アジア映画巡礼

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タミル語映画2本立ての日(上)

2017-08-15 | インド映画

シンガポールに来ています。シンガポールの独立記念日は8月9日なのですが、本日8月15日もシンガポールを占領していた日本の敗戦記念日であるためか、何となく休日みたいな感じです。ホテルの下にある大衆食堂もお休みでしたし、近くのマンションには、9日に向けて飾られた紅白の国旗がまだ翻っています。


今回泊まっているのは、以前にも2、3回泊まったホテルで、インド映画専門上映館レックスの目の前のホテル。最初泊まった時は確かSoluxe Innと言ったと思うのですが、昨年ぐらいからRucksack Inn @ Mackenzie に変わり、今回着いてみたらCity Inn Mackenzieにまたまた改名していた、という「わけわからん」系ホテルです。マッケンジー・ロードにあるからMackenzieという地名を付けるのは理にかなっているのですが、こうコロコロ名前を変えられたのでは、予約の時サイトで捜すのが大変です。ただ、料金が安いのと(1泊6,200円)、地の利がいいのと、滞在時のマネジメントがまずまずしっかりしているのとで、やっぱりここにしてしまいます。今回はチェックイン時に「連絡先の電話番号は?」と聞かれ、「これからSIMカードを買うので今は不明なの」と言ったら、田中要次じゃないんですが「あるよ」とSIMが出て来て、4Gで5日間15ドル(約1200円)というのをすんなり手に入れることができました。


さてさて、レックスの目の前という利点を生かし、早速タミル語映画のはしごです。しかもうまいことに、見たかった作品2本がレックスにかかっています。表の看板のうち、右がカージョルとダヌシュ主演の『V.I.P.2(Velaiilla Pattadhari 2)(失業中の大卒男2)』、左がヴィジャイ・セードゥパティとR・マーダヴァン主演の『Vikram Vedha(ヴィクラムとヴェーダー)』です。

Velaiilla Pattadhari 2.jpg

『V.I.P.2』は、実は『1』の方も3年前、2014年8月にこのレックスで見ています。その時のご紹介はこちらですが、あれがシリーズ化しようとは。『1』の時は監督がヴェールラージという人でしたが、今回の『V.I.P.2』では監督がソゥンダリヤ・ラジニカーント、つまりラジニカーントの娘で、ダヌシュの妻アイシュワリヤ・ラジニカーントの妹になっています。これまで、アニメの『Kochadaiiyaan (コーチャダイヤーン)』(2014)を監督したことはあったのですが、実写映画では初の監督作品となりました。

前作は、大学は出たけれどなかなか就職できず、家事手伝いをやっていた主人公ラグヴァラン(ダヌシュ)が建築会社に就職し、見事大きなプロジェクトを成功させる、という物語でした。その間に、やさしくも厳しいお母さんが亡くなり、一方で隣家の歯科医シャーリニ(アマラ・ポール)との恋が成就する、というエピソードも挟まれ、上のポスターにある原付自転車というか足こぎバイクというか、ショボい乗り物を足にする貧乏くさい青年ながら、人柄の良さで成功していくV.I.Pぶりが楽しく描かれていました。


『2』でも、相変わらずラグヴァランの足は原付自転車。母亡き後、父親と弟、そしてラグヴァランの男3人が、嫁のシャーリニにガミガミ言われながら仲良く暮らしています。映画は建築界の年間賞の授賞式から始まり、建築賞には大手建築会社のワスンダラ建築が決まって、社長のワスンダラ(カージョル)が受け取ったものの、最後の建築家賞はアニタ建築のラグヴァランが受賞、ワスンダラはくやしさに顔をゆがめます。ラグヴァランを引き抜こうとしたワスンダラでしたが、彼にあっさりと断られ、それを根に持ってことごとくアニタ建築の仕事をつぶしにかかります。ついにラグヴァランは会社を辞めざるを得ないところまで追い込まれ、再びV.I.P.に逆戻り。そこへ、やはり会社を作りたいという青年が現れ、2人は意気投合して会社を立ち上げますが、受注はゼロ。そんな時やってきた仕事に張り切った彼らでしたが、建設用地を調べてみると大雨が降ると水害が発生する恐れがあり、それを理由にプロジェクトを止めるよう施工主に進言しました。ところがラグヴァランたちが手を引いた後、ワスンダラ建築がまさかの受注。以前と同じ計画でプロジェクトを進めようとします。そんな時、大雨が降り続き、チェンナイは水浸しになり...。


今回の目玉は、何と言ってもカージョルのタミル語映画出演。アラヴィンドスワーミと共演した『Minsara  Kanavu(電撃的な夢)』(1997)に続き2作目なのですが、以前来日した時、「もう、ぜーったいタミル語映画には出ないわ! 意味もわからなくて口移しでタミル語のセリフを言ったんだけど、何か変なことを言ってるらしくてみんな笑うんだもの」と言っていた彼女、どうしてまた気が変わったんでしょうね。しかも役柄も、傲慢で高ビーな”ワスンダラ・マダム”なので、かなり残念なキャラクター。最後の方で笑顔が出て、やっとカージョルらしさが出て来ますが、これじゃ『パダヤッパ』(1999)のラムヤ・クリシュナンみたい、と見ながら思ってしまいました。ファッションもおばさんっぽかったです。

ただ、ダヌシュの方は余裕で演じていて、こちらは楽しさが満喫できます。全然体型の変わらないダヌシュが活きのいいダンスを見せてくれるシーンや、プロジェクトの邪魔をしようとする男たちと闘って飛び蹴りをキメるシーンなど、ダヌシュ・ファンにはたまらないでしょう。また、死んだお母さんが時々登場するのも、スパイスとしてよく効いています。ラスト近くは大雨から洪水へとお話が展開するのですが、実際に2015年12月には百年に一度という大雨が降って洪水が発生し、チェンナイの人々は大変な生活を強いられました。その時、映画スターたちも救援に乗り出したのですが、『V.I.P.2』のエンドロールには救援活動を行うダヌシュたちが映し出されます。そんな話題性もある作品『V.I.P.2』、最後に予告編を付けておきます。

Velai Illa Pattadhaari 2 - Official Trailer | Dhanush, Kajol, Amala Paul | Soundarya Rajinikanth

大きな画像をコピペしたので、字数が多くなるため記事を2つに分けます。(つづく)

 


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