アジア映画巡礼

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痛快マブリー! 韓国映画『ザ・バッド・ガイズ』で大笑い!!

2021-03-21 | 韓国映画

いやー、笑った、笑った、マ・ドンソク主演作では一番笑ったかも知れません。こう書いていても、「○○○○は抜きでお願いします」というマ・ドンソクの日本語のセリフを思い出すだけで、また笑ってしまいます。しかし、「○○○○」は私の聞き間違いでなければあの野菜だと思うのですが、どんな料理からそれを抜けと?? そんなことを考え出すと、またまたお腹が痛くなるほど笑えてしまう韓国映画『ザ・バッド・ガイズ』。少なくとも3月いっぱいぐらいは、思い出し笑いの発作が続きそうです。その笑いの発作を抑えつつ、まずは映画のデータとストーリーをどうぞ。

『ザ・バッド・ガイズ』 公式サイト
  2019年/韓国/韓国語/115分/原題:나쁜 녀석들: THE MOVIE/英語題:The Bad Guys: Reign of Chaos
 監督:ソン・ヨンホ
 出演:マ・ドンソク、キム・サンジュン、キム・アジュン、チャン・ギヨン
 配給:エスピーオー
 提供:TIMO Japan/エスピーオー
2021.4.9Friシネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国ロードショー

ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BIDANGIL PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED

オープニングは、ソフト帽の男の手にはまったメリケンサックから繰り出される、強烈な殺人パンチが背広姿の男を襲う映像。どうやらヤクザ同士の争いのようですが、そこから画面は一転して刑務所へ。ムショの一隅でミシンの直線縫い(!)に挑んでいるパク・ウンチョル(マ・ドンソク)は、脅迫と傷害で28年の刑に服役中。暴れる新入りのコ・ユソン(チャン・ギヨン)を一発で黙らせたウンチョルでしたが、その後、親友だったヤクザのミョンソクが殺され、臓器を盗られた遺体で発見されたことを知らされます。ウンチョルはミョンソクのために雇われヤクザになり、その結果、刑務所に喰らい込むことになったのでした。ミョンソクの墓参を許されたウンチョルは、その帰りに元刑事オ・グタク(キム・サンジュン)を訪ねて真相を聞こうとしますが、肝臓がんに冒されたグタクは昔の彼ではありませんでした。

ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BIDANGIL PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED

その頃、ウンチョルと友人関係の女性刑事ユ・ミヨンは、受刑者の護送を任されて、同僚数人と共に男性受刑者十数人と、名うての女詐欺師ジェシカことクァク・ノスン(キム・アジュン)を、バスとパトカー数台で運んでいる最中でした。ところが途中で、大型ダンプが反対車線から中央分離壁をブチ破って襲撃して来、大惨事となります。横転したバスからは、看守から手錠の鍵を奪って自由になった受刑者たちが次々と逃げ出します。コ・ユソンも乗っていたのですが、実は彼は元刑事。犯人逮捕時に相手を死なせてしまい、過失致死で5年の刑に服しているもので、父親も刑事だったユソンは、ミヨン刑事に協力して襲ってきた敵と闘ったものの、倒されてしまいます。襲撃者の目的は、受刑者の1人で、ヤクザのチュソク組元組長ノ・サンシクを拉致することでした。また、他にも、サイコ殺人鬼のパク・ソンテや、脱獄を繰り返すキム・チャンミンも乗っていたのですが、この2人も逃げおおせてしまいます。

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この事件後、オ・グタク元刑事は警察のナンバー2であるオム次長から呼び出され、逃げた大物たちの逮捕を指示されます。実は以前にも、オ・グタクをリーダーにウンチョルとあと2人の若者が組んで、ミヨン刑事の助けも借りながら「特殊犯罪捜査課」を結成、犯罪人逮捕作戦を実施したことがあったのでした。オ・グタクが選んだ今回のメンバーは、ウンチョル、ユソン、そしてノスン。「大物を逮捕したら5年の減刑、小物なら3年減刑」という条件につられ、計算高いノスンも加わり、彼らはサイコ殺人鬼ソンテ、脱獄犯チャンミン、そしてウンチョルが親友ミョンソクの仇と怒りを燃やす組長サンシクを逮捕すべく、古い教会を本部にして行動を開始します...。

ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BIDANGIL PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED

上記のストーリーでもちょっと触れたように、『ザ・バッド・ガイズ』は元ネタがあって、2014年に作られたテレビドラマ『バッドガイズ~悪い奴ら~』が下敷きになっています。映画はこの元ネタを知らなくても楽しめるというか、むしろ知らない方が楽しめるのですが、劇中でもドラマの内容に言及したセリフが出てくるので、少々気に掛かるかも知れません。ウンチョルのセリフに出てくる名前、チョン・テスというのは、ドラマでのメンバーなんですね。私もドラマを見ていないので詳しくは知らないのですが、このチョン・テスとイ・ジョンムンという若者が、ドラマではウンチョルとタッグを組んだ「特殊犯罪捜査課」のメンバーだったようです。それが今回は、血の気の多い元刑事の若者ユソンと、頭が切れてずる賢い女性ノスンに代わったというわけです。

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そして今回は、もう1人、気になる刑事が登場します。リーダーのオ・グタクよりは後輩ですが、オム次長と同期の刑事チョ・ドンチョル(パク・ウォンサン/上写真)です。ドンチョル刑事は、特殊犯罪捜査課の敵なのか味方なのか、というのも見どころですし、ウンチョルがずっと追っている親友ミョンソクの本当の仇は誰なのか、というのも物語を引っ張る謎で、最後に大きな見せ場が用意されています。ウンチョルがラスボスと対決する時に発するセリフが、前述の「○○○○は抜きでお願いします」というものだ、と言えば、ラスボスの正体がおぼろげにおわかりでしょうか? しかしこのセリフ、聞いた観客は「何、それ?」状態で、言ったウンチョルも「間違ったかな?」とつぶやくのですから、緊張のクライマックスも大爆笑になってしまいます(あー、また思い出し笑いが...)。こんな風に、『ザ・バッド・ガイズ』のマブリーは、超重量級のアクションを見せてくれながら、随所で笑わせてくれるという、最強&最笑のキャラなのです。

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あんまりバラしてしまうといけないのですが、マブリー分するウンチョルが「昔の言葉にもあるだろ?」と言い出したら要注意。あのギャグ、もっと使って下さってもよかったんですよ、ソン・ヨンホ監督&ハン・ジョンフン脚本家。ハン・ジョンフンはテレビドラマの方の脚本も担当したようで、だからマ・ドンソクの最もプリミティヴな魅力をよく知っていた、ということかも知れません。これまでのマ・ドンソク映画では見られない面白シーンもいろいろ登場させてくれて、涙が出るほど笑いました。キム・アジュンもコメディエンヌとしてがんばっていますが、やはり『カンナさん大成功です!』(2006)の時から変わらぬどころか、さらに格好良くなった肢体に目を奪われて、笑いの方はいまひとつ。それにしても、護送シーンの途中で披露されるキム・アジュンのピッチピチGパン姿は、とても1982年生まれには見えません。

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マブリーのウンチョルが見せてくれるアクションシーンの数々は、鉄扉蹴破りから鉄拳植木鉢割り、そして海老反り背骨砕きまで、様々なパターンが出てきてあきさせません。しかも追跡の途中に、「消防車専用駐車スペース」に停めている車を見ると「おい、どかせとけ」と注意するなど、芸が細かい! 楽しめるシーンがあまりに多すぎて、オンライン試写を二度見せてもらっても全然退屈しなかったほど。楽しめるシーンと言えば、マブリー以外にもあざやかなアクションシーンを見せてくれた人がもう1人。名前はどこを捜しても出てこないのですが、悪の一味のアジトに殴り込むシーンで先駆けとなった「幽霊の足」さんです。なぜ「幽霊の足」なんて名前がついたのかは映画をご覧になってのお楽しみですが、この人の飛び蹴り、回し蹴りが鮮やかすぎる! ひょっとして、アクション監督自身が演じているのかも、と、クレジットにあったホ・ミョンヘン、ソ・ジオというアクション担当の顔を、いつもお世話になっている「輝国山人の韓国映画」サイトで調べてみたものの、どうやら別人のよう。「幽霊の足」さんは韓国映画のマックス・チャンと言ってもいいかも知れない、などと惚れ込んでしまいました(一体、誰なんだ!)。

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こんな風にお楽しみ超満載の『ザ・バッド・ガイズ』、見逃す手はありません!! 「昔の言葉にもあるだろ? ”いい映画は見とけ”って」とウンチョルも言ってます(ウソ)ので、ぜひどうぞ。最後に予告編を付けておきます。

マ・ドンソク主演 映画『ザ・バッド・ガイズ』劇場予告

 


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