アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

2020 FILMeX & TIFF<DAY 8>

2020-11-06 | アジア映画全般

本日は諸般の事情から、夜の時間に1本だけ見ました。久しぶりの深夜帰宅、しかも明日は朝10時からFILMeX、というわけで、簡単に本日見た『アラヤ』のご報告を。

『アラヤ』
2020年/中国/北京語/150分/原題:無生/英語題:Alaya
 監督:シー・モン(石夢)
 出演:ホウ・インジュエ(侯[王嬰][王玉])、ジャン・シューシュエン(姜序萱)、ジャオ・シャオドン(趙暁東)

冒頭、禁猟区となっている山に入っていく父親が、7歳の息子シャオフーに言い聞かせています。まだ小さいので連れて行けないこと、そのかわり斥候の役割をして、監視員が来たら笛を3回吹くこと、もうすぐ8歳になるので、そしたら一緒に猟に連れて行くこと...。こうして父親は夜の山に入っていきますが、息子はそっと後をつけ、そのまま行方不明になってしまいます。父親は半狂乱になって捜したのですが、息子は見つかりませんでした...。

その後、山の麓の村に住む寡婦のリェン(ホウ・インジュエ)が登場、小学生の息子ライシュンがいるのですが、美人なので何かにつけ村の男たちからちょっかい出されたりします。今日も、遠くの広場で開催された伝統演劇公演に便乗して、刺繍した品物などを売った帰り、強制的に車に乗せられてレイプされそうに。それを救ったのは、山にずっと暮らしている男でした。と、ここまでが30分で、ここでやっとタイトル「無生」が出ます。

次には、街で堕胎手術を受けようとして思い直し、妊娠させた相手ミンの所へ、「私、産むから」と宣言しに行くジェンルー(ジャン・シューシュエン)が登場。1人で産み落としたものの、赤ん坊の紫色の顔色に仰天し、ミンに頼んで赤ん坊を病院へ連れて行ってもらいます。医師から先天性の心臓疾患だと告げられ、とりあえずは1粒30元という高い薬を飲んでおき、落ち着いたら大きな病院で見てもらって手術をしてもらうよう言われます。面倒くさくなったミンは、帰途、赤ん坊を山中に置いてきてしまいます。その赤ん坊を拾ったのは、山に住む男でした。彼は赤ん坊を一生懸命育てようとし、病気らしいとわかって、村に一軒しかない薬局に薬をもらいに行きます。医師も兼ねるそこの薬剤師は、リェンの息子ライシュン(ジャオ・シャオドン)でした...。

こうして、お話がゆったりと進行していくのですが、最後にフィルムが巻き戻されるようにして、それぞれの人間関係がわかります。2時間半という長さでもあるので、おそらく日本での公開はないのでは、と思うためネタバレを書いてしまうと、ジェンルーはリェンの娘で、ライシュンの父親違いの妹でした。「アラヤ」は村の名前「阿賴耶村」のことですが、この「阿賴耶」や中国語原題「無生」は仏教用語であるとのこと。因果応報、諸行無常といった仏教思想をこの物語で表しているようです。

それは何となく理解できるものの、最後の謎解きに溺れてしまったような感じもなきにしもあらず。監督はシー・モンという女性で、1987年生まれ(下写真)。脚本やプロデュースも自分で担当している才能豊かな人のようですが、こちらの胸に迫ってくるものがなく、辻褄の合わないところは「幽霊落ち」にしてしまうなど、じっくり腰を据えた撮り方と反比例するような点があってちょっとため息でした。撮り方はすごく力があって、150分、映像の力だけで退屈せずに見ていられるものの、窓ガラス越しとか鏡に映った姿とかの映像処理が多く、またこれか、と最後は飽きてしまいました。すみません、わがままな観客で。次作に期待、というところです。

両映画祭も残すところあと3日。明日も有楽町⇒六本木コースです(結構な遊び人みたいなセリフですね...)。

 


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