グー版・迷子の古事記

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アシナヅチとテナヅチ

2013年09月29日 | 古事記
出雲国風土記や出雲国造神賀詞で、スサノヲの八岐大蛇退治は語られていません。
当然アシナヅチ・テナヅチは出てこないということになります。

出雲国風土記には、
「大穴持命、越の八口を平げ賜ひて還り坐す」
と言う記述はあるそうです。
大穴持命とはオオクニヌシ(大国主)のこととされています。

またアシナヅチ・テナヅチは意外な所で祭られています。
謎の神・アラハバキと共に祭られていたり、何故こんな所に?と言うところで祭られていたりします。

とりあえず、アシナヅチ・テナヅチについて少し考えてみました

  《アシナヅチ・テナヅチ》

古事記では足名椎・手名椎、日本書紀は脚摩乳・手摩乳と表記します。

①足名椎・手名椎
全て訓読みですので全ての文字に意味があると考えています。

足・手 … 素直にそのまま足と手だと思います。

名 … 二人の娘がクシナダヒメ(櫛名田比売・奇稲田姫)と言う事から「稲」ではないだろうか。

椎 … 椎の木の神霊とも取れそうですが、杖を意味するのでは無いか?と思っています。
景行紀に、土蜘蛛と戦うために椿で「椎」を作ったという記事があります。

採海石榴樹作椎爲兵
ツバキを採りて椎を作り兵を為す

これがどうやら杖のようです、また元々この杖は霊力の強い桃の木で作っていたらしいです。
古代において杖は、イザナギの杖が衝立船戸神(つきたつふなどのかみ)となった事からも分かるとおり、地面に突き立てる事で神聖な力を得られると考えられていたようです。
チの神霊で書いた「槌」と同じような意味を持っているのでは無いか?
音を出して存在を知らせるべき恐き(かしこき)神霊という意味ではないのか?
…と今は考えています。
はっきり言って分かりません

②脚摩乳・手摩乳
これも全て訓読みだと思われます。全ての文字に意味があると考えています。

脚・手 … そのまま脚・手だと思います。

摩 … さする。こする。触れる。

乳 … 乳。

アシナヅチとテナヅチの娘クシナダヒメ(櫛名田比売)が稲田の神と言うところから稲に関係ある神様なのではないか?と想像できます。
まだ成熟する前の稲の籾を潰すと乳の様な液体が出てきます。
古代において乳は神聖な物と考えられていたようです。
成熟する前に籾の中で乳に育てられ米になると考えられていたのだと思います。

アシナヅチ・テナヅチは籾を摩った時に出てくる稲乳の神霊という意味ではないでしょうか。
そうすると、脚と手をどのように解釈するか…
脚と手で摩って稲乳を出すような状況でもあったのだろうか?
そしてその稲乳で神酒でも造ったのだろうか?

祝詞で稲作の苦労を表現するのに、手と足に関する記述が使われます。

手肱に水泡掻垂り(たなひじにみなわかきたり)向股に泥掻寄せて(むかももにひじかきよせて)

ここから考えると、稲乳を与え稲の生育を助ける神様とも取れそうです。

アシナヅチ・テナヅチは…
稲の生育を掌る稲のムスビの神様
稲乳の神様
のどちらか或いは両方ではないかと思います