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東日本大震災 福島原発に命がけの放水、あの隊長が激白 原発危機と戦った消防隊の危機マネジメント

2011年04月16日 17時54分00秒 | ニュース

東日本大震災 福島原発に命がけの放水、あの隊長が激白 原発危機と戦った消防隊の危機マネジメント(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース

2011年4月16日(土)07:00

 4月10日に東京都知事選の4選を果たした石原慎太郎氏が、出馬表明後に最も感情的になった場面がある。福島第1原子力発電所で放水活動にあたった東京消防庁の活動報告会だ。「国運を左右する戦いに、生命を賭して頑張っていただいた」と涙ながらに消防隊員を労った。海外からも称賛の声が多く寄せられた。

 注目すべきは、勇猛果敢な姿だけではない。消防隊は冷静に現場を分析し、着実に任務を全うしている。消防隊の特徴は、臨機応援に現場の危機に対応していくこと。現場に裁量がある分、その責任は重い。ハイパーレスキュー隊の高山幸夫総括隊長に、福島第1原発の放水活動の様子とともに、現場の危機マネジメントのあり方を聞いた。

(聞き手、構成は大西孝弘=日本経済新聞証券部)

 3月19日、東京消防庁に属する139人の消防隊員が、福島第1原発を冷却するための放水活動にあたった。そのうち、第八消防方面本部のハイパーレスキュー隊32人を率いたのが、高山幸夫総括隊長だ。高山総括隊長の部隊は、海水を福島第1原発に放水する実行部隊だった。

 高山 福島第1原発では現場では今まで味わったことのない恐怖感を感じました。我々の出動する現場は、火災や交通事故など騒然としているところが多い。普通の現場では火災が強いところなどを確認して、自分たちで危険を排除して突入できますが、今回は危険な場所が目に見えない。放射能という見えない敵と戦わざるを得ませんでした。夜中で人っ子一人いなくて妙に静かで、不気味な現場でした。

焦る気持ちを抑え、落ち着いて

東京消防庁ハイパーレスキュー隊の高山幸夫総括隊長(写真:的野 弘路、以下同)

 事前に内部被曝の恐ろしさも知っていました。東海村JCO臨界事故で被曝した作業員の担当医師から、その症状を聞いたことがあります。はじめは何ともなかった作業員が、菌に抵抗できず口内炎だらけになっていって全身が蝕まれていく様子も事細かに知っていた。

 だから、今回の作業で最も難しかったのは、隊員の精神面をケアすることです。見えない敵を前に隊員が急いで作業をして、怒鳴り合う場面もありましたが、もし私が怒鳴ってしまったら部隊ががさらにザワザワしてしまう。内心は私も「早くしろ」と思っていましたが、あえてどっしり構えて、部隊を落ち着かせるようにしました。

 夜中の活動で見えないところもあったから、無線を通して落ち着いた口調で話すことを心がけました。今回とは逆に、隊員の動きが悪かった場合は隊長が活を入れる場合もあります。現場の様子次第で臨機応変に対応します。

 危機対応の現場では事前に明確な役割分担を決める一方、臨機応変に現場で対応していくことが求められる。現場外の上司の判断を求めていては、判断が遅れるからだ。最悪の場合、隊員の生命を失うことになりかねない。消防隊員は、それだけの緊張感を持って現場に出動している。

 高山 放水活動の役割分担はきっちり決めておきました。32人のうち15人が最前線の作業部隊。原発の正面から攻めて、放水車を立ててホースを伸ばす作業を担当。もう1つのハイパーレスキュー隊は、海側に出て海水を汲み上げる作業を担当しました。残りは前線部隊の放射線量が高くなった時に備えて、敷地外で待機させておきました。現場に来た以上、みんなが最前線に行きたがっていましたが、待機する人も含めて任務だと理解してもらいました。待っている方がつらいものですよ。

 津波と原子炉建屋の爆発によって、現場は予想以上にがれきが散乱していました。海水から水を汲み上げ、ホースを使って放水車まで水を運ぶ予定でしたが、がれきが多くてホースを伸ばす作業にポンプ車を使えない。そこで隊員たちが350mほど手動でホースを伸ばしました。その間は放射能を浴びることになりかねないから、常に線量計を持って放射線量を測りながら作業させることになります。化学の専門部隊が隊員たちのそばに立って、放射線量を常に測り続けてくれました。

 指示命令系統は混乱していました。指示が何度か変わり、予定より長い時間、放水を続けることにもなりました。2台出動したポンプ車のうち1台は、無理な使い方をしたことでエンジンが壊れてしまったほどです。

放射線量を睨みながら常に撤退を想定

 危険な災害現場では現場で判断しないといけないことが多い。特に大事なのは撤退の判断です。「行け」というのは簡単だが、撤退の判断は特に難しい。

 放射線量が限度を超えそうだったら、上層部に「撤退する」とはっきり言うことを決めておきました。それは出動する前に上司にしっかり確認しておいた。すぐに撤退できる準備も怠りませんでした。作業現場には常に2台のマイクロバスを用意。放射線量が高まったり、何らかの事故があったりしたら機材などを置いて、一目散にバスに乗り込んで逃げられるようにしておきました。隊員の生命を守るのは、隊長としての使命です。

 現場で臨機応変に判断できるのは、日々難しい現場を体験しているからにほかならない。火災現場や交通事故の現場で、消防隊やレスキュー隊は危機管理能力を常に磨いている。

 高山 災害の現場で最も難しいのは火災現場です。火事はまるで生き物のように変化します。さっきまで大丈夫だと思っても、急にボカーンって爆発したりする。その時の安全判断は一番難しい。どこも危険だと考えたら救助に突入できません。突入して崩落、爆発などしようものなら、突入させた隊長の責任になります。常に緊迫した判断を求められるから、判断能力が磨かれるのです。

 さきほどの撤退の話で言うと、退路の確認は基本中の基本です。火災現場でもパッと見た瞬間に「あそことあそこに窓がある」と確認して、常に頭に描いておくことが大事。常に隊員の逃げ道を確保しておくのが司令官の義務です。

 石原慎太郎・東京都知事が思わず目に涙を浮かべたように、海外でも現場の危機対応にあたる東京電力社員や消防隊への称賛が相次いでいる。隊員たちはなぜ現場に赴くのか。危険な現場での作業を支えるのは、指揮官と隊員たちの信頼関係だと高山隊長は言う。

 高山 「給料が高いわけでもないのに、自分の生命を危険にさらしてまで、よくやるな」って言われることはあります。ですが、消防隊に入ってこのオレンジの服を着た以上は、生命が危険にさらされる覚悟はあります。他人のために救助をしているという意識は強い。隊員たちは純粋です。

 ただ、現場では隊長の命令で本当に生命を失うこともあるから、隊長との信頼関係は非常に重要です。その信頼関係は普段の活動の中から生まれるものです。一朝一夕に築けるものではありません。

 信頼関係は普段の態度の積み重ねです。私の場合は、自分が頑張っている姿をできるだけ見せるようにしている。およそ10年間、毎日の通勤ランニングを欠かしていません。月曜日から金曜日までの勤務で片道8km、往復16kmを走って通勤しています。雨だろうが毎日走ることで、部下に優柔不断ではないことを分かってもらえるのではないでしょうか。

 消防は体を鍛えてばかりいるイメージがあるかもしれませんが、医療の勉強もしています。NASA(米航空宇宙局)にある救急の専門組織に自費で参加したこともあります。米国では医療的な見地を踏まえた救急をしているからです。現場の救助の仕方によってその後の手術や回復の具合も変わってくるので、医療の知識が必要だと考えました。

上に行くほど明るさが大事

 隊員や部下は上司をよく見ていますよ。上の顔色ばかり見ている上司のことを部下は尊敬しません。尊敬して心を1つにしないと現場は動かない。ご機嫌を取るわけではないけど、部下の視点というを意識しています。

 職場を明るくすることも大事ですね。絶対に。上に行けば行くほど明るさが必要ではないでしょうか。もちろん、ずっとニコニコしているわけではありません。隊員が緩んでいるときは、カミナリを落とすことも必要です。

 日本政府や東京電力のトップは、現場から信頼されているのか。危機対応の現場では、トップが現場に精通し、信頼されていないと迅速で有効な対策は打てない。今回の原発事故は、現場の危機管理マネジメントの重要性を改めて浮き彫りにした。

 高山 消防隊は指揮官が必ず現場に行きます。何かの都合で隊長が不在ならば、消防署長だって現場に行きます。現場を知らなければ指示は出せませんからね。

 原発事故の対応で不思議だったのは、なぜ指示を出す人が現場に行かないのかということです。設備の損傷やがれきの状況など、現場に行かなければ分からないことがたくさんあります。トップの顔が見えないのは、現場も不安になります。(政府や東電が)危機対応をできないのであれば、防災のプロが司令塔になることも必要かもしれません。

 強調したいのは、東電の現場社員は死に物狂いで頑張っています。我々の放水活動でも安全な道を案内してくれたり、常に手元を照明で照らし続けてくれました。今回は消防だけでなく、東電社員たちの協力があったからこそ原発危機に立ち向かうことができたことを、みなさんには分かってほしいと思います。


批判をするのは簡単ですが…。自らに言い聞かせたいと…。 

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