@Guitar & Music & China

日本・中国を中心とした主に音楽と楽器を紹介します(節操はありません(笑)楽器は主にGuitarです)

【チャールズ・チャップリン】独裁者(DVD)

2006-04-11 | 音楽以外の映像系

Amazon.comより引用

ヒットラーのナチスがドイツで、黒い手を世界にのばし始めた頃
そのファシスト独裁者を痛烈に批判した勇気ある作品。
お馴染みの「放浪者スタイル」を捨て、独裁者と記憶を失った理髪師のニ役を演じている。
ラストの大演説シーンで、初めて喋るチャップリンの姿は必見。


解説にもあるように、ある意味命懸けで作った1940年の作品”独裁者”です。
内容は、当時のドイツをモデルにした架空の国”トメニア”の独裁者”ヒンケル”の
ユダヤ人迫害と、瓜二つの顔をしたユダヤ人の理髪師(チャップリンの一人二役)が
微妙に絡みつつ、最後には入れ替わり制圧した国”オスタリッチ”(実際はオーストリア)の
観衆の前で”独裁者に屈してはならない!”と言う演説をすると言う内容です。
(かなり端折ってますが)

この映画の脚本が書かれ始めたのが1937年、ドイツではナチスが政権を握り
巧みな活動で”全権委任法案”を成立させ、ヒトラーが合法的に独裁者となり
裏で軍備増強を図っていた頃です。
外交的には、猛威を振るっていたインフレを整備し、失業者に仕事を与えた
凄腕のドイツ総統としか映っておらず、世界的に求められていたある種の
救世主として賞賛を受けていた頃でもあります。

そんな中、チャップリンはヒトラーの本質を見抜き、映画製作に着手しました。
内容は(最後の演説を除いては)後に明らかになるヒトラーの独裁者としての姿と
ユダヤ人弾圧及び大量殺戮を、まるで見て来たかの如く見事に描いています。

この”独裁者(原題:The Great Dictator)”の製作を発表した時には
各方面から弾圧があったそうです。
まだヒトラーの本質を見抜けないでいた(当時の)間抜けな政治家や
映画の良い配給国であったドイツ(ヒトラーは映画好き)を批判するような映画は
当時どこの国でもタブーだったようです(後に戦う連合軍諸国でも)

この映画の公開は1940年ですが、その前年すでにヒトラーはポーランドに侵攻し
第二次世界大戦が幕を開けました。
ドイツの電撃作戦によって、次々と国が侵略・併合され勢い付いたドイツは
不可侵条約を結んでいたソ連に対しても宣戦布告し、兵を向けています。

結局は電撃作戦が功を奏していたドイツの準備不足により、長期戦に持ち込まれた
ドイツはソ連の冬将軍に対しては無力で、初の敗戦を喫しそれが合図かのように
各戦線で敗北を喫して行きますが、もし綿密に作戦を練っていて勝利していたなら
ヒトラーはさらに手を広げ、アメリカへも侵攻していたかも知れません。

もしそんな事になったら、真っ先に槍玉に挙げられるのは”ヒトラー批判”の映画を作った
チャップリンであった事は、火を見るよりも明らかです。
世界各国の政界・財界人が目を背けていた物に真っ向から批判をする事
それがどんなに危険な事かは、現代においても同じだと思います。
(テロと言う行為もありますしね)

この映画の見所は(個人的には)なんと言っても最後の演説に尽きます。
本物の独裁者と入れ替わってしまったユダヤ人の理髪師が語った言葉
これを言いたかったが為にこの映画を作ったのではないか?そう思わせる内容です。

その演説の内容を引用させて頂きたいと思います。
ご覧になった方それぞれの感想をお持ちになると思いますが
自分に危険が及ぶかも知れないと言った状況であえて語った演説です。


申し訳ない。
私は皇帝になりたくない。
支配はしたくない。
できれば援助したい。
ユダヤ人も黒人も白人も、人類は互いに助け合うべきである。
他人の幸福を念願として、互いに憎み合ったりしてはならない。

世界には全人類を養う富がある。
人生は自由で楽しいはずであるのに
貪欲が人類を毒し憎悪をもたらし悲劇と流血を招いた。
スピードも意思を通じさせず機械は貧富の差を作り
知識を得て人類は懐疑的になった。
思想だけがあって感情がなく人間性が失われた。

知識より思いやりが必要である。
思いやりがないと暴力だけが残る。
航空機とラジオは我々を接近させ、人類の良心に呼びかけて
世界を一つにする力がある。
私の声は全世界に伝わり、失意の人々にも届いている。
これらの人々は罪なくして苦しんでいる。

人々よ、失望してはならない。
貪欲はやがて姿を消し、恐怖もやがて消え去り、独裁者は死に絶える。
大衆は再び権力を取り戻し、自由は決して失われぬ!

兵士諸君、犠牲になるな、独裁者の奴隷になるな!
彼らは諸君を欺き犠牲を強いて家畜の様に追い回している!
彼らは人間ではない!心も頭も機械に等しい!

諸君は機械ではない!人間だ!
心に愛を抱いている、愛を知らぬ者だけが憎み合うのだ!
独裁者を廃し、自由のために戦え!
”神の王国は人間の中にある”
すべての人間の中に!諸君の中に!

諸君は幸福を生み出す力を持っている。
人生は美しく自由であり、すばらしいものだ!
諸君の力を民主主義のために集結しよう!
よき世界のために戦おう!

若者に希望を与え、老人に保障を与えよう。
独裁者も同じ約束をした、だが彼らは約束を守らない!
彼らの野心を満たし、大衆を奴隷にした!

戦おう、約束を果たすために!
世界に自由をもたらし、国境を取り除き貪欲と憎悪を追放しよう!
良識のために戦おう、文化の進歩が全人類を幸福に導くように

兵士諸君、民主主義のために団結しよう!


この後、恋人のハンナ(ちなみにチャップリンの母の名前)に
語りかける言葉が続いて、その言葉の終結と共に物語は終わります。

これだけの言葉を独裁者が台頭する中、映画を通して訴えたチャップリン
頭の下がる思いです(この言葉通りの世界になっているかは、甚だ疑問ですが)

蛇足ですが、第二次大戦終結後このような思いを持ったチャップリンは
ハリウッドの赤狩り(共産主義者の告発)にあい、皮肉にもアメリカを去る事になります。
そのせいか、アメリカは未だ武力解決を行い各国で宗教・人種等々争いが絶えません。
本当の理想の世界は、それぞれの人々の頭の中にしかないのでは?
そう思ってしまう今日この頃です。

ちなみにヒトラーとチャップリンは同年同月で4日しか誕生日が違いません。
(ヒトラー1889年4月20日、チャップリンは1889年4月16日)
より強くヒトラーを攻撃したのはそのせいだと言う説もあります。



【チャップリン 命がけの演説シーン】




【独裁者 コレクターズ・エディション】
(2DVD)

DVD (2004/03/21)
・リージョン 2 (日本国内向け)
・NTSC
・ドルビー
・白黒
・ディスク枚数: 2


独裁者 コレクターズ・エディション

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