見出し画像

鼓曲萬来

手で締める

物事には始めがあれば終わりもある

誰でもすんなりと始まって気持ちよく終わりたいのですが
どうもいつでもそういう訳にはいかず
なにか後ろ髪を惹かれるような気持ちのまま
最終局面を迎えてしまう事も多々あります
 
我々も太鼓の演奏の時等
必ずしも充実した演奏とばかりはいかず
時には不甲斐ない演奏を反省しつつ
終わってええいとばかりに、打ち上げで盛り上がって
嫌な事は忘れちまおうと、手打ちの最終局面を迎える訳ですが
 
つまり締めなる行為で、気持ちよく終了
家に帰ろうとするのですが
 
まあ、昔は暗黙の了解というか
解ってらっしゃるお年寄りも多かったのですが
さいきんは「三本締めで」とか「一丁締めで」
あるいは時には「関東一本締めで」とか申しましても
よく解ってない方も増えてまいりまして
気持ちよく、ヨッとお開きという風情には
なかなかならなくなってまいりました
 
そこで、まあ、一応、伝統としての締めの形態をばここに
 

手締め

手締めの種類と地方色

 

と、まあこんな感じで粋にかつ賑々しく

座を終了させて頂きたい訳ですが

私の考えでは、そういった作法等は「知らなくて当然」と思いますが

大相撲を賑わした白鵬の優勝三本締め問題等のように

場所や状況によっては無作法ともとられる事もありますので

一応念の為......。

 

いや、なぜ急に手締めの話等を持ち出したかと申しますと

例のコロナウイルス肺炎問題

感染症の医療関係者と政府機関の意見の相違とか

SNS上で上がっておりましたが

相手のウイルスは全く目には見えないだけに

空気中に蔓延してるのではないのか等と

生活環境に於ける閉塞感も半端ではございません

 

いったいいつになったら終息に向かうのか

どのくらい被害が広がっていくのか

有効な手立てはあるのか

皆目見当もつかない状況ではあります

 

流石に私も

近くの薬局やスーパー2,3軒に

マスクや消毒ジェル等を求めに行きましたが

棚は綺麗さっぱり何も置いておりませんでした

在庫無し、入荷未定状況

 

太鼓のフレーズの事を「手」とか申しますが

他にも手という言葉はよく使われます

手詰まり、手広く、あるいは握手、悪手....

数えればきりがありませんが

 

となると、今回、もう、「打つ手」としましては

有効なワクチンや治療方法、薬等が見つかる迄

うがいする、手を洗う

栄養をとってよく眠る位しかありませんな

いや、実際.....

 

勿論、医療関係の方等、全力で対処して下さってるとは思いますが

一番被害が大きいであろうと言われる

我々高齢者は少なくとも気持ちだけでも強く持って

精神的に霍乱されぬよう、踏ん張ってまいる所存であります

他に「打つ手」があればお教え願いたいところですが

 

おっと、もう一つ「打つ手」としましては

この空気感を打ち破り

空元気を振り絞って

一本締めをもって士気を鼓舞してまいりたいと

まあ、実際出来る事は

それくらいっきゃないんですが

 

よーっ!

  

  

     


鶴翼の陣

ラグビーワールドカップも南アフリカの優勝にて幕を閉じた訳ですが
なにか久しぶりに清々しい気持ちで観戦させて頂いたというか
ラグビーのルールさえ良く解らない「にわか」の私でさえ
心の底からこの競技を楽しめたというか
こういう気持ちで迫力あるプレーを、国枠にとらわれず応援できるのは
国際戦に於いてはあまり無いことではないでしょうか
 
どうしても自国の勝敗、応援にハラハラドキドキ
内容よりも勝ち負けばかりに目が行ってしまうというか
フェアプレー或いはノーサイドの精神は今回
スポーツの高潔さ、楽しみ方を改めて感じさせて貰いました
 
そして、ひとつには日本代表のチーム構成
肌の色も、目の色も、国籍さえ異なるラガーマンが
心一つに団結して、日の丸のもと、相手チームと戦う姿に感動する
ともすれば、日本人より日本の心を持った、その姿は
これからの日本の在り方を示しているように思えて
 
遠い遠い神代の昔、沢山の民族がこの島国に渡り
この国家を作り上げた時代のように
自らの深い深いDNAの中から喜びが湧き上がるように
思わず大きな声で「がんばれ」と叫ばずにはいられなかった
 
で、今回、沢山の感動シーンはあったのだけど
あの優勝候補オールブラックスとイングランドの試合は
個人的に特に興味をひいた
 
というのも、諏訪太鼓という
武田信玄軍楽としての太鼓打ちとして
 
どうも、どこかで見たような....ww
あるいは、どこかで聞いたような
そんなシーンが国際的な、それもラグビーの試合で
400年の時を越えて目の前に展開しようとは...思いもよらなかった
 
武田信玄には「甲陽軍艦」という兵法書があり
その中に戦いの際の陣形が8つ程有り
その内の一つが、まるで鶴が翼を広げたような形から鶴翼の陣と呼ばれる
 

あの有名な「川中島の戦い」で上杉謙信の「車懸かりの陣」に対抗して
武田勢は太鼓の合図によって左右に広がり
鶴翼の陣を轢いて上杉軍を打ち負かしたという、あの話......
 
まさか....イングランドの監督、エディージョーンズが
「甲陽軍艦の兵法書」を知っていたとは思えないが
(いや、もしかしたら日本の監督時代に手に取ったのかも....)
どちらにせよ、まさに目の前に広がる光景は兵法書そのものではないか....
 
結果が出てから言うのはなんだけど
あの時、「もしかして今日はイングランドが...」と思ったのは事実でして
まあ、それはともかくとして
 
あの勇壮なニュージーランドのハカに対して
太鼓の音と共に鶴翼の陣をとったイングランド
 
日本のフィールドに於いて歴史の一端を証明した事
別の角度から天晴れではありました。

1998年の長野冬季五輪の閉会式セレモニー
実は我々諏訪太鼓一門の
1000人の打ち手による
「信濃田楽萬雷の饗き」だったんですわ

しかしながら
今回お呼びも掛からんかったな~
残念なところでありますが


そういった意味で式典関係に関しまして
充分経験ありますです。 


  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「和太鼓WORKSHOP」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事