北朝鮮の集団号泣や失神シーン、いつ「過去の遺産」に…(産経新聞) - goo ニュース
【外信コラム・ソウルからヨボセヨ】板門店で南北会談がよく開かれていたころの話だ。双方から外国人記者を含め多くの記者が取材に出かけ、情報交換をはじめお互い会話がはずんだ。ある時、こんなことがあった。
顔見知りの北の記者に対し冗談のつもりで「北での最高指導者に対する崇拝と忠誠はすごい。世界が驚いている。世界史にもまれな実に貴重な体制だ。だからあの体制を崩壊させるのは惜しい。ソウルの記者の間では“保存委員会”を作りたいものだという話もあるよ」とささやいた。
その際は黙って聞いていたくだんの記者が次に会った時、「あの保存委員会はどうなりましたか、代表者は誰です?」というではないか。冗談が通じないのだ。北では金父子への冗談や皮肉などありえないのだ。逆にこちらが不明を恥じた(?)。
しかし金正日死亡の平壌の様子を見ていて、あらためて「あの体制はまさに“ユネスコ世界文化遺産”モノだ…」と思った。
集団号泣や失神シーンなど、感情移入の強烈さは同じ民族だから韓国でも目撃するが、国家的規模での崇拝行事、外に食糧を乞いながらのものすごい軍事国家ぶり、社会主義を看板にした王朝的な権力世襲、20代の最高指導者…。ただ、現代世界のどこにもないあの国家的風景はいつ“過去”の遺産になるのだろう。(黒田勝弘)
あれって…演技ではないのですか? 
