櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

公演記事です

2015-08-29 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
西日本新聞さまより、またまた長崎公演の関連記事をいただきました。


↑8/28掲載
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シンプルなアプローチで、言葉と表現、送り手の思いと受け手のイメージ、という関係を書いてもらえて、感謝いたします。
ありがとうございます!あんなインタビュー(お書きの通り)にも関わらずきっちり本番観てくださって、翌日記事から一カ月たって今度はコラム欄で自分自身の声を書いてくださった、これ読んで、僕らの思いと記者様の言葉はどこか重なっているんだなと感じました。
行為する者と伝える者。そこに利害無しの言葉が発生することを夢見ます。
記者様、また会いたく、その時はもっと良い踊りを見せたい、、、。ささやかな欲望です。

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オイリュトミー8/26

2015-08-27 | レッスン・WSノート
水曜の夜、久しぶりに音楽オイリュトミーのレッスンをさせてもらった。

調律したてのピアノからパッと音の広がる感じが参加者の感覚を覚ましてゆくようだった。

音の高低を背骨の動きで追う練習。それを腕や脚や指先や爪先や眼に伝えてゆく練習。音階の型を学ぶ練習ではト長調を練習。ドレミファソ、というハ長調は閉じた両腕を広げてゆくが、ソラシドレ、のト長調は明るく開いた両腕からさらに明るさを求めてゆくから、胸板を開き背中を活用し、と、文章で書くと何やらわかりにくいが、ハ長調は孔雀が羽根を広げるようであり、ト長調は空飛ぶワシの羽ばたきのように動いてゆく、とも言えるかしら。

そんな、基礎練習に続いて曲を踊った。ト長調の曲の代表格とも言えるだろうか、バッハの無伴奏チェロ第一プレリュード。ンタタタララルラ、ンタタタルラルラ、と聞こえるあの特徴的なメロディーがロウソクの炎の揺らめきに見えて、そんな振付をしている。暗闇に燃えるひとすじの炎が微風にたなびくように、踊る。踊りながら、一音一音を丁寧に呼吸にのせる。

音を息ですくいあげ、そして声に響かせるのが歌うことだとすれば、すくいあげた音を身体全体に響かせるのがオイリュトミーという踊りだ。音楽も言葉も、ともに音、ともに響き。響きを聴きとり、それを目に見えるカタチや心に残る意味に変容せしめる力が私たちにはある。目に見えたカタチや心動かした現象を音楽や言葉という響きに還元する力が私たちにはある。そんな私たち人間の力を踊りに現す。これを人間再考という現代のテーマに重ねて、1912年、ルドルフ・シュタイナーと妻マリーはオイリュトミーを創案した。オイ、とは調和。リュトミー、とは律動。すなわち調和と律動の法則。ニジンスキーが春の祭典を踊り、自由自発をうたうモダンダンスが草創期を迎える頃、あえて新たな形式美を夢想したのは何故か。そんな興味も合わせて、僕は創作活動と平行して、このオイリュトミーなるものを愉しんでいる。

自由に創作したり即興に身を委ねるダンスに対して、オイリュトミーには定められた型がある。しかし、繰り返し繰り返し練習していると、それは制約やキマリということでなく、かえって心を柔らかくする働きを持ち始めるのが不思議だ。バレエにおけるパの働きも、クラシック音楽における音階の働きも、似ているかもしれない。型がきっちりと身にハマり身につけば、湧き上がる思いや熱をそこに込める喜びが生まれ、全身から空間に力を放つことができる。

僕が、かたや勝手気ままにダンスを踊りながら、かたや、この細やかな型に満ちたオイリュトミーを愛好して稽古するの天邪鬼を不思議がる人もいるが、何故か自分のなかでは全く矛盾しないばかりか、とても楽しく両立し作用しあっている。

時には雑音や無音をさえ音楽としつつ、時には楽譜や調律楽器を実に楽しく奏でる人が音楽家には沢山いるけれど、ダンスにも矢張りそのような二重三重の遊び方があるということだろうか。

型に入る楽しみ、型を破る楽しみ、いずれも楽しみ尽くせば調和とか宇宙とかいう言葉さえふと見えるのではないかと思う。

そう言えば、古代のギリシャでは世界をコスモスと呼んだそうだ。コスモスは宇宙とも訳されるが、あれは美しさという意味なのだと教えてくれた人がいた。世界とはコスモス。この認識を取り戻すための、踊りによるルネサンスがオイリュトミーなのかな、と、いま僕は思い始めている。

●参加方法・くわしい内容=クラスご案内




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雑感

2015-08-24 | ダンスノート(からだ、くらし)
漠たる気の揺れのなか、世界への共感から、ダンスを踊っているのかもしれない、と、アタマかすむ。肯定せず否定せず、ただ振れ合っている。それが踊ることかもしれない。そこはかとなくわたくしがあり、そこはかとなくあなたがあるように。たしかに世界はいびつかもしれない、たしかに世界は理不尽かもしれない。しかし、そのいびつさ、その理不尽は、人間の迷える温度や湿度にどこか近く、人間の溜息にどこか溶け合い、それゆえ、世界の哀しさは人間の悲しみに振動しているように、思えてならない。だからこそ。

なんでこんなこと思うんだろう。ふとした気の迷い。かな。

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Stage photo(長崎公演)

2015-08-21 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
8月9日に長崎・大村市松原小学校で開催いたしました、
原爆70年忌セレモニー/公演『弔いの火』。
写真をいただきました。いくつかをご紹介します。
撮影は美術の瀧澤潔さんと舞踊手補佐をしてくれた武蔵美の石川祥子さん。ありがとうございます!

★美術制作風景(ランプシェード=ともし火のインスタレーション)






★稽古=子ども出演シーン(ダンスの場から祈りの歌へ)









★子どもと大人のトークセッション(8月9日を話し合う)


★本番風景

























痛みから怒りへ、
怒りから願いへ、
願いから努力へ、
努力から幸福へ、
幸福から祈りへ、
祈りから未来へ、
歩むこと、歩みのなかに在る、ということ。

写真を見ながら、そんなことを思います。

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レッスン報告(8 月3週)

2015-08-20 | レッスン・WSノート
季節の力は絶大だなと、お稽古を見ながら思います。

暑いなか稽古場に集まった身体は、その時点で踊っている感じが、そこはかとなく香るのです。
集中力とか熱量とか、とても伝わってきます。

お盆、終戦忌、夏休み、、、日本の夏は忙しい。
でも、それぞれが時間をつくって踊りに来る、というのは素敵なことだなぁと感じています。
夏は、それぞれの立ち位置を確認できる季節なのかな、と、稽古姿を見ながら思います。

レッスンは決まったペースで淡々と進みますが、関わる一人一人の姿や表情や汗を見つめていると、ダンスが一人一人にとって、どんな役割を果たしているのかが、感じ取れるのです。

チャレンジの場である人、リラックスの場である人、学びの場である人、生き生きと遊ぶ人、自分自身に還る場として大切にしている人、、、。本当に色々な役割を担って、レッスンというものはあるのだなあと、改めて思っているこの夏です。

こんな事やろうよ、こんな事おしえてよ、って、もしあれば、どんどんぶつけて下さい。

公演活動などで少しお休みをいただいたクラスにも、いつもの稽古風景がもどってきました。
ひきつづき、よろしくお願いします!

今月のレッスン予定

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海辺で〜長崎公演ご報告2(公演メモより)

2015-08-14 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)




海と空には、ほんとうに境目があるのだろうか。
こんな風景を見つめていると、
ふと思ってしまうのでした。

この世とあの世のあいだには、
生と死のあいだには、
過去と現在のあいだには、
ほんとうに境目があるのだろうか。
とも。

今回の公演地であった松原は海辺の町でした。
大村湾という、この海辺の対岸にナガサキの街が広がっているのでした。
夜になるときらきらと街は輝いてこちらに近づいてくるようでした。
朝になると陽射しが海に反射して、空も眩しくなって、街は遠く小さくなってゆくように感じました。

海はたくさんの無言の言葉を語りかけてくるようでした。

この土地に立っている、という実感。
そのなかで、
これから上演するダンスに血が通いはじめるのを感じました。


これも松原の海岸



70年前、同じ海辺で・・・


(つづく)


公演記録
次回公演の予定

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長崎公演ご報告:1

2015-08-12 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
おかげさまで長崎公演を無事に終え、帰京いたしました。
被爆70年の節目での作品制作にあたり、大切な記憶の場所で踊ることの重さをひしひしと感じながらの公演でした。


西日本新聞8/10朝刊



長崎新聞8/10朝刊


肉体に記憶が積もり重なっているように、大地にも記憶が積もり重なっています。
大地の記憶は肉体の記憶を揺さぶり、
熱となり、熱はちらばって風となり、そんな様子を星たちはじっと見つめているようでした。
ダンスは爆心の方向にむかっていました。

ヒロシマ忌の8/6に作業開始、ナガサキ忌の8/9に本番を実現する。
というタイトなスケジュールと猛暑のなか、多くの方々が力を合わせてくださいました。
子どもたちも懸命になって美術制作を共に行い、祈りの歌を練習し、
ダンスのクライマックスでは舞台に登場して、共に行為し、歌をうたって、
最後は観客の方もごいっしょに黙祷のひとときを過ごしました。

公立小学校の運動場を劇場空間に変容する、
被爆体験の継承と今日的なアプローチの模索をいかに行うかを行動で探る、
その上で先端的アートとは何かを問う、、、。
そんな難しい課題を、地域連携/子どもから大人までの多世代連携/共感者による個人資金での実現で。
という無謀な挑戦を実現できたことは、ひとえに関係者ご一同の意識の高さゆえと存じます。
そのお力に対し、アーティストとしてきちんとお応えできたかどうか、はなはだ心配ながら、いまは先ず感謝の思いでいっぱいです。

ご来場いただいた450名の皆様、公演会場となった松原小学校の子どもたち・ご両親・先生方、地元住民の皆様、主催者はじめ関係者すべての皆様、クラウドファンディング/直接寄付など制作応援いただいた皆様、そして励ましいただいた方々に、心より感謝しております。

みんなで何かをする。みんなで一つの気持ちをカタチにする。それが如何なることなのか、ヒシと感じました。

「現代の祈りには現代の芸術を」ということだったのかな、と思います。

取り急ぎ、まずは上演完了のみご報告させていただきます。
ひきつづき感想その他、思い浮かぶまま掲載したく思っております。ぜひ!!
(つづく)




コアメンバー写真:アーティスト一同、武蔵野美術大学『旅するムサビ』一同、「松原の救護列車を伝える会」一同、ボランティアで最後まで居てくれた人も一緒です。▶前列中央が美術の瀧澤、櫻井は後列中央、その左は三澤一実武蔵野美大教授、後列右端は記録映像の森内監督(後列右端)。

「弔いの火」作品詳細&クラウドファンディング窓口(10/19まで受付)
↑制作支援の受付です。ネットからのお申込みは上記へ。銀行振込の場合は担当=瀧澤 <kystakizawa@gmail.com>までお問い合わせください。(1口1000円より)

ご感想記事を発見(LINK)

【PS】
昨日より教室再開いたしました。
さらに東京公演(11/7~8)の稽古再開へと進ませていただきます。
あらためてよろしくお願いします。

公演記録
次回公演の予定

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長崎公演、本日

2015-08-09 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
長崎に来ています。
先ほど原爆投下時間11時02分を迎えました。
松原小学校児童全員と今夜の公演関係者みなでお祈りをしました。
投下時間を告げるサイレンを眼を閉じて聴き、涙が流れました。
19時から公演本番となります。
かみしめつつ、向き合う心でおります。

【ご案内】長崎公演「弔いの火:ダンスと美術と子供たちのための70年目の8月9日」

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長崎公演に寄せて(直前報告、2)

2015-08-04 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
現地入り前の稽古も残りは明日1回、もう一度一人きりで踊ってから出発します。

【『弔いの火』ノートより、2】

今回の公演を作業しながら、
被爆聖母への思いを隠し得ません。

このマリア像の上に、原爆は投下された。

この聖母について、このブログに書いたことがありました。2013年の8月10日。二年前です。

当時の記事


日が巡り、偶然の力か、原爆にまつわるダンスを、という話が長崎から来ました。そして、初めて僕は被爆聖母の前に立つことができました。

(偶然とは、まことに不思議。呼ばれたような気さえしてきます。)

彼女の声を聴きながら踊りたいと思い、今回の作品のなかで浦上天主堂の鐘が響く音とダンスをすることにして、現地レコーディングをしました。

東京に帰って、その音の変化をモチーフにピアノ、ウォーターボウル、チューブラーベルなどで何曲かを演奏録音。いま、本番用のミキシング作業が終わろうとしています。
今回のダンス音楽は、この被爆聖母への思いがサウンドになったとも言えます。

浦上の鐘の音、それが喚起させてくれたオリジナルメロディー、そこに、長崎に伝わる隠れキリシタンの祈りの歌や遠く離れた国々の祈りの歌が呼び交わす構成、、、。

さまざまな祈りの響きと身体の絡まり合い。

今回の「弔いの火」の音楽と振付が追いかけ合うように形になってきています。

舞い場となるのは松原小学校の運動場。そこには、コラボレーターの瀧澤が子どもたちとつくる80体の「ひとがたランプシェード」が並び、日没とともに炎が灯されます。そして、これらを作った子どもたちのナマの歌声が、先述のダンス音楽の最後を形成します。

80体とは70年前の8月9日、原爆投下直後に、この場所に市民の手で搬送された被爆者の数です。

喪われた命、喪われた祈り、から、引き継がれた命、引き継がれた祈りへ。

僕は信仰者ではありえていません。しかし、生まれつつある作品=祈りのかたち、に向き合いながら、いまなぜか、エピファニーという言葉について、すこし考え始めています。エピファニーとは、顕現。あり得ない事が起こることです。奇跡を起こすのは神か人か。それは知りえないけれど、奇跡を起こす力、奇跡が起こる可能性、それを信じることは努力の火種で、生の杖となります。未来に繋がります。

禁断の原子の火を浴び地獄を見つめてなお私たちに微笑を送る一つの聖母像。

その前に立って感じた真空のような静かさと、そこから街に染み込んでゆくような鐘の音が、そのような事を心巡らせてくれます。そして身を揺らせ始めます。

身体の骨の奥に、何か今迄に経験したことがない力の波を起こし始めているのかもしれません。
(つづく)

公演詳細
__________________________
★2015年、櫻井郁也のステージ予定★


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長崎公演に寄せて(直前報告:1)

2015-08-02 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
もうすぐ長崎入りします。
70年目の原爆忌にダンスを、ということで始めた今回の作品制作も佳境。現地作業は奇しくもヒロシマ忌の8月6日に開始。学び多い作業だけに、駆け巡る思索も多々あり。何回かに分けて作業ノートの断片を。
___________________________
『弔いの火』ノートより、1


「こんな長い列車を今迄見たことは無かった。
列車がカーブを曲ると、その長さに又驚いた。
長崎原爆の死傷者を救いに行く救急列車だ。」
(証言より引用:下記)


今回のプロジェクトを通じて「長崎の救護列車」のことを知る。
長崎公演の会場「松原小学校」は上に引用した文章にある「原爆救護列車」で被爆した方々が運ばれた場所。
いま子どもたちが学び遊ぶ。その子たちと場をつくる。
子どもたちは祈りの歌を稽古しているという。それなら、そのなかで踊りたい。そんな方向性が出ている。

今回のプロジェクトは原爆のあの日の「地獄の中での助け合いの記憶」を伝える人たちの力による。
その人たちに関わりながら、思う。
原爆は肉体を殺すことが出来ても魂を殺すことは出来なかったのではないか。
同時に自問する。
僕らは僕らの子どもに何を託すか。

被爆70年。
ナマの記憶を、ナマの声を聴くことが出来る時代が、いま、間もなく、終わる。
それを実感しながらの作業。
渦中、自問わく。
新しい人を生み育てること。それができているかな、と、ふと。
やがて僕らは星になる。人生を生きながら、子どもたちのために道を用意するのが大人の仕事。
それが本当に意識できているかな、と。

1回だけの公演である。
70年目の8月9日はもう来ないから。


※ 長崎という「祈りの地」に原爆が落とされた。被爆直後の助け合いがあり、助け合う人々もまた放射能に晒された。家族を助けに行ったお母さんのお腹に宿った新しい命もまた放射能に侵された。救護被爆という。70年。まだ光が当たっているとは思えない。放射能の問題にかかわるそれは現在にも繋がる。祈りの地に投下された原爆は、人とは何か、ということを私たちに問いかけている気がしてならない。

以下、よろしければ。
また何か見つけたらご紹介します。

★原爆投下の日の松原小学校で(今回の会場)

★被爆体験、救護列車(上記引用先)

★伝える気持(今回の発起人の方のブログ!)

★次回=東京公演の予定

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