戦争ごっこはプラモデルで

　誰しも軍艦や軍用機、戦車など模型作りに夢中になった時期があろう。最初は竹籤飛行機。機体となる細木の先にプロペラを装着する。竹籤を火で炙り翼の形に少しずつ折り曲げ細いアルミの接続管で繋ぎ込む。ボンドとセメダインの匂いが懐かしい。翼には薄い和紙を貼る。糊が乾いたら水を口に含み一吹きする。プロペラでゴムをぐるぐる巻いて空に放てば初飛行。小学校高学年はプラモデル。往時の連合艦隊に憧れ戦艦、巡洋艦、駆逐艦を揃える。戦闘機は零戦や紫電改。軍艦や戦闘機を並べ観艦式が始まる。海上を進む軍艦の白波、風にはためく軍艦旗、信号旗が目に浮かぶ。戦争の悲惨さや不幸など微塵も考えず欣喜雀躍した。
　中学生になり雑誌「丸」で太平洋戦争の手記を読む。夜襲、白兵戦、空中戦の凄まじさ。追い詰められた状況下、自殺行為の戦闘を強いるもの、強いられるものが織りなす無残さはなんとも悲しい。東アジアは北朝鮮のミサイル発射など波風が高い。戦争ごっこはプラモデルの世界だけに止めたい。

（推薦書籍）
昭和・戦争・失敗の本質
昭和陸海軍の失敗－彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか　文春新書　６１０
陸海軍戦史に学ぶ負ける組織と日本人　集英社新書　４５７Ｄ
写真で読む昭和史太平洋戦争　日経プレミアシリーズ　７１
太平洋戦争最後の証言　第２部　陸軍玉砕編
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