲームしたいな、でも明日はテストだから今から勉強しないと」という風に、自制心や思考力を使って行動に移せるようになるのです。そのときをじっくり待つのも、親に必要な「自制心」かもしれませんね。


<参考>
・成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所、2024年発行)

食べないのにはワケがある〜食べない子が変わる魔法の言葉〜その1

2025年01月27日 08時49分50秒 | 育児
・・・「食べない子が変わる魔法の言葉」という本を読んでみました。
著者は山口健太氏(日本会食恐怖症克服支援協会理事)という方です。

内容は好き嫌い>発達障害(感覚過敏)でしょうか。
料理法より親子のコミュニケーションに重きを置き、
子どもが楽しく食事をできる環境を演出するさまざまな方法が提案されており、参考になります。

食べない子が置かれた環境の構図には、
(親)お腹が空けば食べるだろう、なぜ食べないの?
(子)初めて見る食べ物はちょっと恐い、まだ上手く飲み込めないからこれは食べられないよ・・・
というギャップが存在します。

親が強引に進めると子どもは萎縮して食べなくなってしまう、
それを子どもの発達を観察しながら上手に誘導するのがよい方法、
といったところでしょうか。

今までいろいろ調べてきた私にとって、
この本の内容は「相談と指導で何とかなった」事例レベル、と感じました。
それでもよくならない子どもたちは医療機関に逃げ込みますので、
著者はその世界に触れていません。
だからこの本を読むとすべて解決する、とは思わない方がよいと思います。

備忘録としてメモを残しておきます。

▶ 調理の工夫は好き嫌い・偏食の根本的な解決にはならない
・「食べない子」が「楽しく食べられる子」に変わるために一番大切なのは「コミュニケーション」。
・「食べろ!」と言われると食べられず、「無理して食べなくていいよ」と言われると食べられる。

▶ 「食べない子」に関するよくある間違い

Q1.  食欲は空腹だから湧き上がるもの?
A1.  ❌️ 
 人はストレスを感じたり、不安や緊張状態にあったりすると、空腹でも食欲が出ないことがある。緊張によってのどの筋肉が動かしにくくなるので、食べ物が飲み込みにくくなり、消化器官の働きも悪くなる。

Q2.  好き嫌い・偏食は子どものわがまま?
A2.  ❌️ 
 好き嫌い・偏食は生理学的な問題で、そもそも食に対する見え方の問題や、口に入れた感じ、中には上手く咀嚼ができなかったり、飲み込みが困難な子どもがいて、そういった特性や身体的な問題が、食の困難・偏食を大きく規定している。
 乳幼児の場合、好き嫌い・偏食は「感覚の問題」に起因することが少なくない。

Q3.  好き嫌いをしていると栄養失調になる?
A3.  ❌️ 
 好き嫌い・偏食があっても栄養失調にはならない。不安な方は成長曲線を利用し、身長と体重のSD値が2.0以上ある場合は栄養面に問題がある可能性があり、病院を受診すべし。
 推定エネルギー必要量(日本人の食事摂取基準2015年版)の7割以上で、元気に過ごせていれば、基本的に栄養失調の心配はない。

Q4. 苦手な食材は年齢とともになくなっていく?
A4.  ❌️ 
 一般的には、苦手な食材は年齢とともになくなる傾向がある。それは年齢が上がるにつれて味覚を感じる細胞(味蕾)が減少し、味をマイルドに感じやすくなるため。また、人は初めてのモノや初体験の事柄を本能的に拒絶するが、生きていくうちにいろいろな食べ物に触れる機会があり、慣れていく。
 しかし2歳前後の偏食には要注意。2歳前後は味覚芽発達する時期なので、さまざまな種類の味覚を強く感じやすくなり、食に偏りが出る傾向がある。

Q5.  食べないものは食卓に並べない方がいい?
A5.  ❌️ 
 子どもが嫌いなモノは避けて、好きな食材の料理だけを並べがち・・・が一般的ですが、そのような生活を続けると食生活が広がらないという弊害もあるようです。
 ただ、苦手なモノにひたすら挑戦させるだけでは、イヤな記憶として残ってしまう可能性もあり、要は「正しい提案」を行うことです。

▶ 「食べない子」が出すSOSサイン
以下の6つのサインがみられる場合は「この子は食事で苦しんでいる」と理解すべし。
「ちゃんと食べなさい!」とプレッシャーをかけると逆効果になるので要注意。
1.吐き出す:
「食べてみないと、自分に合うかどうかわからない」
  ⇩
 食べてみたが・・・
  ⇩
「今の自分の感覚には合わない」ので吐き出す。
2.泣き出す:
・「理由があって食べられないけど、それを自分では説明できない」という気持ちの表現。
3.水をよく飲む:
・緊張により嚥下機能が低下して食事を上手く飲み込めないために水で流し込んでいる状態。
4.ゲップをよくする(呑気症・空気嚥下症):
・緊張などの精神的な理由により無意識に空気を飲み込んでしまい、ゲップという症状として現れる。
5.オナラをよくする:
・呑気症の症状の一つ、緊張などで空気を飲み込んだり、腸の機能が低下することからオナラをしやすくなる。
・よくオナラをする子どもは、食事の時にストレスを感じて空気を多く飲み込んでいる可能性がある。
6.口数が減る(場面緘黙):
・いつもはふつうに話せるのに、特定の緊張を感じる環境ではほとんど話せなくなることを場面緘黙という。
・心理的な要因が大きく、食事の時だけ極端に口数が減るなら、食べられないサインと捉えるべき。

▶ 「食べない子」が変わる5つのステップ
(ステップ1)この食べ物、知らないよ
(ステップ2)この食べ物を知ってもらう
(ステップ3)この食べ物に興味を持ってもらう
(ステップ4)この食べ物に触れてもらう
(ステップ5)この食べ物を食べてもらう
・・・このステップをショートカットせずに進めばスムーズなはず、
でも親はせかしがち。

▶ 食べないのにはワケがある
多くの場合、以下に挙げた7つのうち、複数が当てはまる:
1.見た目
2.味覚鈍麻
3.刺激
4.食感
5.香り・風味
6.飲み込みやすさ
7.精神的な理由
・・・自分の子どもにはどれが当てはまるのか把握することで、子どもの感覚を理解して受け入れ、その上でコミュニケーションを取りながら対策を考える。7の「精神的な理由」を除き、子どもが成長して行くにつれ、次第に1の「見た目」が一番の理由になっていく。

▶ 食べない理由その1「見た目」
・初めて目にする食材には大人でも抵抗がある。
・子どもも「いつもと見た目が違う」「ちょっと変な見た目」で食べる意欲が減退してしまうことがある。
(例)
✓ 白米は好きだが、炊き込みご飯は苦手。
✓ 同じ食材でも料理や形が変わると食べない。
✓ 同じ食器や容器にこだわる。

▶ 食べない理由その2「味覚鈍麻」
・もともと味を感じにくい子どももいますが、はじめから濃い味に慣れてしまうと味覚が麻痺し、特定の味付けや調味料を多く使った濃い味を好みがちです。
(例)
・白米が苦手で必ずふりかけをかける。
・しょうゆやソースをつけすぎる。
・カレーや丼ものを好んだり、濃い味のおかずばかりを食べる。

▶ 食べない理由その3「刺激」
・2の逆で味に敏感な子どもがいます。味を強く感じるため濃い味付けが苦手です。
・甘い味を“やさしい味”と感じて好む傾向があったり、果物やマヨネーズなどの酸味だけを極端に強く感じてしまい食べられなかったりします。
・2歳前後の自然な味覚の発達に伴って味を強く感じてしまうケースもあり、「これまで食べていたのに、おかしいな?」という現象が経験されます。
(例)
✓ 甘い味付け以外は薄味を好む。
✓ ジュースより水やお茶を好む。
✓ 酸味か辛味、スパイスなどが苦手。

▶ 食べない理由その4「食感」
・「特定の食感」を好む子どもがいます。
・濡れたもの、ねっとりしたものなど、柔らかい食感のモノを受け付けない子どもがいます。
・カリカリしたモノやパリパリしたものを好む子どもがいます。

▶ 食べない理由その5「香り・風味」
・ニオイに敏感な子どもがいます。
・生魚を食べられなかったり、ダシの風味が強い味噌汁やお吸い物が苦手な子どもがいます。

▶ 食べない理由その6「飲み込みやすさ」
・トロトロした飲み込みやすいものは食べられるけど、パサパサした食感のものを飲み込みづらいと感じる子どもがいます。
・固い肉や生野菜などの繊維質のモノをかみ切れずに吐き出す子どもがいます。吐き出したことを責めると、それがトラウマとなり「嘔吐恐怖症」を発症したり、偏食がひどくなることがあります。

▶ 食べない理由その7「精神的な理由」
・聴覚過敏などが原因で周りが気になり食事に集中できなかったり、親しい関係以外の人には緊張してしまったりして、ストレス状態に陥ることで食事が進まない子どもがいます。

▶ 「おやつを食べ過ぎてしまう」「好きなものだけ食べすぎてしまう」ことへの対策
・お菓子なら袋で出すのではなく、最初から個別の器に入れて出すようにする。
・好きな料理・食べ物は、大皿から自由に取り分けるスタイルではなく、最初から小皿に1人分を盛り付ける。
・ルールを作る:
(例1)好きなモノのおかわりは、苦手なモノに少しでも挑戦してからにする。
(例2)おかわりは2回までにする。

▶ 魔法のルールその1「費やす時間は1日1分」
・食べないことへの対策に何時間もかけると親子共々疲弊します。
・対策に費やす時間は「1日1分」と短時間で切り上げ、毎日の積み重ねで。

▶ 魔法のルールその2「4つの“しすぎ”を手放す」
1.イライラしすぎ:食べてくれないことで親がイライラしてしまい、食卓がギスギスした雰囲気になり、子どもがさらに食べなくなるという悪循環を形成。
2.不安になりすぎ:必要以上に心配すると、大人の不安が子どもにうつり、余計に食べなくなる悪循環を形成。
3.プレッシャーのかけすぎ:プレッシャーをかけすぎると食事のトラウマから精神障害(会食恐怖症など)を起こすことがあります。
4.放置しすぎ:「好きなモノしか出さない」のもこの一つ。

▶ 魔法のルールその3「ガッカリした姿を見せない」
・期待が大きいとガッカリも大きい。
・期待しなければガッカリもしない。

▶ 魔法のルールその4「お母さんにかける魔法の言葉」
・子どもが食べてくれないとき、つい「なんで食べないの!」といってしまいそうなときには「そうきたか!」とつぶやくと感情的になるのを防げることがある。

▶ 魔法のルールその5「子どもに決めさせる」
・人は自分で決めたことを守りたがる(社会心理学)。
(例)「しっかりたべようね!」 → 「どれくらい食べる?」
(例)「7時になったらご飯よ!」 → 「何時からご飯を食べたい?」

▶ 魔法のルールその6「苦手なモノは25%まで」
・苦手なモノでも食卓に並べた方がよい、でもその比率は25%までにしないとハードルが高すぎる。
・苦手なモノが一切並ばない食卓にしてしまうと、その子の食は広がらず、偏食のまま大人になってしまう可能性がある。

▶ 魔法のルールその7「食材にポジティブイメージを」
・初めて見る食材・料理は子どもにとって恐い存在(大人でも海外旅行へ行き見たことのない料理が出てくると不安になります)。
・子どもは思考力が未熟なため、抽象的な発想ができないことを知ろう。
(例)リンゴを知っている子が初めて梨を見たときに「同じようなもの」と認識するのは難しい。
 → 「これはりんごのお友達で甘くて美味しいよ!」とアドバイス。
(例)お母さんが作ったカレーとおばあちゃんが作ったカレーを同じ料理と認識できない。
・だから苦手なモノでも初めてのモノでも“食べなくても”食卓に並べた方がよい。知ってもらい、慣れてもらい、興味を持ってもらう目的で。
 → するとある日、「食べた!」というサプライズがあるかも。
・お弁当は例外で、子どもの好きなもの・子どもが食べられるものを優先すべし。食事が楽しくなくなってしまうかもしれない。家である程度食べられるようになってからお弁当に入れる方がよい。

▶ 魔法のルール8「好き嫌いは“悪”ではない」
・目標を「好き嫌いなく何でも残さず食べる」に設定すると窮屈になるので「楽しく食べる」ことに設定すべし。
・「野菜を残すと農家さんが悲しむからちゃんと食べなさい」という押しつけで子どもが野菜を嫌いになったら・・・農家さんはもっと悲しむかもしれない。

▶ 魔法のルールその9「スモールステップを大切に」
・ある食材を食べるまでに踏むステップに対する親子のイメージには大きなギャップがある。
(大人)苦手なものがある → ひとくち食べさせてみる、こども用に取り分けてみる、程度
(子ども)苦手なものがある → 見たことのない食べ物が食卓に並んでいる → パパとママが食べている → 「これ、なんだろう?」とその食べ物が気になり始める → その食べ物についての情報を得る → 食べ物に興味が湧 → 試しにニオイを嗅いでみる → ペロッと味見をしてみる → ひとくち食べてみる → 自分用として食べる
・食べていない状態でも、食べるための準備は着々と進んでいる。1か月に1つステップアップしたら順調、くらいの気持ちで見守るとよい。

▶ 魔法のルールその10「心の状態を見る」
・特殊なシチュエーションだと食べられることがある。
(例)こどもが行きたがっていたレストランで食べた。
(例)仲のよい友だちと並んで座ったら食べた。

▶ 魔法のルールその11「迷ったら“自分(親)が楽しい方”を選択」
・食卓を囲んだとき、子どもの楽しさばかりを優先すると、親の心の充実はおろそかになり、結果的に雰囲気が悪くなりがち。
・自分(親)がしんどくなる前にあきらめて気持ちを切り替えることも必要。
・メニューは自分(親)が食べたいものにしてよい。
・子どもにお菓子を制限する際に、自分(親)も制限する必要はない。時には親子で楽しく食べたり、こっそり一人で食べてもよい(なんだかサザエさん的)。


<参考>
食べない子が変わる魔法の言葉(山口健太著、辰巳出版)

BLW(BabyLedWeaning)のリスクとデメリット

2025年01月13日 12時00分00秒 | 育児
前項で紹介したBLW(BabyLedWeaning)はいいことずくめのように聞こえますが、
果たしてそうでしょうか?

今回はその“影”の部分として、リスクとデメリットを扱います。
これを知った上で導入を考えた方が安全・安心です。

まずは前項目の最後の方で触れたリスクについて。
こちらの本によくまとまっていました。
なお、「従来法」とは離乳食を保護者がスプーンであげる方法を指します。

周囲の理解を含めた環境整備も大切ですが、
窒息事故に直結するリスクとして食材と調理法が大きなポイントだと感じました。

内閣府のガイドラインでは「果物は生ではなく加熱して柔らかくして与えましょう」と書いてあるそうです。
すりおろしても大きめの破片が残っていれば、のどに詰まる可能性はあります。
また、ブドウやミニトマトも与えていいことになっていますが、「四等分」するように書かれています。

「この食材は安全、この食材は危険」だけではなく、
「安全な形で出す」まで気をつかう必要があるということ。

では本の要約を備忘録として残しておきます。

Q.  BLWと従来法でアレルギーの発症率に違いがありますか?
A.  ありません。
〜BLWは初めから固形食なので、大量のアレルゲン食材が一気に胃の中に入ることはありません。だからアレルギーを引き起こす可能性は少ないと言えます。

Q.  BLWでは初期から固形物を与えますが、のどに詰まりませんか?
〜BLW中には「オエッ」とえずいたり、「ゴホッ」と咳き込んだりすることはあります。これは窒息を防ぐ防御反応(※ 咽頭反射、咳反射)で窒息そのものではありませんので、不安になったり過度に心配する必要はありません。
 本当に窒息すると、胃気ができず声が出なくなります。つまり赤ちゃんは静かになってしまいます。ちょっと目を離したとき「妙に静かだなあ・・・」というパターンで発見されることがあります。このため、BLW中は保護者が見守る必要があります。離乳食を与えているときは保護者が側にいる必要があることは従来法と変わりません。

咽頭反射:飲み込めないくらい大きな食べ物を前方に押し出して吐き出そうとする動き。窒息しないための安全装置。
 窒息ではなく正常な防御反応です。大人の咽頭反射は舌の奥の方で起きますが、赤ちゃんでは大人に比べて舌の前の方でこの反射が引き起こされる傾向があります。そのため、生後6〜7か月に食事を始めたばかりの赤ちゃんにはよく見られることです。咽頭反射を繰り返すことで、赤ちゃんは安全に食べるスキルを学習していきます。
・しっかり噛むこと
・詰め込みすぎないこと
・奥まで入れすぎないこと
月齢が進めば起こりにくくなっていきます。

咳反射:何かの拍子で食べ物などが気道に入ってきたり、詰まりそうになったとき、侵入を防ぐために起こる反射。
 赤ちゃんがむせているとき、それが咳反射かどうかは、
✓ 顔が赤くなっている
✓ ゲホゲホッと何かを吐き出そうとしている
✓ 涙目になっている
などで見分けることができます。咳反射は咽頭反射同様、窒息を防ぐための自然な反射です。
咳反射が起きているときは、赤ちゃんの口に指を入れて無理に取り出そうとする必要はありません、見守ってください。

Q.  窒息の判断とその対応方法を教えてください。
A.  「オエッ」「ゲホゲホッ」などのえずきや咳込みはなく、赤ちゃんが静かになってみるみる顔色が青くなったときは窒息の可能性大です。119番に電話して救急車を呼び、背部叩打法胸部突き上げ法で詰まっているものを吐き出させる必要があります。これを吐き出すまで何回も繰り返します。
 吐き出せず、途中で赤ちゃんの意識がなくなった場合は心肺蘇生法に切り替えます。



Q.  窒息のリスクが高くなる状況・食べ物はありますか?
A.  あります。
(赤ちゃんが窒息しやすい状況)
✓ 椅子にもたれて座っている(背筋が伸びていない)
✓ 気が散っている(TVや動画を見ている)
✓ のどに詰まらせやすい食べ物を与えられる
✓ 息を吸って食べる
(窒息しやすい食べ物)
✓ 小さくて固いもの
✓ 丸くて小さいもの(ミニトマト、ブドウ
✓ 皮付きのもの(サツマイモ、バナナなど)
✓ 気道の中で圧縮されやすいもの(食パンなど
✓ 粘着性のあるもの
(窒息の基本的な安全対策)
✓ 背筋が伸びるよう真っ直ぐ座らせる
✓ 絶対に赤ちゃんを一人にしない
✓ 小さくて丸いものは与えない
✓ 赤ちゃんの口に突然食べ物を入れない

日本BLW協会HPより;
(窒息の危険性がある食材)

(窒息の危険性がある食材の工夫の仕方)


Q.  初めから固形物を与えて赤ちゃんは消化できるんですか?
A. はい、できます。
 生後5か月になる頃には、赤ちゃんの消化機能・腎臓機能は食事を受け入れられるまでに成熟するとされており、問題ありません。
 赤ちゃんのウンチに食べ物のかたまりが出てくることがありますが、消化しきれなかったものが出てきているだけで、すでに栄養分は吸収されており、心配する必要はありません。

Q.  自宅でBLWをしている赤ちゃんを保育園に預けるときはどうすればいいですか?
A.  保育園側にBLWをしていることを伝えましょう。園の規模や方針により、どこまで受け入れてもらえるかはケースバイケースです。言葉だけではわかってもらえないときは、実際にどのようなものをどのように食べているかの写真や動画を見てもらうのも理解を助けます。
★ 日本BLW協会のHPからBLWのリーフレットが無料でダウンロードできますので、これを利用するのも一つの方法です。

さて次にこちらの動画からBLWのデメリットを拾ってみました。

1.片付け&洗濯が超大変
・きれい好きのお母さん、汚れる・散らかるとイライラするお母さんには向いていないかも。
・毎食後、着替えが必要になる。
・床の汚れは掃除機で済むレベルではなく、毎日(毎食後?)ぞうきんがけ。
(対策)
・食事と着替え(とシャワー)はセットと開き直る。
・袖付きエプロンの使用もあり(本人が嫌がらなければ)。
・床には新聞紙を敷いたりで対応は可能ですが・・・。

2.正解がわからず不安
・日本ではまだ普及しきっていないので情報収集に限界あり。
・食材選び、硬さや大きさ、量、出し方などで悩むことが多い。
( → 加熱してピューレ一択、っていうのはかなり楽!)
・予想外の反応も楽しいので「当たったらラッキー」くらいのスタンスがよい。

3.最初の数ヶ月のメニューが難しい
・野菜や肉類は柔らかくしてなんとかできた。
・でも主食(ごはん)と汁物が悩みの種。ごはん粒はとにかく散らばるし、散らばると赤ちゃんの気が散る。汁物はスプーン以外でどうやって食べる?

4.外出先での食事が難しい
・散らかし放題の初期は難しい。
・玄米パンとか干し芋はお勧め。

5.周囲に理解されにくい
・生後6か月の赤ちゃんに固形物をあげることにたいていの人はビックリする。
・「ヤバい母親」と思われる可能性あり。
・初めてBLWを実践する場合、不安になる時期が必ず来るが、そうなったとき一人で悩むのは厳しい。
 「片付け面倒〜」「食べないな〜」「栄養足りてるかな〜」
・子育てに口出ししがちな姑と同居とか、理解のない旦那だったら従来食(ペースト離乳食)の方がいいかも。
 → 動画や本を見せて説明して理解してもらうことをお勧めします。


<参考>
BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう! (日本BLW協会 著、原書房、2020発行) 
子どもの窒息対応(日本BLW協会)
気道異物除去(乳児・幼児)(日本赤十字社)


BLW(baby led weaning)≠ 手づかみ食べ、=赤ちゃん主導の離乳食

2025年01月12日 12時00分00秒 | 育児
好き嫌い・偏食について調べていたら、
離乳食を食べない赤ちゃん問題が立ちはだかり、
その解決法としてBLWにたどり着きました。

こちらの動画元祖提唱者の著作のポイントが説明されていましたの視聴してみました。

印象・ポイントは、
・赤ちゃんの離乳を親のしつけではなく“赤ちゃんが主役”に置き換える方法。
・赤ちゃんが“食べるスキル”を獲得していく過程を親が腹をくくって見守る方法であり、赤ちゃんが試行錯誤する様子を楽しく見守ることでもある。
・BLWを経験した赤ちゃんは食べることが好きになり、自分で食べたという達成感を経験できる。
・昔の日本では普通だった「親の食べているものから取り分ける」が入っており、親の手間が減る。
等々、“子どもの成長・発達を見守る”という子育てのエッセンスを凝縮したものと感じました。

メモを残しておきます。

前編〜基礎知識〜

▶ BLWとは何か?
・ジル・ラプレイ氏(助産師&保育士)が提唱した離乳方法
・子どもの自主性や手先の器用さが身につく
・取り分けスタイルで親も楽
 ✓ 裏ごしの手間なし
 ✓ 食べるべき量の基準なし
  → 親のストレスほとんどなし

▶ BLW=手づかみ食べ、ではない!
・Baby Led Weaning=赤ちゃん主導の離乳食
・赤ちゃんが自分で食べる、赤ちゃん主体の方法
・手助けしたい気持ちをグッと抑えて赤ちゃんにすべてを委ねる
 → 我が子を助けたい気持ちをどう抑えるかが重要ポイント
・目の前の食材を選ぶところから飲み込むまで赤ちゃんが自分でコントロールするため、
自尊心・自立心が養われる。

▶ 親のすべきこと
1.いつから離乳食を始めるかを決める。
2.赤ちゃんが食事の練習をする環境を整える。
3.どんな食べ物を提供するかを決める。

▶ BLWの基本ルール
1.赤ちゃんと一緒に食卓に着き、親も食事をする。
2.赤ちゃんが食べ物に興味を示したら、それで遊ぶよう促す。
3.食べ物は、赤ちゃんがつかみやすい形で提供する。
 〜裏ごしした食材は使わない。いきなり固形物を与える。
4.最初から赤ちゃん自身が自分で食べる。
 〜準備だけして、あとは赤ちゃんにお任せ。
5.食べる量や何を食べるかは、赤ちゃんに決めさせる。
6.赤ちゃんが欲しがる間は授乳を続ける。

▶ BLWが安心な理由
・“食べる”ことは“歩く”こと同様、発達過程で自然に獲得していくこと。
・その過程を親が過剰に干渉しない、阻害しないことが大切。

▶ 素朴な疑問集
Q.  いきなり固形物を与えて食べられるの?
 → 離乳食初期は、たべられなくてもいい、食べる練習をする時間と考える。
 歯がなくても食べる練習はできる(歯ぐきでカミカミ、あごや舌を使う練習)。
 生後9ヶ月頃までは赤ちゃんのメインの栄養源は母乳・ミルク(離乳食は“補完食”)、
 母乳・ミルクを欲しがるだけあげていれば問題ない。
Q.  のどに詰まらないのかな?
 → 安全装置(咽頭反射、咳反射)が作動するので大丈夫。
 のどに詰まりそうになると“咽頭反射”“咳反射”が起こり「オエッ」「ゲホッ」となる。
 これを繰り返すことで「この大きさは今は食べられない」と学習する。
 本当に窒息すると声が出せなくなる( → 応急処置はこちら)。
Q.  赤ちゃんが食べたいものだけ食べたら、栄養バランスが崩れない?
 → 1日単位ではばらつきがあるが1週間単位で見るとバランスが取れることが多い(検証不十分です)

▶ BLWを赤ちゃんの視点から見てみると・・・
・赤ちゃんにとって“食べる”ことは初体験!ドキドキ、ワクワク。
・“赤ちゃん視線”で考えてみましょう。
Q.  人から見知らぬ物体を手渡されたら、あなたはどうする?
 ✓ 眺める
 ✓ 触る
 ✓ 手に取る
 ✓ ニオイを嗅ぐ
 ✓ これはおもちゃ?もしかしたら食べものかも?と思う
 ✓ 口に入れてみる
 ✓ 舐めたりカミカミしてみる
 〜BLWでは赤ちゃんが初めてこれを行うことになります。
  初期は“食べる時間”にならなくても仕方ない、
  慣れる時間、練習する時間です。
Q.  初めてあなたが自転車にまたがったとき、乗れましたか?
 ✓ 初めは乗りこなせない
 ✓ 何日も練習して乗れるようになる
 ✓ その後、乗り方を忘れていない・・・ですよね。
・練習していないことはできない、最初からうまくはできない
〜これは自転車にも食事にも当てはまる。
・赤ちゃんは「未知の物体の調査」と「新しいからだの使い方の練習」を同時に行っているのです。
・「親が手伝わない」ことって難しい・・・つい手助け、口出しをしたくなりがち。
 ✓ 赤ちゃんの食事のサポート
 ✓ はやく食べるようせかす
 ✓ 完食するよう促す
 ✓ マナー違反を注意する
〜これらはすべて“親目線”の余計なお節介かもしれません。

後編〜実践〜

▶ 離乳食を始める時期:生後6か月頃
・赤ちゃんの準備が整ったかどうかのチェックポイント
✓ からだの発達:抱っこやハイチェアの支えがあれば背筋を真っ直ぐ伸ばした状態で座れる。
✓ 赤ちゃんのモチベーション:家族の食事の様子を観察したり、テーブルの上の食べ物をつかもうとする。

▶ 基本的安全対策
1.食べ物を手でつかみやすいように、赤ちゃんを真っ直ぐ座らせる
〜ベビーカーに寄りかかっている姿勢は❌️ 、ハイチェアがお勧め。
2.のどに詰まる可能性のある食べ物など、危険な食べ物は与えない。
〜赤ちゃんがつかめないモノ=安全に食べる準備ができていない。
3.大人が赤ちゃんの口に食べ物を入れない。
4.赤ちゃんが食べ物を扱っている間、邪魔をしない。
〜テレビなどを見ていると注意散漫となり誤飲・誤嚥リスクが高くなる。
5.食べ物のあるところで、赤ちゃんを一人にしない。
6.食後は食べ物が口の中に残っていないかチェックする。

▶ 危険な食べ物・気をつけるべき食材(イギリスの例)
(危険な食べ物)
・食塩が必要以上に含まれている(食塩は1日1g以下に抑える)
・砂糖が必要以上に含まれている
・食品添加物
・十分に火が通っていない生のシーフード(感染症のリスク)
・はちみつ(ボツリヌス菌のリスク)
・サメ、メカジキ、マカジキ(水銀リスク)
・低温殺菌していないチーズ(リステリア菌リスク)
・ブラン食品、生のブラン(食物線維が多すぎる)
・紅茶・コーヒーなどカフェインを含む飲み物
・ライスミルク(無機とヒ素のリスク)
・豆乳(アルミニウムと植物性エストロゲンリスク)
・炭酸飲料と希釈していないフルーツジュース(虫歯リスク)
・のどに詰まりそうな食べ物(小さくて丸いもの、固い果物、魚の骨など)
(気をつけるべき食材)
・青魚
・アレルギーの恐れのある食べ物

▶ 食材・料理の(マイ)ルール
・自然食材が使われている家庭料理、大人にとってもバランスのよい食事を心がける。
・野菜あるいは果物は毎食、炭水化物・たんぱく質はそいれぞれ2食に1回以上提供する。
・前述の「危険な食べ物」は控える、輸入物のチーズも避ける。
・味の濃い料理を取り分けるときは一度お湯ですすぐ。
・ジュースは与えない。

▶ お勧めの食材
(6〜8か月)スティック状の食べ物
(7〜9ヶ月)小粒の柔らかいもの、ツルツルしたもの ・・・丸くてのどに詰まりそうなものはカットして
 ✓ この時期には“中休み”をする赤ちゃんがいるそうです。
(8〜10ヶ月)レーズンなどの小粒な食べ物、ディップ
 ✓ 食べ物に対する姿勢が“興味” → “食事”に切り替わる時期。
(9〜12ヶ月)様々な形や舌触りの食べ物

★ ちなみに赤ちゃんの発達を対応させると・・・
(6〜8か月)手づかみ、手からはみ出た食べ物を歯ぐきで噛んだりしゃぶったり
(7〜9ヶ月)手の扱い・噛むのが上手になる、柔らかいモノを口に押し込める
(8〜10ヶ月)指でつまめる、両手を同時に使える
(9〜12ヶ月)米などの小さいモノもつまめる
(11〜14か月)フォークやスプーンを使いたがる

▶ お勧め周辺グッズ
・Babybyorn製ハイチェア(品番067021)・・・廃盤
 ✓ プラスチック製
 ✓ テーブル取り外し可能で丸洗いできる
 ✓ 赤ちゃんの上体をしっかり固定してくれる
・マスカー(W1100mm×D25M)・・・床の汚れ対策、ホームセンターで売ってます
・袖付きエプロン(西松屋で726円)・・・首回りが緩むのが玉に瑕


小児科医の私としては、のどに詰まらせたときの対処法をしっかり学んでから行う方が安全・安心かなとも感じました。
日本BLW協会でも注意喚起をしています。

窒息について(日本BLW協会)

なお、医師の立場からは直径4cm未満(トイレットペーパーの芯の穴の大きさ)は乳幼児ののどに詰まる可能性があるため「与えてはいけない・周りに置いてもいけない」と指導しているのですが、この点だけ整合性がとれません。



<参考>
「自分で食べる! 」が食べる力を育てる:赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門(ジル・ラプレイ著、2019年発行、原書房)
子どもの窒息対応(日本BLW協会)

子どもの“偏食”対策

2025年01月05日 09時27分21秒 | 育児
以前“子どもの好き嫌い”を取りあげましたが、
「苦手な食べ物があるけど、体格も普通で元気に過ごせている」
子どもが対象でした。

今回は、
「苦手な食べ物があり、健康に支障をきたしている」
という、グレーゾーンから病的な状態までカバーする内容です。

子どもが食べられない理由・原因を医学的に評価し、
それを解消する方法を紹介します。


▶ 子どもが食べない3つの理由
1.かめない、飲みこめない
2.感覚が過敏か、鈍感
3.知らないから

(解説)
1.かめない、飲みこめない
食べるまでの動作は、
①食べ物を目で見て確認する、手を使い、箸を動かし、食べ物をつかむ
②口に入れる、前歯でかじりとる
③舌を使って奥歯へ食べ物を移動させる、奥歯で食べ物をすり潰す
④舌を使ってのど元へ送り込む、嚥下する(飲み込む)
の過程があるが、各段階が未発達の子どもはうまくできない。
うまくできない子どもは以下のものが苦手になる。
・硬すぎるもの・繊維が多すぎて噛み切れないもの
(例)繊維質の野菜、お肉、きのこ、魚介(タコ・イカ)など
・水分量が少なすぎてパサパサしているモノ
(例)パン、カステラ、焼き魚など
・のどや口腔内に張り付きやすいもの
(例)のり、海藻類、キュウリ(薄切り)、ウエハース、モナカの皮など
・粘りが強すぎてのどに詰まりやすいモノ
(例)お餅、お団子、イモ類など
・水分量が多く、口の中でばらけてまとまりにくいモノ
(例)かまぼこ、コンニャク、リンゴなどの果物など
・細かすぎて気管に入ってしまいやすいモノ
(例)みじん切りの野菜、ひき肉など

食べる動作の発達レベルは以下でチェック可能です。


 → 口を閉じることができない子どもの練習方法
・ストローを使って、好きな形に切った折り紙を吸い上げる
・おもちゃの笛を思いっきり吹く
 → 舌をうまく動かせない場合
・くちびるにジャムなどを塗り、それを舐め取る

2.感覚が過敏か、鈍感
感覚過敏、感覚鈍麻などは発達障害(神経発達症)の一種である自閉スペクトラム症(ASD、対人関係が苦手で強いこだわりがあるとされる)の傾向がある子に多く見られ、ASD児には偏食が多い。ただし、五感には個人差が大きい。
(例)
・人より味を強く・薄く感じる。
・天ぷら・揚げ物の衣が口の中に刺さる感じがして痛い。
・もっちりした食感が気持ち悪い。
・料理の見た目がグロテスクに見える。
・少しの音が気になって集中して食べられない。
・哺乳瓶、スプーンなど、食器類の触った感じが気持ち悪い。
・口周りを触られることに強い嫌悪感がある。
・内臓の感覚が鈍感で空腹を感じない。

3.知らないから
子どもがある食材を食べるようになるまでの道程は、
1知らない → 2知る → 3興味を持つ → 4触れる → 5食べる
という壁を乗り越えて達成します。
対策は、食材に触れる機会を増やすこと。具体的には、
① 食材当てゲーム(目隠ししてニオイで当てる、触って当てる)
② お買い物で食材をかごに入れてもらう。
③ 食育関連の絵本を読む。
④ 家庭菜園や果物狩り
⑤ 釣り、魚のつかみ取り

▶ 好き嫌い・偏食を加速させるNG行動3つ
1.緊張感のある食卓
2.子ども主体のメニューになりすぎる
3.おやつの時間、食べ終わる時間に一貫性がない

(解説)
1.緊張感のある食卓
・食べないと怒られるかもしれない(ビクビク・ピリピリ)。
・「残さず食べなさい」はNG → 「食べきれなかったら残してもいいよ」
・まず親が「食事は楽しい」ことを見せる、親のイライラや焦りはマイナスポイント。

2.子ども主体のメニューになりすぎる。
・“子どもの言いなりメニュー“はNG、子どもの食が広がらない。
・“特別な日”ならOK、でも日常的にはNG。
・メニュー決めの主導権は大人が握るべし。毎回子どもの言いなりメニューでは、大人側の疲弊と不満が溜まりがち。

3.おやつの時間、食べ終わる時間に一貫性がない。
① 食べたいときに食べられるおやつでは、1日3回の主食を食べられなくなる。対策として、
・おやつをあげるときのポイント;
✓ 袋出しは避け、お皿に出してからあげる。
✓ エネルギー量が少ないモノに置き換える
・小さい子の場合には;
✓ お菓子はできるだけ子どもの手に届かないところに置く。
✓ 必要以上に回おきをしない。
・ある程度子どもが大きくなってきたら;
✓ お菓子の食べ過ぎが体の成長にはよくないことなどを伝える。
✓ お菓子はどれくらいまでにするか、親子でルールを決める。
②ダラダラ食べをやめる。対策として、
・食事の時間は30分が目安。
・子どもに「まだ食べたい?」と聞いて頷くなら延長OK(ただし1回まで)。
・食べるのが極端に遅い子どもは食べる機能(口腔機能)を要チェック。

以上に問題がなくても食べてくれない場合は「すでに好きなモノでお腹いっぱい」になっている可能性あり。
好きなモノだけ平らげて、他の食材にたどり着く前にお腹いっぱいなので箸が止まる。
 → 今食べられるものの提供量を減らす。食事内容の割合は「好きなモノ:苦手なモノ:ふつう=1:1:2」が目安。


<参考書籍>
・「偏食の教科書」(山口健太著、藤井葉子監修、青春出版社)

子どもの“好き嫌い”への対応

2025年01月01日 19時48分23秒 | 育児
乳児検診に出かけていって、
お母さんの心配事のビッグ2が「かんしゃく」と「偏食」です。

偏食について深めたいと考え、現在情報収集中です。
まずはYouTube動画のレクチャーから拾ってみました。

(注意)発達障害系の特性がある子どもは、「感覚過敏」「こだわり」「食感が苦手」「ニオイが苦手」などが前面に出てくることがあり、紹介する方法では解決できない場合があります。主治医にご相談ください。

<ポイント>
・ヒトは甘み・うま味・塩辛い味は脳が本能的に「おいしいもの」と認識し、苦みと酸味(すっぱい)は脳が本能的に「危険なもの(毒・腐敗物)」と認識する(⑫)。
・2歳児の50%が偏食とされているが、これは異常ではなく本能であり、発達段階における“自己防衛行動”である。「この食べ物は危険ではない」ことがわかると口にするようになる(①)。
・食べる以前に“その食べ物に慣れさせる”ことが大切、聴覚・視覚・嗅覚に訴えて興味を持たせる工夫をする(①②)。
・調理を工夫して食べさせる試みは、5回以内であきらめてはいけない、10〜20回(①)出し続けると成功率が上がる(⑬では30-50回と紹介)。
・苦手な食材の価値を下げる行為は避ける;“ご褒美形式“は、その食べ物の価値を下げるイメージを植え付けてしまう(①)、子どもの偏食に関する親の会話を子どもに聞かせない・・・“自分は〇〇がキライ”というイメージを植え付けてしまう(②)。
・苦手な食材克服その1“選択ボード作戦”・・・調理法を書き並べたボードを用意し、子どもに選ばせると興味が湧いて食べる確率上昇(⑥)。
・苦手な食材克服その2“お手伝いエプロン作戦”・・・こども用のエプロンを用意し、調理(無理な場合は配膳でも可)に参加させると興味が湧いて食べてくれる確率上昇(⑦)。
・実際に食べさせる際に「食べやすいかどうか?」という視点も必要(②)、味ではなく調理法(バラバラになりやすいか?)や食感(例:固い食べ物、ヌルッとした食べ物、パサパサした食べ物)が嫌いな場合もある。
・「一口だけ食べて」は賛否両論・・・ハードルが高い(①)、繰り返して安全であることを保障する(⑬)。
・“ささくれ作戦”・・・食材を指先のささくれより小さくカットし、それを1個食べられたらほめる(③)。
・食卓・椅子に座ろうとしない子ども対策その1“食券作戦”・・・その子用の特別な食券を作りお店屋さんごっこを演出する(④)。
・食卓・椅子に座ろうとさえしない子ども対策その2;“お手伝い作戦”・・・ちょっとしたお手伝い(箸を並べる、ソース・ドレッシングを置く)をさせて参加させると俄然興味が湧く(⑤)。
・自分で食べようとしない子ども(食べさせて〜)対策は“くじ引き作戦”・・・食べ物の絵や名前を書いた紙を箱に入れ、くじを引かせると「自分で選んだ」感が生じて食べてくれる確率上昇、子どもが使う食器を一緒に買いに行き選んでもらうだけでも効果あり(⑧)。

・・・要するに、
・食材になれさせる。
・子どもが主役の食卓(食事環境)を提供する。
ことに尽きるようですね。

****************************************************************************

・2歳児の50%が偏食とされており、これは異常ではなく本能である。
・偏食が始まる時期は1歳〜1歳半であり、行動範囲が広がる時期に一致する、何でも食べてしまうと危険であるから、自分の身を守るために食べるものを子どもなりに取捨選択する行動が、大人から見ると“偏食”になってしまう傾向がある。
・本能的に避けている場合、その食べ物が危険でないことがわかれば、子どもは食べるはず。
・ある食材を食べなくなった2歳児に対して、母親はあの手この手で工夫して食べさせようとする、しかし5回程度であきらめてしまう。某研究ではめげずに10〜20回出し続けると「その食材は危なくない」と認識が変わり食べる確率が上がると報告されている。
・偏食は大人の忍耐力と粘りで解決することがままある。「この子は〇〇は食べないんだ・・・」とあきらめないことが大切。
・「〇〇(苦手なもの)を食べたらおやつを食べていいよ」というご褒美形式は子どもの偏食を悪化させる可能性がある。〇〇という食材が価値が低いものというイメージを植え付けてしまい、食べたくなくなってしまう。
・食卓以外の日常生活の中で、苦手な食材と接触する機会を増やす。買い物に行って子どもに選んでもらう、買ってきた食材の絵を一緒に描く、など。すると子どもはその食材に慣れてきて危険でないと思うようになる。

(例)ピーマン
・ピーマンが苦手な子どもにピーマンの肉詰めを出すが子どもは食べない・・・親はピーマンの味が嫌いだと思いがちだが、実はピーマンの肉詰めの食べにくさが苦手だったりする。ピーマンの肉詰めを食べているとピーマンと肉がずれてしまい、落としたりしてしまいがち。この場合の解決法は、調理法を変えること、細かく刻んだり、ミキサーにかけたり・・・すると単純に“食べやすくなる”から食べるようになる。
・「一口食べてごらん」は結構ハードルが高い言葉。絶対に食べたくないものを「一口」と言われても、それは恐怖以外の何者でもない。
・苦手な食材を勧めるときは、聴覚・視覚・嗅覚に訴えて興味を持たせる工夫をする。例えば料理前のピーマンの形を子どもと一緒に触って観察する、ニオイを嗅ぐ、調理後のピーマンのニオイをまた嗅いで違いに気づいてもらう、ピーマンを食べるときの音を聞いてもらう、など。子どもがピーマンに興味を持てば、「舐めてみる?一口食べてみる?」のハードルが低くなるはず。
・両親が子どもの前で「この子最近、ピーマンを食べないのよ」という内容の話はタブー。大人の会話は子どもにとって重いもので、それを聞いた子どもに「あ、僕はピーマンが苦手なんだ」とダメ押しをしてしまう。ネガティブな会話ではなくポジティブな会話を聞かせよう。

・苦手な食べ物をムリして克服する必要はない(他の食材で栄養が補充可能、子どもの食事は楽しさ・うれしさが大事)。
・(ささくれ作戦)指先の“ささくれ”より小さくカットし、それを真っ白なお皿の上に一粒だけのせ、「こんなに小さいねえ〜」と声がけしながら大人と一緒に食べる、食べられたら褒める、おかわりできるなら同じ事をもう一度くりかえす、食べられたら褒める、成功体験になり子どもに「自分は苦手な〇〇が食べられた!」と自信がつく、次のステップは少しずつ大きくカットして出していくと食べてくれる確率が上がる。

食券を使い、“お店屋さんごっこ”を演出する。
・「食券を渡すとご飯が出てくるから使ってね」と事前に用意する。丁寧に作るのがコツ。
・食券には「〇〇くんのカレーライス」など、名前を入れると「自分だけのための特別なチケット」になり、子どもの興味を引く。
・食券依存が心配になるかもしれないが、繰り返すと食券にはいずれ飽きて卒業する、その頃には“ご飯の時は食卓に座る”習慣が自然に身についているはず。

・子どもが席に着かない理由:自分に関係なく用意された環境なので興味が湧かない。過程に係わると俄然興味が湧くので、ちょっとだけ手伝ってもらう。
・お手伝いの種類は、料理を手伝うのはハードルが高いので、お箸を出して並べてもらう、調味料(ソース、ドレッシング)を置いてもらう、などが入りやすい。

・食べる・食べないの前段階として、まず興味を持ってもらうことが大切。
・苦手な野菜の味を嫌がっていることが多いが、食感や調理法など“なんとなくイヤ”と避けている場合もある。
・(選択ボード作戦)自分の好みの調理法を選択できるようにボードを作り(あつく・うすく、こいめ・うすめ、やわらかい・かたい、フォーク・スプーン、小さい・おおきい、やく・ゆでる等)、選んでもらうと料理自体に興味を持つとともに“自分が主役”になるので食べてくれる率が上がる。

・ポイントは、苦手な食材に親しみを持ってもらうこと。
・(お手伝いエプロン作戦)子どもの“手伝いたい”気持ちを上げる効果がある。エプロンをして料理のお手伝いをしてもらう。
・低年齢で料理が危なかったら、配膳を手伝ってもらうだけでも十分。
・料理に参加してつくる体験をすることで、苦手な食材に親しみ・愛着が湧く。

・自分で食べようとしないとき、「食べなさい」という指示や命令ではなく、子どもに「自分で決めた」という意識を持ってもらうことが大切。
・(くじ引き作戦)食事のメニューを書いた紙を箱の中に入れ、くじ引きで自分が引いたものを食べるルールを作ると、「自分で決めた」という意識を持ちやすくなるため、自ら進んで食べてくれる確率上昇。
・子どもがつ書く食器(箸、スプーン、お皿など)を一緒に買いに行き選んでもらうだけでも効果あり。

・スプーンやフォークが苦手な子どもには“遊び感覚の練習“がお勧め。
・(スプーン・フォークで運びごっこ)スプーン、フォーク、2cm角にカットしたスポンジを用意し、親子で皿から皿へ運ぶ遊びをして、楽しみながら練習すると苦手を克服できる。ていねいに運ぶとか、はやく運ぶとか、設定しても良い。
・うまくできたらたくさんほめて、うまくできなくてもがんばった姿をほめてあげましょう。
・成功体験を積み重ねることで、自信がついて自然と身につきます。

・食べることに対する集中力が続かないことが原因であることも多い。
・集中力を切らさずに食事を続けれもらう“どんぶり作戦”・・・残してしまったご飯類を別の器に移し替えて“どんぶり”を作りましょう。
・器を買えることで気持ちがリセットされ、食事に対する集中力が戻ります。

前提として、「全部食べなくても大丈夫」というスタンスでないと親の余裕がなくなって「食べる楽しみ」がなくなり親子ともどもストレスが生まれがち。
・「食べる」「食べない」の前においしさやどんな味かを話す → 「〇〇、おいし〜い!」
・あ〜ん、をして食べさせるときは、口に入れるまでの動きにいろいろなバリエーションを用意する → 「次は飛行機?車?」
・子どもが好きなキャラクターの話題で食事の時間も楽しく → 「ア〜ン、パンチ!でバイキンマンをやっつけよう!」
・少しでも多く食べて欲しい場合は、量を減らした上で、自分で選べるようにする → 「半分この、どっちを食べる?」
・ただ食べなければならない、というわけではなく、「自分のために言ってくれているんだ・・・と思わせる → 「おいしいから、ちょっとだけ食べてみる?」
・「ほめる」というより、食べられたという「事実」を伝えて次の自信につなげていく → 「お!食べられたね!」
・苦手だとわかっているものは最初から少ししか入れない、ハードルを下げて上げる → 「これで最後!!」
・あまり量を食べない場合は、最初から少な目に盛り付けて、全部食べる達成感を味わえるようにする → 「おかわりしよっか?」

・甘み・うま味・塩辛い味は脳が本能的に「おいしいもの」と認知し、苦みと酸味(すっぱい)は脳が本能的に「危険なもの(毒・腐敗物)」と認知する。
・思春期になれば食べる食材の種類が自然に増えるので、元気にしていればあせることはない。


1.「ひとくち食べてね」を30〜50回繰り返し続ける(この食べ物は安全と認識させる)。
 → 苦手な食べ物を出さないようにする、見えないように調理するのはNG。
2.嫌いな食べ物の価値を上げる。
 → 嫌いな食べ物の悪口を言うとさらに嫌いになるのでNG。
 → 嫌いな食べ物を食べたら好きな食べ物をご褒美にあげるのもNG。
 → 価値を上げる言葉の例;
「ニンジンを食べたらカゼを引かないよ」
「ピーマンはバイ菌をやっつけるパワーをくれるよ」
「お肉を食べたら髪がつやつやになるよ」
「ご飯を食べたらしっかり元気に走れるよ」
 → 子どもにとって神レベルの食べ物になったら食べてくれます。
3.たんぱく質をコツコツ摂取
・偏食の原因のひとつに“たんぱく質不足”がある。たんぱく質が不足してくると、消化酵素の作られる量が減ってしまうので「お肉が嫌い」「魚や卵が苦手」となりがち。また、肝臓の機能も低下して、臭いに敏感になる( → 魚の臭いがキライ)。
・肉・魚・卵・乳製品・大豆を積極的に摂りましょう。乳製品しか食べない子どもはカルシウム・マグネシウムのバランスが悪くマグネシウム不足になりがちなので海藻類・種実類・青菜類を一緒に食べさせましょう。
4.「あいうべ体操」をする。
・偏食の原因の一つに「食感がキライ」がある(例:固い食べ物、ヌルッとした食べ物、パサパサした食べ物)。
 → 味が苦手なのではなく、食感が苦手で食べられないパターン。
・赤ちゃんの時にあって成長とともに消えていく原始反射(柔らかいものだけ食べる)があるが、その中の「探索反射」が残っていると口の周りが敏感になり上記の食べ物が苦手になる。原始反射を消すための訓練が「あいうべ体操」。
(あいうべ体操)
 大きく「あ」 → 横に「い」 → 前に突き出して「う」 → 下にベロを出して「べ」
 ・・・これを3-5回で1セット、1日3セットが理想。
★ あいうべ体操は表情筋が鍛えられるので、ほうれい線予防、肌のハリを与える、等のメリットがあり、親子で行うことをお勧めします。

・食育専門モンテッソーリ教師、いしづか かな先生
・「子どもを知って受け止める、そして安心させて上げる」
・まずは3つの生活習慣に注目して子どもを観察しましょう。
 ✓ 睡眠は十分か
 ✓ おなかが空いているか
 ✓ 体の調子(便秘など)は悪くないか
 上記+「食事に集中できる環境か」も大切。
・解決しない場合は他に原因がないか考えるが、子どもの“食べない理由”はたくさんあり、“子どもの個性”という側面も;
 ✓ 感覚過敏;臭いを強く感じたり、口の中に入れたときの味が刺激的に感じたり。
 ✓ 発達の問題;噛む力が未熟、うまく飲み込むことができない等。
 ✓ 胃が小さい;ヒトはストレスがかかると胃が小さくなる。
・“子どもの気持ち“を考える。食べられない、食べたくない子どもに「食べて」と言われるのはつらい。
・食卓を楽しい雰囲気にして、子どもの「食べてみたいな」という気持ちを育みましょう。
・子どもと食べ物をつなぐ工夫として、一緒に買い物をする、一緒に料理をする、など工夫をしてみましょう。


<番外編>


子どもの夜尿症

2024年08月02日 19時23分53秒 | 育児
小児科開業医の当院には、
1年に数人ペースで夜尿症の相談があります。

夜尿症とは、膀胱に貯められる尿量(膀胱容量)を夜間つくられる尿量(夜間尿)が上回り、
あふれてしまう状態です。

乳幼児期は、
(膀胱容量)<(夜間尿)
ですが、小学校に上がる頃には
(膀胱容量)>(夜間尿)
となり、夜尿は消えていきます。

しかし中には、
1.膀胱容量が小さいまま
2.夜間尿が多い
ため、この逆転が起きずに夜尿が残ることがあります。

当院での治療は、
1 → アラーム療法を提案
2 → 薬物療法(ミニリンメルト®)
が基本です。

おっと、その前に大切な生活指導がありました。
それは「水分の摂り方」です。

飲んだ水分は約3時間後に尿となって排泄されます。
ですから、寝る時刻の前3時間は水分を制限していただきます。
もちろん、喉が渇いて眠れない、というのはやり過ぎ。
夕食の味を薄めにして、夕食後のがぶ飲みを予防しましょう。

小児夜尿症の解説記事を見つけました。
知識のアップデート目的で読んでみました。
ポイントを記しておきます。
…気づいたのですが、著者(インタビューを受けた今西Dr.)はアラーム療法を第一選択としている様子、薬物療法(ミニリンメルト®)は第二選択に位置づけられています。これも時代の流れかなあ。

<ポイント>
・子どもによっては眠りが非常に深く、尿意が生じても目を覚ますことができない、これに加え、膀胱機能の発達や、自律神経の働きが未熟だと、夜間に作られる尿の量が多いことが重なって、おねしょをしてしまう。
・徐々に4歳を過ぎると、夜もおねしょをしなくなります。
・気をつけてほしいのは、大きくなっても日中に漏らしてしまう場合です。日中は夜寝ているときと違い、意識があります。それでも漏らしてしまったり、おしっこが我慢できなかったりするというのは、場合によっては膀胱・尿道の神経や機能に問題がある可能性も考えられます。
・5歳を過ぎても「おねしょ」「おもらし」が頻繁に続く場合は一度受診を考えてください。「5歳以上で、1ヵ月に1回以上のおねしょが3ヵ月以上続く場合」「1週間に4日以上のおねしょは“頻回”」。
・日本では夜尿症は7歳でも有病率は10%程度。
・治療では、主に生活指導。投薬なども行うことで、自然に治癒する場合より治癒の期間も短く、2~3倍治癒率が高まる。
・生活指導の内容は、基本的に就寝2時間~3時間前から飲水制限、夜寝る前に、必ずトイレに行く(2度行かせるという専門家の意見もあります)。
・アラーム療法はパンツや専用のパッドにセンサーをセットして、おねしょを感知して、寝ている子どもを音や振動で起こすように促すもの、これを繰り返して子ども自身がおねしょに気がつくようにすると、子どもは「眠いから起こされたくない」という意識が働いて、膀胱の尿を蓄える能力を高めていくようになり、夜間の尿の量が減るという効果も現れる。
・アラーム療法の効果が今ひとつの場合は薬物療法を考慮する、デスモプレシン(ミニリンメルト)という抗利尿作用ホルモンと同じような働きをする薬を投薬する。この薬は口の中で「溶かして飲む」ものなので、薬の飲み方のコントロールができることが必要になり、ちゃんと飴を舐めて食べられるような年齢の子でないと、処方をするのが難しい。
・昼間のおもらしは“意識がある状態での排尿”であり、夜尿とは別の病態と考えるべきである。


■ 夜尿症」 5歳でも1ヵ月以上続く場合が受診目安 専門家ふらいと先生が解説
#1 受診が必要な「夜尿症」について
小児科医・新生児科医:今西 洋介
2024.03.25:コクリコ)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 幼稚園や保育園、学校への進学が気になる時期や、お泊り保育、林間学校などの泊まりがけのイベント前などに気になってくるのが「おねしょ」や「おもらし」。進学前になんとかしなくては、と焦る保護者の方も多いのではないでしょうか。・・・そこで今回は今西先生に、おねしょとおもらしについて解説してもらいました。
 1回目は「おねしょはどうして起きるのか」について。症状が起きる原因や、日中のおもらしと夜間のおねしょの違いなどについてお聞きしました。

<目次>
  • 成長と共に自然治癒しない「夜尿症」
  • 「おねしょ」と「おもらし」の違い
  • 「5歳」が受診の目安
▶ 成長と共に自然治癒しない「夜尿症」
──進学・入学の時期が近づくと、「おねしょ」や「おもらし」について気にしだす親御さんが多くなります。でも、「おねしょだし、そのうち成長すれば治るかな」と思う方も多いと思うのですが、そもそも、おねしょはどうして起きるのでしょうか?

今西洋介先生(以下、今西先生):尿が膀胱に溜まって、膀胱が大きくなると神経が刺激されて尿意を感じるようになります。でも、子どもによっては眠りが非常に深く、尿意が生じても目を覚ますことができない場合があります。これに加え、膀胱機能の発達や、自律神経の働きが未熟だと、夜間に作られる尿の量が多いことが重なって、おねしょをしてしまうのです。
 とはいえ2歳ごろまでは、排尿を上手にコントロールできないので、反射的にしてしまいます。だからおねしょは当たり前のことなんです。
 でも、4歳ごろには徐々にコントロールができるようになり、親が「トイレに行こうね」と促したりすれば、昼も夜も漏らすことは少なくなります。そうして徐々に4歳を過ぎると、夜もおねしょをしなくなります。

▶ 「おねしょ」と「おもらし」の違い

──夜間の「おねしょ」と、昼間に漏らしてしまう「おもらし」では違いがあるのでしょうか?

今西先生:昼間の「おもらし」もおねしょと同様に、大きくなって排尿・膀胱の機能が発達していくことで改善する場合が多いですね。夜間の「おねしょ」と同じように、2~3歳ごろには少しずつおもらしもなくなっていきます。
 身体の発達と同じように、排尿・膀胱機能の発達にも個人差があるので、「3歳なのにおもらしをしている」「なかなかおむつがはずせない」と焦ることはないでしょう。
 ただ、気をつけてほしいのは、大きくなっても日中に漏らしてしまう場合です。日中は夜寝ているときと違い、意識があります。それでも漏らしてしまったり、おしっこが我慢できなかったりするというのは、場合によっては膀胱・尿道の神経や機能に問題がある可能性も考えられます。これは便を漏らしてしまうのも同様です。
 5歳を過ぎても「おねしょ」「おもらし」が頻繁に続く場合は一度受診を考えてください。この場合、おねしょの場合は「夜尿症」、おもらしの場合は「尿失禁症」の可能性があります。

▶ 「5歳」が受診の目安

──ではまず、親としては「5歳」というのが受診の目安と考えて良いのでしょうか?

今西先生:そうですね。夜尿症には明確なガイドラインがあって、『5歳以上で、1ヵ月に1回以上のおねしょが3ヵ月以上続く場合』、そして『1週間に4日以上のおねしょは“頻回”』といわれています。
 日本では、調査によると夜尿症は7歳でも有病率は10%程度と報告されています。つまり、1クラスのうち約3人は夜尿症の子がいるという計算です。
 幼稚園の年長さんや、小学校に上がってもおねしょをしているというのは、なかなか保護者としても周りに相談しにくいでしょう。さらに子ども自身も、お泊まり保育でオムツを持っていかなくてはいけないというのは、子どもの自尊心が傷つくことになります。これが高学年になれば、なおのこと子どもの心は傷つくはずです。
 実際、小学校の2~3年生くらいで「おねしょが続いているから受診しよう」と考える方は比較的少なく、林間学校が行われる4~5年生ぐらいになって、そのとき初めて親も子どもも受診しようと考えるご家庭が多いです。
 受診後の治療では、主に生活指導になります。また症状によっては、投薬なども行うことで、自然に治癒する場合より、治癒の期間も短く、2~3倍治癒率が高まるといわれています。
 確かに昔は、おねしょは“ときがくれば治る”という考えもありました。しかし、放っておいても治らない「夜尿症」だと、治療が必要な場合もあるということ。そして、月に2~3回のおねしょだから」と放っておかずに、5歳を過ぎてもおねしょが続いているようなら、ぜひ受診を考えてみてくださいね。・・・

■ おねしょが続く「夜尿症」 3つの治療法「生活指導」「アラーム法」「投薬治法」
#2 「夜尿症」の治療について
小児科医:今西 洋介
2024.03.26:コクリコ)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・今回は「夜尿症」の治療法についてです。生活指導、アラーム法、投薬治法の3つの治療法を、今西先生に詳しくお話しいただきました。

<目次>
  • 飲水のコントロールや生活リズムを整えるのがファーストステップ
  • アラーム療法と投薬での治療法
  • 効果の早い投薬治療でも水分摂取量の管理が重要に
▶ 飲水のコントロールや生活リズムを整えるのがファーストステップ
──・・・実際に、病院ではどのような治療をするのでしょうか?

今西洋介先生(以下、今西先生):最初は生活指導を行います。診察時に話を聞いていると、子どもによっては、寝る前にかなりの量のお水やお茶を飲んでいるという子が結構いるんですよね。これではもちろん、夜間におしっこが出てしまいます。
 ですので、生活指導では、基本的に就寝2時間~3時間前から飲水制限をしてもらいます。また、夜寝る前に、必ずトイレに行くこと。そして毎日の排便の習慣や、早寝早起きといった生活リズムを整えることの重要性も伝えていきます。実はこれだけで改善をする子もいるんですよ。

▶ アラーム療法と投薬での治療法
今西先生:生活指導だけで改善が見られない場合は、「ピスコール」というアラーム療法を取り入れます。
 具体的には、パンツや専用のパッドにセンサーをセットして、おねしょを感知して、寝ている子どもを音や振動で起こすように促すものです。
 これを繰り返して、子ども自身がおねしょに気がつくようにします。このアラーム療法を行っていくと、子どもは「眠いから起こされたくない」という意識が働いて、膀胱の尿を蓄える能力を高めていくようになり、夜間の尿の量が減るという効果も現れるように。しかし、それでも難しい場合は投薬を考えます。

──投薬をすると、具体的にどのような作用が体に起きるのでしょうか?

今西先生:デスモプレシン(ミニリンメルト)という抗利尿作用ホルモンと同じような働きをする薬を投薬します。
 例えば、水を飲んだら間髪入れずにおしっこが出てしまうようでは生活できませんよね。そうならないため、人間の体の中では抗利尿作用ホルモンが働いて、利尿を妨げる働きをしています。デスモプレシンはこの働きを薬にしたもので、持続的な尿量の調整が可能になります。
 ただ、この薬は口の中で「溶かして飲む」ものなので、薬の飲み方のコントロールができることが必要になります。ですから、ちゃんと飴を舐めて食べられるような年齢の子でないと、処方をするのが難しいです。

▶ 効果の早い投薬治療でも水分摂取量の管理が重要に
──夜尿症で悩む保護者にとっては、投薬で尿量が調節できて、親も子も安心して夜眠れるというのは大変うれしいと思います。でも一方で、投薬となると副作用のことも気になります。

今西先生:そうですよね。実はこの薬は副作用が強く、「水中毒」になる可能性があります。・・・寝る前に水分を規定以上飲んだ上に、薬を摂取することで、さらに体内に水分をとどめてしまう。そして、血液中のナトリウム濃度が低くなり、水中毒が起きるのです。そこで、水分摂取量の管理について保護者が気を配る必要が出てきます。

──たとえば夜尿症ではなく、昼間にも漏らしてしまうような場合でもこのお薬は効果があるのでしょうか?

今西先生:日中漏らしてしまうというのは、実は夜のお漏らしとはまた別と考えたほうがいいでしょう。
 というのも、前回の記事でもお話ししたように、日中は寝ているときとは違い、意識がはっきりしています。そういう状態でもおしっこを漏らしてしまうというのは、自分で排尿のコントロールができなくなっているということです。この場合はデスモプレシン(ミニリンメルト)ではなく別のお薬が必要になってきます。

──ということは、日中と夜間のおもらしは別のものと認識して、病院へ受診する際に伝えたほうがいいということですね。ちなみにほかに保護者が気をつけておくべき点はありますか?

今西先生:生活指導やアラーム療法、投薬で夜尿症が一度は治ったのに、半年後など間隔を空けてまた症状が出てしまうパターンがあります。この場合、夜尿症ではなく、例えば糖尿病や脳腫瘍、甲状腺の病気などの病気が隠れていることも考えられます。「おねしょがまた再開した」と気軽に考えず、再度受診をするようにしましょう。・・・

■ 「夜尿症」は育て方や子どもの性格が問題ではない 
#3 「夜尿症」を悪化させてしまう要因を取り除くには?
小児科医・新生児科医:今西 洋介
2024.03.27:コクリコ)より一部抜粋(下線は私が引きました);

・・・最終回となる3回目は、「夜尿症」に悩む家庭が心掛けるべきことについてお聞きしました。

<目次>
  • 夜尿症は育て方や子どもの性格が問題ではない
  • おねしょを繰り返しても𠮟らないことが大切
  • トイレトレーニングと同じ「成功したらほめてあげる」
▶ 夜尿症は育て方や子どもの性格が問題ではない
──どんな子どもでもおねしょをした経験はあるのに、自分の子どもが夜尿症になってしまうと、「わたしの育て方が悪かったのかな」と、つい考えてしまうものです。
 子どもと接する時間が長いからこそ、保護者が自分のせいだと責めてしまい、親子にとって夜尿症がよりつらいものになっているように思います。

今西洋介先生(以下、今西先生):「私がオムツを外すことにプレッシャーをかけたからかも……」など、保護者の方が受診時にお話しされることがあります。
 でも、夜尿症は親の育て方や、子どもの性格などが原因ではありません。1回目でもお伝えしたように、膀胱の収縮や尿道括約筋の緊張・弛緩を司る神経は未発達なこと、夜間の尿量が多い、睡眠から覚醒できないということが原因です。ですから必要以上にお母さん、お父さんが自分、そして子どもを責めることはありません。
 夜尿症は身体の発育に関係する部分も多く、治療にかかる期間もそれぞれ。決して焦る必要はないのです。ですから周囲と比較する必要もないですし、見守る気持ちで治療をしていきましょう。

▶ おねしょを繰り返しても𠮟らないことが大切
──子育てと一緒ですね。それぞれの子どもに個性や特性があって、成長を見守るように、夜尿症も子ども自身のペースを見守って、一緒に伴走してあげることが大切なんですね。

今西先生:そうですね。そして見守ってあげることと同じくらい大切なのが「𠮟らないこと」です。頻繁におねしょをされると親の負担は本当に大変ですよね。
「なんでまたおねしょしたの!」とつい言ってしまう気持ちもわかります。でも、𠮟られることで子どもは排尿時に緊張するようになってしまい、夜尿症が悪化することも。
 できる限り𠮟らずに、おねしょをしなかったときはほめてあげて、子どもに自信をつけてあげるといいでしょう。

──お話をお伺いすると夜尿症では精神的な影響が大きいように思いました。

今西先生:𠮟らない、ということも大切ですが、同時に子どもが置かれている状況で受けるストレスというものも考える必要があります。
 実は受験のストレスや親の離婚などが引き金となって、夜尿症が起きることもあるのです。身体的な発育に加え、子どもの心にストレスがかかっていないかということを考えてみることも必要でしょう。

――受験のストレスで引き起こされる夜尿症というと、やはり大きくなってもなかなか治らない場合もあるのでしょうか?

今西先生:ほとんどのお子さんは、成人するまでに治ると言われていますが、15歳以上でも1~2%程度の子は夜尿症があるといわれていて、稀に成人しても続くケースはあります。小さいうちでもかなりおねしょの頻度が高いのであれば、早めに受診をすることをやはりおすすめしますね。

▶ トイレトレーニングと同じ「成功したらほめてあげる」
──ちなみに2~3歳ごろのお子さんを抱えているお母さん・お父さんは、オムツをはずすトイレトレーニングを始めるかと思うのですが、その際にあえておしっこでオムツが濡れる感覚を覚えさせたります。しかし、このことで夜尿症を引き起こすということはないのでしょうか?

今西先生:オムツを外すトイレトレーニングをする中で、お尻が濡れる感覚に慣れて遊び続けてしまう子どももいるかもしれませんね。でも、それが夜尿症を引き起こすということはないでしょう。
 逆に、夜尿症だからといってオムツを履かない年齢なのにオムツを履かせるのは、子どもも嫌がるのであれば、あまりおすすめはしません。おねしょシーツなどを敷いて、寝具などが濡れない対策をとりましょう。そして、お母さん、お父さんは「応援しているよ」という気持ちを子どもにきちんと伝えてあげてほしいと思います。
 特に、子どもの年齢が大きくなると「自分だけおねしょをして恥ずかしい」「親に迷惑をかけている」という不安や劣等感を抱くようになります。オムツを外すトレーニングのときに、「トイレでおしっこできたね、えらいね!」と褒めてあげたように、まずは子どもの不安を取り除いてあげましょう。
 そして、そういった親の心のケアがベースにあった上で、さらに親と子ども本人の「治したい」という気持ちが大切になってきます。治すには、生活習慣を見直したり、飲水の制限をしたりと、いろいろ地道な努力が必要ですが、焦らずに取り組んでいってください。・・・