中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

「謝罪」は「敗北」と考える中国人 ≪禁止事項 その2≫

2011-05-06 | ■中国人の価値観と仕事観

禁止事項の2つ目は、「謝らせる」です。謝罪を促したり、時に謝罪を強要したりすることは、結果的に無駄な努力に終わります。「謝らない」のが中国人です。「謝らせる」のではなく、どうして謝罪が必要か考えさせることが必要です。それ故、謝らせようとすることは禁止事項のひとつとして取りあげました。

 
何かトラブルがあったり、ミスを犯したりした人に対して、日本人は「まずはミスを認めようよ」、「まず謝っちゃえよ」と声をかけます。日本人同士なら珍しくないことです。日本人同士ならそれもいいですが、中国人にこれは通用しません。

 
中国人はまず自分の非を認めません。自分に責任がないことを主張し、責任がないことは決して謝りません。自分に非があるかないかを真剣に考え、非がないことは絶対に謝らないのが中国人です。一方、日本ではミスを素直に認めることが評価されたり、ミスを認める謙虚な姿勢が好感を生んだり、とにかく素直に謝ってしまう前向きの姿勢が評価される文化です。非を認めることが「潔さ」として評価されることもあります。助け合ってみんなでミスを補うので日本の文化です。

 しかし、中国人は責任の所在を明確にしようとします。ミスはミスとして原因をとことん追及するのです。自分に責任がないことは絶対に謝りません。曖昧なままで「謝罪」はありえないのです。時には自分のミスをミスと認めないケースもあります。非を頑として認めない頑固さです。仮に自分に非があったとしても、やはりそう簡単には謝りません。まずは自分の言い分を徹底的に主張します。

 
一方、100%自分に非がなくても、「みんなに迷惑をかけた」という理由で「申し訳ありません」と口にするのが日本人です。「すみません」には2つの意味があります。ミスを犯した問題の本質に対して非を認める「すみません」と、みんなに迷惑をかけた「すみません」と2つの意味です。日本人はこのふたつが良くも悪しくもごちゃごちゃです。しかし、中国人ははっきり切り分けて考えます。


 自分が悪くないことは、他人にも迷惑をかけていないという論理です。中国人に対して「とにかく謝っちゃえよ」というように一方的に謝らせようとすることは「禁止事項」です。

日本人はミスを認めて「謝罪」をする人に対して、寛容な気持ちになります。「謝っているんだからもういいじゃない」、「悪いと思っているんだから許してやろうよ」と考えます。

 しかし、中国人犯した「ミス」や「罪」に対して厳しい姿勢で臨みます。「謝る」ことで「罪」が清算されるとは考えないのです。「ケジメ」をつけたり、「禊」を済ませても、過去の「過ち」は消えません。ミスはミスとしてとことん追及され、過去の「過ち」を水に流すことができない中国人です。

 さらに、ミスを認めたらそれに対する追求が自分自身だけでなく、自分の仲間や家族にまで及ぶことをよく知っています。「謝る」という行為は相手に自分の「弱み」を見せることであり、「弱み」を見せることは自分だけでなく家族や仲間とのコミュニティにまで影響が及ぶのです。

 中国人が謝らないのは「自分の身は自分で守る」という長い歴史の中から学び取ってきた肌に染み付いた皮膚感覚の「自己防衛本能」を持っているからでしょう。
中国人がミスを犯しても頭ごなしに謝らせようとすることは厳禁。「謝る」という「謙虚さ」や「潔さ」を求めるのではなく、彼らとじっくりコミュニケーションを図っていかなければなりません。

 



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