新潮社に賠償命令…新聞部数巡る記事で本社勝訴(読売新聞) - goo ニュース
2011年5月26日(木)21:33
週刊新潮の記事で、読売新聞が販売店に余分な部数の新聞を押し付けて不当な収入を得ているなどと虚偽の報道をされ、名誉を傷つけられたとして、読売新聞東京、大阪、西部の3本社が、新潮社と記事を書いた黒薮哲哉氏(53)に損害賠償などを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。
村上正敏裁判長は「記事は真実といえず、真実と信じる相当の理由もない」と述べ、記事が読売新聞の名誉を大きく損なったとして、新潮社側に計385万円の支払いを命じた。
問題となったのは、週刊新潮の2009年6月11日号に掲載された記事。同誌は「配達先がなく、闇から闇へと消えていく新聞を、業界では“押し紙”と呼ぶ」とし、滋賀県内の新聞折り込み広告関係会社が実施した購読紙調査の結果などを基に「読売新聞の場合、全国レベルでは30%から40%ぐらいの“押し紙”があり、年間では360億円が“不正な”収入ということになる」などと報じた。
判決はまず、購読紙調査について、読売新聞の実在の購読者が事実に反して新聞を取っていない世帯に算入されている点などを指摘し、「調査の集計結果の正確性には疑問がある」と、記事の根拠自体を否定した。
訴訟で新潮社側は、「読売新聞の販売店には多数の売れ残った残紙があり、それが“押し紙”の存在を推認させる」とも主張したが、判決は、こうした新潮社側の主張について、「客観的な裏付けがなく信用できない」などと退けた。
その上で判決は、〈1〉日本ABC協会の公査でも読売新聞の残紙率は4~5・3%にとどまっていること〈2〉販売店との間の過去の裁判の判決でも、読売新聞による“押し紙”を認定した例はないこと――などを踏まえて“押し紙”の存在を認めず、「報道機関である読売新聞に対する一般国民の信頼を大きく損なう記事だ」と、結論付けた。
読売新聞東京本社広報部の話「根拠のない記事で当社の名誉を大きく傷つけたことを認めており、妥当な判決だと考えます」
週刊新潮編集部の話「判決には納得できないので控訴する」
