中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

一方的な指示には十分な説明を ≪禁止事項 その3≫

2011-05-09 | ■中国人の価値観と仕事観

前回に続いて「禁止項目」の説明を続けます。その3つ目は、「一方的な指示」です。日本人は中国人の部下に仕事の指示をするとき、説明不足の指示になってしまうことが多いようです。中国人に「説明不足」や「一方的な指示」と受け取られないように、指示を与える場合はできるだけ具体的に、指示内容をしっかり説明することが必要です。何のための指示なのか、なぜこの指示を与えるのかという点も具体的にしっかりと相手に伝えることができれば、中国人はこちらが期待する以上の動きをしてくれるはずです。

 
日本人同士であれば「以心伝心」が通じます。「空気を読む」とか「気持ちを悟る」ということが可能なのです。ひとつひとつを言葉にしなくても互いが状況を判断し、相手の考えを悟ることで伝えたいことが言葉にしなくても通じるのです。

 
しかし、中国人にこれは通用しないと思ったほうがよいでしょう。言葉が通じないからという問題だけではなく、日本人と中国人とではそもそも基本的な価値観や考え方が違うのです。伝えるべきことはしっかりと言葉にして具体的に指示するべきです。相手に悟ってもらうとか、感じてももらいたいという期待は禁物です。

 
また、「とにかくやりなさい」、「まず始めてみなさい」というような指示も要注意です。「言わなくてもわかるだろう」、「そんなこともわからないのか」というのも注意フレーズ。基本的に「説明しないことは伝わらない」と考えるべきです。「言わなくてもわかるだろう」という相手に対する期待は捨てたほうがよさそうです。(詳しくは拙著『中国人とうまくつきあう実践テクニック』総合法令出版を参照)

 
もし、中国人に指示した通りの成果を期待するのであれば、十分に説明時間を設け、具体的な指示をするべきです。「とにかくやりなさい」ではなく、努力を惜しまずにしっかり指示を出せば、期待通りのことをやってくれるのが中国人です。やって欲しいことはひとつひとつ具体的に指示するべきです。具体的な言葉にして、しっかりと相手に伝えるべきなのです。

 
思うように気持ちが伝わらずストレスがたまると、「とにかくやりなさい」、「自分で考えてみなさい」と言いたくなるものです。説明責任を果たさずに、「文句を言わずやれ」、「そんなことも説明しないとわからないのか」という言い方は論外です。これは日本側の傲慢かもしれません。中にはこのような一方的な指示に過剰に反応して日本人に反感を持つ中国人もいるでしょう。

 
そして、相手が期待通りに動いてくれない時、「それは日本では通用しない」、「日本人ならこうする」、「日本企業の常識では・・・」というような言い方になることもあります。しかし、これも要注意。問題が日本対中国という対立軸にすり替わってしまうことは危険です。信頼関係はあくまでも個人対個人の関係で築いていくべきものなのです。常に個人と個人との関係を意識して、信頼関係を築いていくことが中国人とうまくつきあっていくためのひとつのテクニックともいえるでしょう。

 
「一方的は指示」は禁止項目のひとつです。指示の仕方や用件の伝え方で説明不足にならないように、正確にかつ具体的に相手に伝えることができているか、ここで改めてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

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