浮遊するプラごみで最も多いのは人工芝だった!
海のプラスチック汚染、とくに5ミリ以下の小片に細分化された「マイクロプラスチック」が大きな問題になっている。「どこから」「何が」流出しているのか。
2018年8~9月にかけて川崎市内の河川や港湾、計14カ所で実施したマイクロプラスチックの浮遊状況を調査しました。前回は調査の経緯とその手法について説明しました。
東京湾を漂うプラごみはどこからくるのか?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58485
今回はいよいよ調査結果について報告します。
抽出された固形物の約半数がポリエチレン
結論から言いますと、調査を行った14地点のうち、13地点からマイクロプラスチックが検出されました。抽出された固形物は129個で、うちプラスチックとして同定できたものは81.4%、成分はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)でした。
今回の調査で採取されたPE系およびPP系のプラスチックは比重が1.0以下の「水に浮く」プラスチックです(写真1)。水面付近の固形物を濾し取る方式のため、比重が1.0以上のプラスチックは海底や川底に沈殿し、採取できていないのでその点は考慮すべきだと考えます。それは「人工芝」です。
次に多かったのが、繊維状の破片でこれは全体の8.5%を占めます
大きさや太さはさまざまで、製品や用途の特定まではできませんでした。
繊維状のプラスチック製品は多数あり、人工芝のように特定は難しいため、これらをまとめて「プラスチック繊維」としました。
海外の文献などを読むと、マイクロプラスチックの大半が衣類などの化学繊維由来であるとする指摘もあります。衣類の製造過程や洗濯などで衣類の化学繊維が剥離し、流出するとのことです。これら繊維状の破片もその可能性がありそうです。
ポイ捨てごみだけではない
今回の調査では、浮遊するマイクロプラスチックには「人工芝」や「化学繊維」が多く含まれており、ポイ捨てごみだけが由来とは言えないということが分かります。
まず人工芝ですが、これはゴルフ場・サッカー場・野球場・テニスコートなどのスポーツ施設、公園、個人住宅の庭、商業施設、校庭など屋外のさまざまな施設で使われています。大規模運動施設などでは、広大なエリアに膨大な量の人工芝が敷設されています。そして、多くの場所では人が踏みしめる場所に敷設しています。通行やスポーツ利用などによって人工芝がちぎれ、その破片が降雨などで流され、河川や海に流出していると考えられます。その総量は人工芝の敷設されているエリアを鑑みるに膨大な量に上ると想像できます。
また、化学繊維は、衣料や紙おむつなど多くの日用品に使われています。衣料は洗濯のたびに摩耗し、剥離した繊維は下水を通じて流出していると考えられます。
マイクロプラスチックの由来は、ポイ捨てごみとは限らず、私たちの日々の生活の中で意図せず流出したものが多く含まれていると言い換えられるでしょう。
この調査は、同時期に川崎市以外にも国内外24カ所で実施しています。その結果、都市部ではほとんど検出されずに、地方では数多く見つかったものがありました。
科学が発達しすぎると。ゴミが増える
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