マルタ島版「青の洞門」暴風に倒れる 有名映画のロケ地消滅
青の洞門というと、大分県の耶馬渓(やばけい)にある江戸時代の僧侶が掘ったトンネルを思い出すが、マルタ諸島にある「Azure Window(青い窓)」は、天然岩でできたアーチの間から地中海が見える島のシンボル的存在。ところが、8日にこの島を襲った暴風のせいで跡形もなく崩壊し、マルタ共和国では首相以下、国中が落胆の声を上げている。
マルタ諸島のなかで2番目に大きなゴゾ島は、1998年にユネスコの世界遺産に登録された「アズール・ウィンドウ」で知られている。この奇岩は海岸から続く崖が、波に削られて500年かけて橋の形に変わったもので、高さは約28メートル、長さ約25メートル。
過去には、古代ギリシャをテーマにした1981年のハリウッド映画『タイタンの戦い(Clash of the Titans)』をはじめとする複数の映画のロケ地としても使われている。
しかし、8日にゴゾ島周辺を襲った激しい暴風雨によって、奇岩は跡形もなく崩壊。マルタ共和国のジョセフ・マスカット首相は、思わずツイッターで「Heartbreaking(悲痛なニュースだ)」と投稿。
このツイッターがきっかけで、消えたマルタのシンボルを確かめようと、島中の人々が現地に押しかけ、地元警察が規制線を張って立ち入りを制限するようになるまで国民の悲しみは深い。
地元観光協会や地質学者によれば、石灰岩でできたアズール・ウィンドウはもともと海水に弱く、かつては人が乗れるくらい厚みのあった橋桁にあたる部分の岩はどんどん薄くなり、2012年には海側に突き出した橋脚にあたる岩の一部が崩れるなどの事故が相次いだ。
それでも崖の上からダイビングしたり、橋の上で動画撮影する観光客が後を絶たなかったことから、2016年12月には侵入者が見つかった場合、1500ユーロ(約18万円)の罰金を課す緊急命令が交付されたが、それも奇岩と共に露となって消えた。




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