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“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

こどものSOSが聞こえてますか?

2025年03月27日 10時02分13秒 | 子どもの心の問題
こどもに関する諸問題を扱った書籍を読むと、
「まず子どもの気持ちを受け止めましょう」
という文章にたびたび出会います。

逆に言うと、
現代社会では子どもの気持ちを受け止める土壌が崩壊しており、
それが問題の源流となっている、
と言い換えることができるかもしれません。

そしてネット社会になり、
子どもの相談先は玉石混淆のバーチャルサイトに移り、
ますます家族・保護者から離れていっているようです。

危険ですね。

そんな内容を扱った記事が目に留まりましたので紹介します。

<ポイント>
・子どもの死亡例の約2/3は病死、1/3は外因死です。そして、外因死のうち最も多くを占めるのが自殺
・就学前児童のインターネット利用状況:1歳児では33.1%、2歳児では58.8%が利用しており、6歳児では8割を超えました。
・スマホ所持率:6歳児では既に13.3%の子どもが自分専用のスマートフォンを所持している、10歳以上の小学生では70.4%、中学生では93.0%
・就学前児童の遊びを調査:よくする遊びとして、砂場遊び43.7%、鬼ごっこや缶蹴り31.2%に対して、YouTubeの視聴が58.7%
外で兄妹や友人と遊ぶより、スマートフォンなどを手にしている機会のほうが多い。友人や家族に何かを相談する機会は減り、インターネットで自己解決しようとしている。

私が就学前児童の頃(50年以上前)は、
子どもは外で遊んで日が暮れるとかえってくるのがふつうでした。
田んぼや空き地を犬と駆け回り、
刈り取った藁で秘密基地を作り、
ザリガニ釣りをしていました。

とにかく体を動かし、
ヘトヘトになって帰宅する毎日でした。
家の中で遊ぶのは、雨の時だけ。

病弱だった私が健康になれたのは、
その走り回った日々のおかげかもしれません。

今思い返すと、藁のニオイや、ヒバリの鳴き声が蘇ります。


▢ SOSを発しない子ども
一杉正仁 (滋賀医科大学社会医学講座教授)
 (2025年03月22日:日本医事新報社)より一部抜粋(下線は私が引きました);

▶ 子どもの死亡検証
 2024年の出生者数は72万988人と過去最少の数字でした。貴重な子どもの命を守らなくてはなりません。筆者らは地域における18歳未満の子どもの死亡例を検証し、防ぎうる死の予防や、死が避けられない子どもに対する医療や支援の充実に努めています(child death review:CDR)。
 筆者が検証している地域では、どもの死亡例の約2/3は病死、1/3は外因死です。そして、外因死のうち最も多くを占めるのが自殺です。自殺例を検証して、事前に気づける変化はなかったのか、子どもが発するサインはなかったのか、早期に介入できなかったのかなどが話し合われます。しかし、どうしても周囲が気づけるようなサインを発せずに、自殺に至る例があります。その背景には、近年の子どもの生活状況が関係しているようです。

▶ インターネット利用状況
 昨年、政府は青少年のインターネット利用環境実態調査結果を公表しました。年齢とともにインターネットの利用率は高くなりますが、驚いたことに、1歳児では33.1%、2歳児では58.8%が利用しており、6歳児では8割を超えました。利用する手段はスマートフォンや携帯電話が圧倒的でしたが、6歳児では既に13.3%の子どもが自分専用のスマートフォンを所持しているそうです。そして、その率は年齢とともに上昇し、10歳以上の小学生では70.4%、中学生では93.0%となりました。
 目的としては、低年齢ほど動画の視聴やゲームが多かったのですが、年齢とともに、情報検索や投稿、メッセージ交換の割合が上昇していきました。このように、現在の子どもたちが育ってきた環境は、明らかに私たち大人とは異なります。

▶ 子どもの遊び
 6歳就学前までの子どもの生活について、民間の研究所が継続的に調査を行っています。「幼稚園や保育園以外では誰と一緒に遊ぶか」という問いに対して、1995年には「兄妹」や「友だち」と答える割合は半数以上でした。しかし、その割合が年々低下し、2022年にはそれぞれ38.8%および16.0%でした。さらに、よくする遊びとして、砂場遊び43.7%、鬼ごっこや缶蹴り31.2%に対して、YouTubeの視聴が58.7%になっていました。
 このように、外で兄妹や友人と遊ぶより、スマートフォンなどを手にしている機会のほうが多いようです。

▶ SOSが発信されない
 子どもたちの多くは幼少期からインターネットで情報を得て、コミュニケーションもインターネットが主体となっています。友人や家族に何かを相談する機会は減り、インターネットで自己解決しようとしているようです。その結果、たとえ悩んでいたとしても、それが発信されず、周囲がこころの変化に気づけない状況になります。
 社会では自殺予防に向けた相談窓口や相談ダイヤルがありますが、インターネット社会で育った子どもたちに有用なのか検証する必要があります。とは言っても、このようなSNSが中心の社会を後戻りさせることはできません。
 子どもを育てる上で何か足りないところがあったはずです。子どもの自殺予防のために今、大人が立ち上がらなければなりません。


・・・ネットと自殺、というキーワードで、
もう一つ目に留まった記事があり、紹介します。
検索ワード「学校に行きたくない」の検索数と中高生の自殺数が比例していた、
という驚くべきデータ。

▢ 日本の小中高生の自殺リスク「学校に行きたくない」検索量と関連
(鷹野 敦夫)
2024/11/20:ケアネット)より一部抜粋(下線は私が引きました);
 
 自殺は、日本における小児および青年期の主な死因となっている。自殺リスクの検出に、インターネットの検索量が役立つ可能性があるが、小児および青年期の自殺企図とインターネット検索量との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。多摩大学の新井 崇弘氏らは、自殺者数と学校関連のインターネット検索量との関連を調査し、小児および青年期の自殺予防の主要な指標となりうる検索ワードの特定を試みた。・・・
 2016〜20年の警視庁より提供された日本の小中高生における自殺企図の週次データを用いて、検討を行った。インターネットの検索量は、Googleトレンドから収集した20の学校関連ワードの週次データを用いた。・・・主な結果は以下のとおり。

・「学校に行きたくない」「勉強」の検索ワードは、自殺発生率とのグレンジャー因果性が認められた。
・相互相関分析では、「学校に行きたくない」では-2〜2(タイムラグ最高値:0、r=0.28)、「勉強」では-1〜2(タイムラグ最高値:-1、r=0.18)の範囲で有意な正の相関が認められ、自殺者数の増加に伴い検索量の増加が示唆された。
・COVID-19パンデミック期間中(2020年1〜12月)では、「学校に行きたくない」の検索傾向は、「勉強」とは異なり、自殺頻度との高い関連性が認められた。

 著者らは「『学校に行きたくない』のインターネット検索量のモニタリングは、小児および青年期の自殺リスクの早期発見につながり、Webベースのヘルプライン表示の最適化に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。

<原著>


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